レベルアップを目指すとき、ただガムシャラに努力すればよいわけではありません。
練習すればスキルは上達しますが、何を目指しどのような努力をするかによって成長幅が変わるためです。
この記事では、スキルを上達させるための方法についてお伝えしていきます。
スキルの上達とは
スキルの上達とは、できないことが無意識的に本番でできるようになるまでの過程です。
ここでは、その過程を3段階に分けてお伝えしていきます。
上達①:習得
習得とは、できないことができるようになることです。
実践では使えなくとも、練習ではできる状態になったら習得ができたと考えられます。
- 練習ではできる:ゴールキーパーがいないゴールにPKで狙った場所にシュートできる
- 実践ではできない:本番でPKをすると練習よりも精度が落ちて外してしまう
「できるorできない」と「使えるor使えない」は別物です。
「練習内でできるようになる」を目指すことが最初のステップになります。
上達②:合成
合成とは、習得したスキルを掛け合わせて使うことです。
スキルによっては複数のサブスキルに分解できるものがあり、それらを同時使用しないと使えないものがあります。
例.ブラインドタッチ
・合成:考えながらキーボードを見ずに打てる
・サブスキル①:キーボードを見ながら打てる
・サブスキル②:考えられる
合成スキルを活用するには、サブスキルを無意識的に実行できることが必要です。
サブスキルの練度を高めるだけではなく、無意識に実行できるようになるための練習が求められます。
- サブスキルの練度を高める:キーボードを見ながら早く正確に打てるように練習する
- サブスキルを無意識的に実行する:キーボードを見ずに決められた文字を打てるように練習する
上達③:活用
活用とは、次の2つのことです。
- 状況に応じて使い分けられること:お客様のタイプに応じて提案するセールス内容を変える
- パフォーマンスを十分に発揮できること:厳しいお客様にも計画通りの接し方ができる
同じ状況というものは滅多に存在せず、常に個別的な対応が求められます。
そのため、「このパターンにはこのアプローチが最適だろう」という自分なりの理論を構築することが大切です。
また、スキルを習得しているからといって、どんな状況でも十分発揮できるわけではありません。
スキルのパフォーマンスは課題や状況に影響を受けるため、練習では上手くいくのに本番ではできないということがよく起きるのです。
上達を目指すときは、「本番でも状況に応じて必要なスキルを十分に使える」という状態を目標にしてみてください。
- 練習のための練習:練習で上手くできるようになることを目指す
- 本番のための練習:本番で上手くできるようになることを目指す
スキルを上達させるための5つの要因
ここでは、スキルを上達させるための要因についてお伝えしていきます。
これらの要因を変えることで、より早く大きく上達できるでしょう。
要因①:才能
才能とは、努力では埋めづらい資質のことです。
たいていの才能は努力で埋められますが、そのコストが膨大であるため所持していると有利となります。
例.才能の種類
・肉体的才能:身長、利き手、筋肉の付きやすさなど
・思考的才能:記憶力、思考スピード、思考の粘り強さ、視野の広さなど
・感覚的才能:モノの捉え方、加減の仕方、バランスのとり方、真似の得意さなど
・感情的才能:感情の発露具合、感情の持続時間、感情との距離感など
・マインド的才能:世界/社会/他者への認識、自分への認識、努力への認識など
才能がないのであればそれを埋めるよりも、見切りをつけて自分に向いた挑戦をしたほうが有効になりやすいです。
ただし、才能は「ある/なし」ではなく「程度の問題」であったり、単に遅咲きだったりすることもあります。
本気で上達したい意欲があり、極端な弱みを持っていないのであれば、才能を理由に辞める必要はないかもしれません。
要因②:環境
環境とは、その空間における人や常識、ルールのことです。
私たちは環境に適応する傾向を持っているため、環境に応じた変化を起こします。
- 人:誰がいるのか、それはどのようなレベルや気質の人なのか
- 常識:この空間における当たり前のこととは何か
- ルール:この空間において守るべきもの、破ってはいけないものは何か
