成長するには、ノウハウだけではなくマインドセットが重要になります。
マインドが整っていない状態では、行動への抵抗感が生じて無理な努力になってしまうためです。
自分が進みたい方向性と一致したマインドでなければ、粘り弱くなりすぐに挫折してしまうでしょう。
この記事では、マインドセットの方法についてお伝えしていきます。
マインドを整えたいときは、ここで紹介する情報を取り入れてみてください。
マインドセットとは
マインドとは、思考や行動を選択する基盤となる信念のことです。
たとえば「他人は怖い存在である」というマインドを持っていると、外出を億劫に感じたり、攻撃的になって自己防衛をしたりするでしょう。
反対に「他人は優しい存在である」というマインドを持っていたならば、人と接触することへの抵抗感が弱まり、ありのままの自分として存在しやすくなります。
もし他者に貢献したいなら、「他人は怖い存在」よりも「他人は優しい存在」のほうが支援をしやすいはずです。
例.ビジネスに関係するよくあるマインド
・お客様は神様である
・仕事は楽しくあるべきだ
・がんばらないとお金は稼げない
・セールスとは売り込むことであり相手の迷惑になることだ
マインドセットとは、自分の理想を実現するにふさわしい信念を持つことです。
過去の経験によりマインドは形成され、役割や時代によって効果性が異なります。
昔は効果的であったとしても、現在は非効果的に作用している恐れがあるということです。
そうした非効果的なマインドを整え、自分の理想の振る舞いを容易にする信念に変えることが、マインドセットの基本的な考え方になります。
例.「お金は大切」というマインドの善し悪し
・子供時代:お金を蔑ろにする行為が抑制される
・社会人時代:お金を稼ぐことばかりに意識が向く、支払うことに大きな抵抗感が生じる
マインドセットのメリット
ここでは、マインドセットをすることによるメリットをお伝えしていきます。
メリット①:一貫性が生じる
マインドが整うと、思考や行動に一貫性が生じます。
基盤となる信念が頑強になって、疑念を抱かずに素早く同じ選択をできるようになるでしょう。
- 効果的なマインド:特例が少なく論理が破綻しづらい、判断に悩む必要がなくなる
- 非効果的なマインド:特例が多くなり論理が破綻しがち、判断に悩むようになる
- 効果的なマインドとはさまざまな状況でよりよい判断を促す、1つの大きな指針です。
たとえば、「仕事とは相手の人生を少しだけ変えるお手伝いをすることだ」という信念なら、情報発信、サービス提供、仲間との協力などにおいて前向きに取り組めます。
一方で、「仕事とは自分の地位を保つ手段だ」という信念では、よいサービスを提供するかもしれませんが、仲間を敵と見なしたり、お客様をカモと認識したりしかねません。
非効果的なマインドも一貫性があるように見えますが、理想と合致していないマインドは場面ごとにさまざまな判断を求められます。
さまざまなマインドを使うことで矛盾が生じて、長期的には他者からの信用を損なう原因にもなるのです。
メリット②:抵抗感が低下する
効果的なマインドセットをすることで、コンフォートゾーンが更新されます。
「義務感」から「当たり前」という感覚に変わり、その結果として行動への抵抗感が弱まるのです。
- 効果的なマインド:「すべきこと」と「したいこと」を一致させるマインド
→抵抗感の少ない無理のない努力になる。 - 非効果的なマインド:「したいこと」を「すべきこと」と捉えさせるマインド
→抵抗感の大きい無理した努力になる。
たとえば「会社内は弱肉強食だ」という信念なら、部下への教育は無駄であり、むしろ自分の地位を脅かす可能性があると抵抗感が強まるでしょう。
一方で「会社は1つのチームだ」という信念を持っていたら、チームとして強くなることが当たり前になり、部下を育てることに意欲的になれます。
マインドにより発生する抵抗感は慢性的なストレスを作りやすく、継続力を低下させる原因です。
無理のない努力をするためにも、より効果的なマインドセットをして行動や思考への抵抗感を緩和してみてください。
マインドセットをするための3つの方法
マインドセットの方法は、大きく3つに分類されます。
ここでは、それぞれの方法についてお伝えしていくので、自分に適した方法を探してみてください。
方法①:刷り込み
刷り込みとは、他者や出来事からマインドをインプットすることです。
一般的なマインドの形成方法であり、学校の授業や職場の新人研修などでよくおこなわれます。
例.刷り込む方法
・教わる
・真似る
