成果報酬型であるフリーランスにとって、やる気の低さは閉業に直結する死活問題です。
余力のあるうちに解決しないと、再就職の危機が訪れてしまうでしょう。
この記事では、フリーランスにおけるやる気低下問題を打破するための方法をお伝えしていきます。
フリーランスにおいてやる気のコントロールは必須技術ですので、徐々に自分の管理術を身につけてみてください。
フリーランスにおけるやる気のゴール
やる気の低下問題を解決するにあたって、やる気と高揚感は別物であることを押さえておきましょう。
夢や目標に対するメラメラとした情熱は大切ですが、その高揚感は熱しやすく冷めやすい傾向があり3日程度しか持ちません。
やる気ではなく高揚感を求めてしまうと、ほとんどの時間をやる気がない状態と認識してしまい作業が滞ってしまいます。
- やる気:やる意味に納得して作業への抵抗感が小さい状態(今日もやるか~)
- 高揚感:取り組みたくて仕方がない興奮状態(めっちゃやりたい!がんばりたい!!)
日々の作業を淡々とおこなうためには、「やってもいいかな」と思える程度のやる気の維持をゴールとして置いてください。
仕事を苦と感じないためにやる気を出すのではなく、苦ではない仕事を続けるためのやる気の維持こそが重要です。
やる気に頼って仕事への苦しさを紛らわすのではなく、仕事を変えたりスキルを磨いたり解釈を改めたりすることをおすすめします。
★「やりたい」と「やらなきゃ」
ほどよくやる気のある状態とは、「やりたい」と「やらなきゃ」が両立している状態です。
ただし、「やらなきゃ」の質こそが重要なため、危機感を感じたときはその感覚と向き合ってみてください。
・やりたい:報酬を求める前向きな意欲
・やらなきゃ:損失を回避する逃避的な意欲
・質の高いやらなきゃ:願望/情熱/目的/理想を実現できないことへの恐怖
・質の低いやらなきゃ:義務感、他者への恐怖、未来への不安、ペナルティへの抵抗感

フリーランスがやる気を出すための3ステップ
ここでは、フリーランスのやる気を取り戻すための手順についてお伝えしていきます。
ステップ①:パターンを見つける
まずは、やる気が低下するタイミングのパターンを見つけてみてください。
やる気が低下する主なパターンはそれほど多くなく、それを克服できればやる気が極端に落ち込むことを防げるようになります。
やる気のなさを自覚したら、それをメモするようにしてみましょう。
受験や就活、就職中や趣味におけるやる気の高低をグラフに落とし込み、過去にあったやる気低下パターンを見つけるのもおすすめです。
ステップ②:原因を突き止める
パターンを見つけたら、なぜそのタイミングでやる気が低下するのかという原因を検討します。
やる気が低下する原因を検討するときは、「なぜなのか?」と少なくとも5回は繰り返し自問自答してみてください。
「やりたくないから/欲しくないから/めんどくさいから」という上辺だけの理由を、やる気を低下させる真の原因だと捉えやすいためです。
腑に落ちるような核心となる原因を究明しないと、「だからなに?」という結論になり行動が伴いづらくなります。
★原因を見つけるときは変容可能なものに焦点を当てよう
やる気が低下する原因を探すと、「日本人だから」「男だから」という変容不可能なものに焦点を当ててしまうことがあります。
実際にそれもやる気を低下させる原因かもしれませんが、それが分かったところで何の対策も練られません。
そういった変容不可能な原因はやる気を低下させるボトルネックではないことも多く、単なる上辺の理由付けである可能性が高いです。
変容不可能な原因が挙げられたら、他の原因を探す、またはその原因を掘り下げてみてください。
・他の原因を探す:日本人であること以外にやる気が低下する原因は?
・原因を掘り下げる:なぜ日本人であるとやる気が低下するの?

ステップ③:原因ごとの対処法を試みる
原因が分かったら、その原因に有効そうな対処法をいくつか試してみてください。
ここで重要なことは、効果測定をすることです。
何を試してどうなったのかを把握することで、同じパターンでやる気が低下したときに有効な対処法や対策をすぐにひねり出せるようになります。
やったらやりっぱなしということが多いため、「どの期間で何を試しどうなったのか」というメモを残すようにしましょう。
★試した対処法の効果が低いとき
「対処法を試してみてもやる気が出ない」という場合があります。
これはボトルネックだと思っていた原因がそもそも間違っている可能性が高いです。
他の原因を探し、その原因に対して改めて対処法を考えて試してみてください。