基本的にはレベルの高い環境に身を置けば置くほど、自身のレベルも向上しやすくなります。
万年初戦敗退校よりも、万年全国大会出場校のほうが成長しやすいということです。
ただし、環境が優れていても、必ずしもその恩恵を自身が受け取れるとは限りません。
強豪校のベンチ外選手よりも中堅校のエースになったほうが成長できる可能性もあり、環境レベルが高ければ高いほどよいとは一概には言えないのです。
環境で重要なことは、「現在の自分をどれほど上に引っ張りやすいか」です。
この環境では意欲が低下して成長が難しいと感じたら、その要因を見極めて他の環境を探すことをおすすめします。
準備中:環境づくり
要因③:努力
努力とは、課題を解決するための練習を適切な負荷で持続的におこなうことです。
「意図のない練習」ではなく「意図のある練習」を努力と呼びます。
- 意図のない練習:課題と直接関係のない練習内容×時間
- 意図のある練習:課題を解決するための練習内容×時間
意図のある練習をするためには、自身の課題を理解し、それを解決するためのロジックを持つことが重要です。
練習における負荷は成長幅に影響し、それは問題を解決するまでの期間の長さに関わります。
- 課題理解:さらに上達するために伸ばすべきこと、改善すべきこと、問題意識
- 解決のロジック:どうすればその課題を解決できるのか、必要な練習内容と作用機序
- 努力の負荷:練習の過酷さを変えることで効果量はどう変わるのか
ただし、努力とは仮説の検証であり、それが正しい練習なのかはやってみなければ分かりません。
だからこそ努力を続けることは難しく、すぐに成果が出ないと「才能がない」と結論づけて練習をやめてしまいやすいです。
★2種類の努力
努力は大きく「習得のための努力」と「改善のための努力」に分けられます。
どちらの努力をしたいかによって、練習内容は大きく変わるため区別するようにしましょう。
・習得のための努力:そのパターンを無意識的におこなえるようにするための練習
(例.ラケットを持つ感覚に慣れるために壁打ちを8時間おこなう)
・改善のための努力:よりよいパターンを見つけるための練習
(例.より強い球を打つためにさまざまなフォームや力の入れ具合を変えて比較する)
要因④:目標
目標とは、目指している地点の達成条件です。
目標によって課題と期限が変わるため、上達の要因として挙げられます。
- 目的:目指している地点、実現したい状態
(例.裕福な暮らしをしたい) - 目標:目指している地点の到達条件
(例.3年以内に年商1千万円の個人事業主になる) - 課題:目指している地点までの過程にある障害
(例.営業スキルを上げる、マーケティングスキルを上げる、満足される商品を作れるようになる)
上達を促す目標とは、意欲と危機感が高まるようなものです。
意欲だけが高まる目標は努力の負荷を上げることを難しくさせ、危機感だけが高まる目標はやらされている感を強めて継続力が弱まります。
- 意欲:それを達成したい、実現したいという想いの強さ
- 危機感:今それをやらなければ取り返しがつかなくなるという恐怖心や不安感
要因⑤:ノウハウ
ノウハウとは、上達するためのロジックのことです。
誰かが作り出した目標や習得までの地図のようなものであり、ノウハウを理解することで次の効能を得られます。
- 練習による成長効率が上がる
- 意識すべきポイントが分かる
- 上達することへの不安感が軽減され努力することに集中できる
同じ努力量でも、設定する課題や配置する順序、努力への精神状態によって成長幅が大きく変わります。
全ての人にとっての正解は存在しませんが、もし自分に適したノウハウを手に入れられれば、より早く大きく上達することが可能になるでしょう。
★指導してみよう
自分なりのロジックを確立するためには、「どうすれば上達するのか」を誰かに指導してみるのがおすすめです。
再現性に関する流れや押さえどころなどを言語化することで、分かっていることと分かっていないことを区別できます。
また、自分が未習得のことでも、誰かに教えようとすることでよりよい仮説を見つけられやすくなるでしょう。
たとえ指導をしなくとも、「誰かに教えるとしたらなんて伝えるだろうか?」と定期的に考えてみてください。