・相手の思考を予測する
・フィードバックから学習する
ただし、マインドそのものを直接教わる機会はそう多くありません。
他者に指示された行動や他者の振る舞いから、無意識的にマインドを形成しています。
- マインドを教わる:「世界は怖い人であふれている」と教わる
- 無意識的に形成する:「知らない人に声を掛けられたら逃げなさい」と指導され、「世界は怖い人であふれている」という信念が作られる
刷り込まれやすい条件は、「相手の権威性」と「出来事の大きさ」です。
「あの人の言うことは正しいだろう」と捉えられたり、印象に残る教訓的な出来事が生じたりするほど、他者からの教えを吸収しやすくなります。
それらの条件が整わない限り、相手に教わっても否定的になったり、受け流したりするでしょう。
方法②:自身の肯定
自身の肯定とは、「自分が選択している行動や思考」と「マインド」の整合性を取ることです。
自分の行動や思考を正しいと捉える傾向により、新たなマインドが形成されます。
例.子育てを始めたら潔癖症が治った
・元のマインド:汚いものは許すべきではない、汚れは致命的である
・新しいマインド:多少汚くても人体に影響は少ない、汚さよりもタスク処理を優先すべき
実践経験を積むことでマインドが変容するのは、主にこの方法によるものです。
忙しく大変な中ではできることに限度があり、未経験状態で考えていた理想を実現することはできません。
その理想を持ち続けることはストレスになるため、新たなマインドにより現状を肯定しようとするのです。
- 未経験状態での理想:薄利で多くの人を笑顔にするサービスを提供すべきだ
- 実感した現実:薄利だと継続的にサービスを提供できない
- 新たなマインド:販売者と購入者がwin-winになる事業を展開すべきだ
方法③:論理の検証
論理の検証とは、自分が持つマインドの効果性を確かめることです。
マインドの実験であり、自身でマインドを精緻化できる唯一の方法でもあります。
★論理の検証手順
1.重要な課題を選択する
2.課題における理想の結果を描く
3.理想の結果に必要な行動を選ぶ
4.現状を引き起こしている行動と理由を明確にする
5.実際に「3.理想の結果に必要な行動」をおこなう
6.実験を振り返り、継続してみる
非効果的な行動を促す原因となるマインドを深く知ることで、ようやく新たなマインドに変容する余地が生まれます。
ただし、いらなくなったマインドは「悪」ではないことに注意してください。
効果的であった時期もあり、たまたま今は非効果的な行動を起こしてしまうだけです。
感謝こそすれど恨んだり自己否定したりせず、ポジティブな感情で手放すことをおすすめします。
- 感謝:機能してくれた時期もあった。今までありがとう
- 恨む:こんなマインドを刷り込んだ人は敵である、このマインドは最悪だ
- 自己否定:こんなマインドを持つ私はダメな人間なんだ
マインドセットの要因
ここでは、マインドセットを難しくさせる4つの要因についてお伝えしていきます。
今のマインドを手放せないときは、ここで紹介する要因について検討してみてください。
要因①:ハロー効果
マインドセットにおいて、「何を教わったか」よりも「誰に教わったか」のほうが重視されます。
私たちはハロー効果により、権威のような一部の特徴で全体の情報を評価してしまうためです。
同じ言葉であっても、素人よりも専門家の意見の方が納得しやすいと感じた経験は誰もがあるのではないでしょうか。
- マインドを変えやすい関係性:この人の言うことなら信用できるだろう、この人は好きだ
- マインドを変えづらい関係性:この人は信用できないだろう、この人は嫌いだ
全面的に信用でき尊敬できる人であるほど、その言葉は身になじみやすく、マインドまでをも変えられます。
取りたい行動への抵抗感が強いときは、「私のマインドに影響を及ぼせられる人」を基準に指導者を探してみてください。
要因②:変容への意味づけ
マインドを変えること自体に否定的だと、新たなマインドを取り入れることへの抵抗感が強まります。
- マインドセットに否定的:変えるということは自己否定をすることだ、私が間違っていたんだ
- マインドセットに肯定的:状況に応じて変えるべきだ、マインドに善悪はない
マインドを変えることと折り合いをつけるには、「感謝」「無知の知」「未来志向」が重要です。
「新しい環境や目的地を持ったのだから新しいマインドが必要だ」と納得できない限り、マインドを変えようとすることはかえって苦しみを生んでしまいます。
まずは今のマインドでは上手くいっていない現実を、冷静に把握することから始めてみてください。