スキルを上達させるための5つの手順
上達を目指すときは「決断をする」「計画を立てる」「努力する」という3つの流れが重要です。
ここでは、それぞれの流れについてお伝えしていきます。
- 決断をする:目的設定、情報収集、覚悟を決める
- 計画を立てる:目標と課題を設定する
- 努力する:大量行動
手順①:目的を設定する
まずは、目的を設定することから始めましょう。
上達するにはコストやリスクが伴うものであり、それらに釣り合う成果物であるかを見極めるためです。
目的を明確にするためには、以下の手順で自問自答してみてください。
- 上達したら何が得られるのか
- それを得られたらどんな状態になるのか
- その状態になったらどんな感情が湧くのか
- その感情を得ることは自分にとってどれほど重要なのか、それは何故なのか
手順②:情報を集める
目的を設定したら、その目的地にたどり着くための情報を集めます。
以下のような情報により、この挑戦が可能であり無謀ではないのかを確かめましょう。
また、上達する以外にもその目的を果たせるルートが存在するかを模索することも大切です。
- どのスキルを上げる必要があるのか
- どの順序でスキルを上げる必要があるのか
- 目的地まではどれほどの距離と障害があり、期間が必要なのか
- 目的地まではどのようなルートが存在するのか
- 私のような人がその目的地にたどり着いたことはあるのか
- 目的地にたどり着いた人はどうなったのか、私の欲しいものを手に入れられたのか
手順③:覚悟を決める
目的地、必要なリソース、許容すべきリスクなどが明確になったら、そのルートに進むのかを決断しましょう。
覚悟を決めないと「もっとよい選択肢があるかも」と何度でも迷い、全力を注げないためです。
例.覚悟が決まらない弊害
・他に心移りしやすい:今は仕事よりも恋愛を楽しんだ方がいいかも…
・負荷許容量が低下する:こんなに大変だと思わなかった。もう辞めたい
・完璧主義が助長される:きれいに成功させることが目的になる。遠回りしてでも成功させたいと思えず失敗を恐れる。全力を出せなくなる。才能を言い訳に使う
「もっと上達したい」という欲求が芽生えて覚悟を決められる状態になったら、ようやくより強い負荷に耐えられるようになります。
覚悟が決まらないうちは、興味関心の抱く範囲内で行動することをおすすめします。
手順④:目標と課題を設定する
覚悟が決まったら、今の自分では達成が難しいチャレンジングな目標を設定します。
具体的には、現在の課題を克服しないと達成できないような目標です。
- 今の自分でも達成できる目標:枝葉の変数をいじるだけで達成できる目標
(例.運動が得意な人が健康のためにランニングを始める) - 今の自分では達成できない目標:幹の変数をいじる必要のある目標
(例.運動が苦手な人が健康のためにランニングを始める)
目標を達成するためのルートは無数にあり、そのルートごとに課題が異なります。
選ぶルートによって目的地への近づきやすさが変わる点に注意が必要です。
- 目的地に近づくルート:そのルートで得られた成果物が目的の実現に役立つ
- 目的地から遠のくルート:そのルートで得られた成果物が目的の実現に役立たない、そのルートで生じた損失が目的の実現を阻む
「〇〇の課題を解決できたら目標と目的の達成確率が上がるだろう」という仮説を持てるルートを選びましょう。
そのような仮説を見つけるためには、自己分析、フィードバック収集、ロールモデル戦略などがおすすめです。
- 自己分析:強みや弱み、得意や苦手を分析してボトルネックを探る
- フィードバック:他者から見た自分の現在地や課題を教わる
- ロールモデル戦略:こうなりたいと思える人の模倣をする、その人と自分の違いを分析する

手順⑤:大量行動をする
目標と課題を設定したら、大量行動をおこないます。
大量行動とは課題を解決するための試行回数を増やすという意味であり、ただ行動量を増やすということではありません。
★大量行動のサイクル
①仮説構築:どの課題に対してどうやって解決していくかの計画を立てる
②計画実行:実際に計画を動かす
③効果検証:実行の影響を把握する
④分析:今回の仮説の善し悪しを分析する。この情報をもとに新たに仮説を立てる
大量行動の難しいところは、実行すると計画のすべてを忘れてしまいやすい点です。
集中するといつも通りの行動を実行しやすいため、成功や失敗が積み重ならず学習量が低下します。
大量行動のサイクルが回せない場合は、記録を取ったり、指導者を付けたりなどの工夫をしてみましょう。
★リセットしよう
大量行動をするときは、休息による定期的なリセットがおすすめです。
練習から離れることで、感覚や思考がフラットになり悪影響を及ぼす癖を消せる可能性があります。
また、その場から離れることは自分や目的を見直す機会になり、意欲を再燃させることにもつながるでしょう。
特に何かしらの違和感が生じたときは、それが大きな問題に発展する前に休憩によるリセットをしてみてください。

スキルの上達を妨げる障害
スキルが上達しない理由に、心理的な障害の存在が挙げられます。
合理的な練習メニューがあれば誰もがある程度はスキルを伸ばせますが、感情や思考の問題によって次のような行動にブレーキをかけてしまうためです。
- 上達する方法を探すこと:よりよい練習メニューを見つけるために調べたり尋ねたりすること
(例.成長が頭打ちしたから先輩からフィードバックをもらって取り組むべき課題を見つける) - 上達する方法を磨くこと:自分に最適化した練習メニューを作るために試行錯誤すること
(例.失敗する理由は言葉に棘があるからかもしれない。大切な人だと認識して話す練習をしてみよう) - 上達する方法を実行すること:練習メニューを予定通りにおこなうこと
(例.さて、今日も肺活量を鍛えるために毎日8kmのランニングをしよう)
スキル練度不足によって問題が生じていても、その根底には心理的な障害が原因なことがよくあります。
そのため、ここでは上達を目指すことを妨げる心理的な障害についてお伝えしていきます。
成長を促すときは、ここで紹介する障害を乗り越えるための工夫をしてみてください。
障害①:恒常性
恒常性とは、安全である現状を維持しようとする力です。
恒常性によって、いつもとは異なる成果物を期待しながらも、いつも通りの行動パターンにとどまります。
例.パチンコ
・いつもの成果:3万円の損失
・いつもの行動:お金を支払ってハンドルを握るだけ
・新たに期待している成果:当てて大金を得ること
・期待しているときの思考:今日こそはきっと当たるだろう
恒常性は疑問の放置や、無謀な期待、試行錯誤へのめんどくささを生み出します。
また、現状を認識することを難しくさせ、自分が何をしてどんな結果になっているのかの把握が困難になるでしょう。
- 疑問の放置:疑問を持たない、持っても解消しようと動かない、答えをもらうのを待つ
- 無謀な期待:行動と結果の因果関係を整理しない、宝くじのような確率でも可能性があると信じる
- 試行錯誤へのめんどくささ:求める成果を得るために他の行動を試すことへの腰が重い
恒常性から抜け出すには、記録を取ることが有効です。
「いつ、何をして、どうなって、次はどうするのか」などをその都度記録にとり、その内容を行動に反映させてみてください。
「目的を実現するにふさわしい私の恒常性とは?」と常に自分に問いかけることで、現状に違和感を持てるようになり記録を取ることに前向きになれます。
準備中:コンフォートゾーン
障害②:恐怖心
恐怖心とは、恒常性から抜け出すことを阻害する感情です。
私たちは日常の外側を危険領域と捉える傾向にあり、いつもとは異なる行動にブレーキをかけようとしてしまいます。
例.よくある恐怖心
・一度で成功させたい
・才能のなさを証明したくない
・ダメな自分を何度も見たくない
・今の低能な自分を周りに認識されたくない
・ここで失敗したら今後一切の挑戦権を失う
・結果を知りたくない、フィードバックをされたくない
恐怖心を取り除くには、「そこは危険領域ではない」という体感を得ることが重要になります。
そのための方法として次のものが挙げられるでしょう。
- 小さく試す:リスクの小さな挑戦から始める
- 解釈を変える:バンジージャンプを飛ぶ前に生じるような感覚は新しい挑戦のサインである
- 他者を観察する:実際に挑戦している人を見てリスクが小さいことを確認する
- 致命傷を見極める:本当に取り返しのつかないことは何か、それが起きる可能性はどれほどか