- 感謝:そのマインドのおかげで助かったこともあると理解すること
- 無知の知:自分は未熟者でまだまだ完璧であるわけがないと理解すること
- 未来志向:過去への執着ではなく理想の未来を実現することを強く望むこと
要因③:既存のマインドへの執着
既存のマインドを強く信じているほど、新たなマインドを受け入れられません。
そのマインドが精神安定剤の役割を果たしている場合、失われることに強い不安が生じるためです。
例.既存のマインドに執着する原因
・過去の失敗体験:あの失敗を繰り返さないために入手したマインド
・過去の成功体験:このマインドを持っていたから上手くいったという経験
・好きな人からの教え:信頼できる人や好きな人からの贈り物としてのマインド
既存のマインドへの執着を手放すには、既存のマインドが抵抗感を強めている行動をおこなってみてください。
その行動から安全を確認できることで、既存のマインドに執着する理由が失われます。
「このマインドではなくても大丈夫なんだ」と納得できれば、すんなりと新たなマインドを吸収できるはずです。
例.執着の手放し
①新たなマインド:実践するほど早く成長できる
②既存マインドによる抵抗:恥ずかしい行動をしてはならない
③抵抗感が強い行動:みんなの前で歌ってみる
④結果の検証:笑われただけ。それで関係性が崩れることはなかった
⑤既存マインドへの疑惑:恥ずかしい行動=NGではない
⑥⑥新たなマインドセット:迷惑をかけない実践を繰り返すほど早く健全に成長できる
要因④:新たなマインドへの抵抗感
新たなマインド自体に抵抗感がある場合、マインドセットは難しくなります。
抵抗感が強まるマインドとは、主に直感的または論理的に納得できないものです。
例.マインドへの抵抗感
・見慣れない
・恥ずかしい
・正しくない
・机上の空論
・理想とズレがある
新たなマインドへの抵抗感を和らげるには、信じるに足る根拠を見つけることが重要になります。
ただし、根拠を見つけるときは確証バイアスという、自分の信じたい情報ばかりを集める認知の歪みに注意してください。
例.信じるに足る根拠
・そのマインドで成功体験を積む
・そのマインドで成功している人を見つける
目標達成におけるおすすめマインド10選
- 失敗は成功のもと
- 走りながら考える
- 自信は後からついてくる
- 疲労の多くは精神的な錯覚である
- ”がんばった”は他者評価であるべき
- 失敗の数は土台の安定性に影響を及ぼす
- ”足りない”ではなく”ならどうするか”と捉える
- 比較対象は”成功or失敗”ではなく”挑戦ot停滞”である
- 比較対象は”他者”ではなく”過去の自分”と”理想の自分”
- どれほどがんばったかではなく、いかにPDCAを回したか

個人事業におけるおすすめマインド10選
- お金は後からついてくる
- 余白を作れば好機が訪れる
- 誰もが最初は初心者である
- 感謝の数だけファンが増える
- 売上と貢献度には関連性がない
- 事業とは人に影響を与える手段の1つである
- 私や協力者が満足できる未来を目指している
- 情報発信とは特定の人に向けたラブレターである
- 私の代わりはいくらでもいるが今助けられるのは私だけ
- 今まで零れ落ちていた人を救うための支援が事業である
幸福に生きるためのおすすめマインド10選
- 利他は利己から生まれるべき
- もがいている人間ほど美しい
- 本性は言葉ではなく行動に現れる
- ラクなだけの人生は物語としてつまらない
- まずは自分を満たす。それから他人を満たす
- プレゼントを受け取ることは最大の承認である
- ”感謝”と”好意”を伝えても何かが減ることはない
- 幸福は今の恵まれた環境を認識することからしか始まらない
- ”できるorできない”ではなく”やりたいorやりたくない”が大切
- 他人に受け入れてもらうには、まずは自分がその相手を受け入れるべき
まとめ
マインドセットの方法は主に次の3つに分類できます。
- 刷り込み:教わる、真似る、学習する
- 自身の肯定:行動や思考とマインドの整合性をとる
- 論理の検証:今あるマインドを疑い、効果性を確かめるための実験をする
よりよいマインドとは、理想の状態を実現できるものです。
マインドの効果性を検証するためにも、まずは「私はどうありたいのか」「どんな未来を実現したいのか」を明確にすることから始めてみてください。
理想を描くことが難しい場合は、コーチングのような内省の専門家に相談してみることをおすすめします。