- 失敗を受け入れてもらう:実際に失敗して最悪の事態にはならないと実感する
- 気を付けるべきポイントを押さえる:ロジックを理解して危険領域から安全領域を抽出する
恐怖心にただ従うのではなく、情報の1つとして捉えるようにしてみてください。
「何に対して何故恐れているのか」を言語化して、その感覚を検証することで危険領域を安全領域に変えられます。
障害③:粘り弱さ
粘り弱さとは、短期的な損失を回避するための選択を取りやすい傾向のことです。
たとえば、勉強のストレスを回避するために遊び、学力や学歴、年収などを手放すといった具合です。
また、初心者のような短期間で成長が促される期間はがんばれても、プラトーが訪れると努力できなくなります。
- 短期的な損失:目先のストレス、疲れ、損失
- 長期的な損失:いつか生じる未来のストレス、疲れ、損失
- 短期的な報酬:目先の快感、癒し、利益、成長
- 長期的な報酬:いつか得られる未来の快感、癒し、利益、成長
損失や報酬の解釈を変えることで、粘り弱さが改善されます。
しかしその方法には長い時間を費やす必要があり、あまり現実的ではありません。
もっとも簡単に粘り強くなるには、粘り強い人たちの文化に馴染み、以下の信念を獲得することが有効です。
- 不確実な挑戦であるほど価値があるという認識
- 覚悟を決めたことから逃げることへの強い罪悪感
- 成功は失敗の積み重ねによる成果物であるという希望
自身の粘り弱さが課題だと認識したら、失敗も成長の1つだと捉えるような貪欲に上を目指し集団に所属してみてください。
その集団の信念や価値観を内在化することで、自分が重視する目的に対して粘り強さを発揮できるようになります。
★粘り弱い人の特徴
・明確な損失や報酬を重視しやすい
・短期的な損失や報酬を重視しやすい
・損失や報酬の確実性を重視しやすい
・理想や目的、目標への熱量を忘れやすい

障害④:才能主義
才能主義とは、「スキル練度=才能の大きさ」という信仰です。
才能が結果を決めると考え、自分の行動に大きな制限を設けます。
例.行動への制限
・諦める:努力しても上手くいかないと予測してリソースを割かない
・低難易度を好む:失敗は才能のない証明となり確実な挑戦しかおこなわない
・下調べを徹底する:失敗しないために成功を確信できるまで実行しない
・情報収集をしない:外部の情報を集めなくても成功できる才能があると信じて停滞する
才能主義から抜け出すには、「才能を証明するための挑戦」ではなく「理想を実現するための挑戦」をすることが重要です。
理想を実現するための手段として才能を活用するのであり、たとえ才能がなくても他の手段を模索するのです。
- 才能を証明するための挑戦:自分の才能が本物で素晴らしいものだと他者に認めてもらうことが目的
- 理想を実現するための挑戦:本心からの願望。願望を実現するためのルートが無数にあり、才能はそれぞれのルートの成功確率に影響を及ぼす程度と捉える
また、「才能の有無」や「才能の種類」ではなく「才能の開花率」に注目するのもおすすめです。
たとえちっぽけな才能しかなくとも、その開花率を高めることで目的や目標を達成できる可能性が高まると考えてみてください。
障害⑤:防衛本能
防衛本能とは、外部による攻撃から身を守るための反応です。
ネガティブ感情に伴う行動の多くが防衛本能によるものであり、効果性に関わらず自動的に身を守るための行動を起こします。
例.よくある防衛本能(身体や心を守るための反応)
・攻撃する:相手を怯ませられる、学習させられる
・他責にする:運が悪かった、私には才能がない、味方がもっと上手ければ私は勝てるのに
・努力をやめる:これ以上がんばっても私には才能がないから無意味だろう
・無気力になる:何をしても無駄だから何も考えない、自分から動かない
・関係を解消する:一緒にいると苦しい、私の価値を分からせたい
自身を防衛することは大切ですが、痛みに対して過剰な反応をすると問題になりやすいです。
自分の悪いパターンが防衛本能によるものならば、次の3つの対策をおこなってみてください。
- 攻撃性を分類する:その出来事は私への攻撃であり防衛する必要があるのか?
- 痛みをレベル分けする:この痛みはどれほどのものなのか?
- 防衛パターンを増やす:この痛みに対する適切な防衛パターンには何があるのか?今よりも適切な方法はないのか?
障害⑥:高い自尊心
自尊心とはプライドのようなものであり、自分が優れていると思い込みたい衝動です。
高い自尊心は自信を持つことに役立ちますが、次のような問題行動にも結びつきやすい傾向があります。
- 質問できない:現在の無知さを知られたくない
- 自分でジャッジする:この方法が確実であることを判断できると思い込む
- 他者の意見に反発する:意見を聞くことは相手より劣っていることの証拠だと考える
- 教わり方が受け身になる:「できない=相手の教え方が悪い」とするために自分の創意工夫を差し込まない
自尊心に関する問題を解決するには、「自分への自信」と「能力への自信」に分けることが重要です。
「現在の能力は低いが、努力すれば私なら上達できるだろう」という根拠のない確信を持てることで、挑戦することへの不安が晴れて努力することに全力になれるでしょう。
- 自分への自信:努力すれば何事も成し遂げられると自分の可能性を信じること
- 能力への自信:現在の能力を理解すること、まだ成長段階であることを喜ぶこと
障害⑦:コスパ主義
コスパ主義とは、低い効果性なら実施する意味がないと捉えることです。
常に目的地までの最短距離を渇望し、遠回りすることは許せないと考えます。
例.よくあるコスパ主義
・結論を急ぐ:「それって〇〇ということ」と自分の知っている範囲内だけで結論を出そうとする
・確実性を求める:この方法は本当に効果的なの?そうでないなら私は今のままでいい
・答えを教わりたい:「早く答えを教えてよ」と過程を軽視して結論を重視する
コスパ主義は「ロジック」と「実績」を重要視します。
すでに確立されている方法なら納得でき大量行動ができますが、不確実な方法の場合は腰が重くなり答えを見つけようといつまでも情報収集を続けるでしょう。
- ロジック:何の目的で何をするのか、なぜそれをするとその結果を得られるのか
- 実績:そのロジックの再現性はどれほどか、何人が試したのか
不確実な方法しかないときは、「これ以上情報収集しても答えは見つからない」と観念することが重要です。
「探すよりも検証していく方が早い」と納得することで、ようやく試行錯誤への意欲が高まります、
障害⑧:モチベーション依存
モチベーション依存とは、行動量や努力の質がモチベーションに左右される状態のことです。
何かに感化されてモチベーションが高いときは短距離を走るようなガムシャラな努力をしますが、そのモチベーションが失われた途端にその努力が受動的になります。
例.モチベーションが高まりやすいきっかけ
・ロールモデルの発見
・現状維持への嫌悪感
・トキメク理想の未来の言語化
・他者からのポジティブフィードバック
・他者からのネガティブフィードバック
しかしモチベーションは現状の感覚であり、「欲求の大きさ」ではなく「気分や感情」に近いものです。
モチベーションの程度を根拠に「実施するorしない」を判断することはおすすめしません。
- 欲求の大きさ:努力する目的を自分がどれほど欲しているか
- 気分や感情:短期的な情動
モチベーション依存から抜け出すには、目的に対する欲求の大きさを理解することが大切です。
「私は本当にその未来が欲しい」という土台をまずは育み、その+αとしてモチベーションを活用しましょう。
★モチベーションの活用
・モチベーションを発生させる:自分のモチベーションが高まりやすいきっかけを理解して日常に組み込む
・モチベーションを維持させる:モチベーションが低下する要因を排除する、昨日のモチベーションを今日に持ち込む仕組みを作る
スキル上達を支える3つの支援
ここでは、上達を目指すときに役立つ支援先についてお伝えしていきます。
少しでも早く上達したいときは、ここで紹介する3つの支援をもらえる環境を整えてみてください。
支援①:指導者
指導者とは、目標と課題、課題の解決策を享受してくれる人です。
学校の先生や部活の顧問などが指導者としてよく該当します。
- 目標設定:今から目指すべき地点
- 課題設定:目標を達成するために乗り越えるべき課題とその順番
- 課題の解決策:どのように課題を解消するのか、練習内容や環境づくりなど
指導者において重要なポイントは、現状から理想の状態までの架け橋を作れることです。
関係性や関わり方などはその架け橋を渡らせるための支援に過ぎず、生徒の目的が共有できているならばそれほど重要ではありません。
支援②:フィードバッカー
フィードバッカーとは、現在の状態や過去からの変化、未来への距離感を伝えてくれる人のことです。
家族/仲間/指導者などの「人物」や、テスト/大会などの「結果」がフィードバッカーとして挙げられます。
- 人物によるフィードバック:他者の視点からの解釈が混じった情報
(例.成長したね、気が緩んでるんじゃない、ちょっと痩せたね) - 結果によるフィードバック:現在の状態に対する客観的な情報
(例.数学のテストは80点だった、大会では初戦敗退だった、体重は60kgだった)
フィードバッカーにおいて重要なポイントは、理想にたどり着くために役立つ自分に関する情報を伝えられることです。
フィードバックはアドバイスよりも関係性への影響が大きいため、課題の発見に役立つ重要な情報ほど手に入らなくなります。
ポジティブフィードバックはモチベーションを上げるのに有効ですが、真に有用なのはネガティブフィードバックであり、それを伝えてくれる人は貴重であることを覚えておきましょう。
支援③:目的地までの伴走者
目的地までの伴走者とは、設定した目的地にたどり着くまでの過程を支える人のことです。
指導者、フィードバッカー、目的地までの伴走者の違いは以下のように分けられます。
- 指導者:目的地までの適切な目標や課題、その解決策を教える人(どのルートを進むべきか)
- フィードバッカー:目的地にたどり着くために必要な自分に関する情報を伝える人(今どんな状況か)
- 目的地までの伴走者:目的地までの道のりを正しく走り続けることを促す人(なぜそこを目指しているのか、どう走るべきか、今何を考えるべきか)
目的地までの伴走者において重要なポイントは、プレイヤー自身で舵を握り続けることを促せることです。
そのためにはプレイヤーの理想の理解者であり、人生レベルでのメタ認知する機会を設けられることが必要になります。
- 理想の理解者:目的地を共有しており、その実現可能性を信じられている
- メタ認知する機会の設定:プレイヤーとしての視点と客観的な第三者の視点を行き来させる、現状の課題や進んでいる方向性の確認
たとえばダイエットのためにジムに通っても、続けられる人はそう多くありません。
その理由は多種多様であり正当性もあるかもしれませんが、痩せて実現したいこと自体を手放してしまう場合は問題です。
目的地までの伴走者は、本当に叶えたいことを忘れさせず、失敗しても他の手段で目的を達成することを促します。
どうやったら理想を実現できるのか、理想に近づけるのかを共に考え続けるパートナーであり、現状をよりよい方向に粘り強く進めることに役立つでしょう。
まとめ
上達をするには問題解決を繰り返すこと、すなわち覚悟を決め、計画を立て、大量行動をしていくことが重要です。
大量行動とは仮説検証のサイクルを何度も回すことであり、行動量を増やすことではありません。
- 仮説構築:どの課題に対してどうやって解決していくかの計画を立てる
- 計画実行:実際に計画を動かす
- 効果検証:実行の影響を把握する
- 分析:今回の仮説の善し悪しを分析する。この情報をもとに新たに仮説を立てる
より早く上達するためには「指導者」「フィードバッカー」「目的地までの伴走者」という3つの環境を手に入れてください。
自力では大量行動することも難しく、また有力な仮説を構築しづらいため成長が鈍化してしまいます。
- 指導者:目標や課題、その解決策を教える人
- フィードバッカー:自分に関する情報を伝える人
- 目的地までの伴走者:目的地まで自分で舵を握り続けることを促す人
また、大量行動を阻害する心理的要因と向き合い続け、1つひとつ乗り越えていくことが必要です。
次のような抵抗感を感じたら”感情”と”論理”に分けて、「本当はどうなりたくて、そのためにはどうすべきで、何をしたらそれを実施できるのか」を検討してみてください。
- なんだかやる気が出ない
- めんどくさいからいつも通りにしよう
- よりよい方法があるけどそれを実施する勇気がない