フリーランスのやる気が低下するよくあるパターン
ここでは、フリーランスがやる気を低下させやすいタイミングについてお伝えしていきます。
パターン①:寝る直前
夜になると気持ちが落ち込み、仕事への意欲が低下しやすくなります。
ネガティブなことを考え、モヤモヤとした状態で寝付くことも難しくなり、寝不足になってさらにやる気が上がらないというサイクルに突入するでしょう。
しかし、疲れたらネガティブになることは当たり前であり、変えられない生理現象です。
「夜にネガティブにならないこと」だけではなく、「ネガティブから焦点をずらすこと」への工夫も重要になります。
ネガティブにならない:リラックスをして過ごす、楽しいことを考える
ネガティブから焦点をずらす:不安のメッセージを抽出する、モヤモヤを紙に書き出す
★やる気が低下しやすい生理現象
・更年期
・寝不足
・疲労状態
・月経付近
・ストレスフル状態

パターン②:休みの次の日
仕事がもっとも辛い曜日を尋ねると、多くの人が「月曜日」と答えます。
休みの翌日というのはルーティンがリセットされた状態かつ、休みと仕事のギャップが比べやすいためです。
「昨日よりも大変な今日」に対して、やる気を持てる人はそう多くないでしょう。
しかし、仕事日をゼロにすることも、休日をゼロにすることも現実的ではありません。
そのため、休みが終わるタイミングでやる気を戻す自分なりの方法を見つけることが重要になります。
★やる気が低下する休みが終わるタイミング
・休日や祝日
・仕事途中の休憩
・お盆やお正月などの特別な連休
・家族旅行やライブなどのイベント

パターン③:他者比較したとき
自分よりもすごい人がいる現実と向き合うと、大きなストレスが生じます。
焦りや無力感に苛まれ、やる意味を見失いやる気が低下してしまうでしょう。
- 上方比較:自分よりも優れた人や理想の自分と比較する
- 下方比較:自分よりも劣っている人と比較する
無暗に比較をしないことは大切ですが、仕事である以上比較する場面がかならず生じます。
そのため、上方比較をしても心のバランスを保ちつづけられる術を身につけることが必要です。
- 上方比較によるネガティブ思考:今からがんばっても追い抜けない、がんばっている姿がみっともない
- 上方比較によるポジティブ思考:私もそうなりたい、競合のおかげでチャンスが増えている、先に成功や失敗をしてくれて参考になる

パターン④:動き出してから1週間後
何かを決断しても、1週間程度でやる気は低下するものです。
それは多くの人に該当するパターンであり、決断によるやる気は高揚感でしかありません。
「本心ではやりたくないからやる気が続かないんだ」という結論を、安易に導き出さないように注意してください。
★決断してすぐにやる気が低下する理由
・忘却:決断内容を忘れる
・恒常性:過去の自分や周囲の人たちとのギャップに苦しむ
・先延ばし:いつかやろうと機会を待つ、余裕があるため先に休暇を消化する
・困難さへの挫折:多くのやるべきことやその難易度、成功への不確実性から心が折れる
・具体的行動の不明確性:なにをすべきか分からず悩み疲れる
・理想と現実とのギャップ:今の自分や環境では成功するわけがない
最初に感じたやる気を、いつまでも持続すると考えないことが大切です。
「このやる気が失われたとき、どうしたら決断した行動を続けられるのか」という自分なりの工夫を編み出しましょう。
決断した行動を阻む思考や行動に注目すると、自分に適した工夫を見つけやすいのでおすすめです。

パターン⑤:目標達成まで残り2割程度
私たちには、ゴールが見えた途端にやる気が下がるという傾向があります。
ゴールしたのも当然だと錯覚して、残ったタスクに意味を見出せなくなるためです。
★目標達成間近にやる気が低下する理由
・結果への恐怖:失敗したらどうしよう、努力は無駄だったのかも
・無意味感と多忙感:ここまできたらやってもやらなくても同じだろう
・次のステップへの迷い:次は何しよう、このまま進んでいいのかな
・批判による心理的ダメージ:もう挽回できない、もうやめてやる
誰もが詰めは甘くなるものであり、だからこそここで気を引き締める自分なりの工夫が必要になります。
最後のひと踏ん張りを可能にさせる、仕組みや解釈を探してみてください。
受験日直前や納期間近などを思い返すと、自分の成功パターンと失敗パターンが見えてくるでしょう。

フリーランスのやる気がなくなる主な原因
ここでは、やる気の維持を難しくさせるよくある原因についてお伝えしていきます。
やる気を低下させるボトルネックが、かならずしも深刻な問題ではないことに注意してください。
原因①:仕事が簡単だから
どれほど意味のある仕事であっても、それが自分にとって簡単すぎるとやる気が低下します。
工夫の余地がないことによるマンネリ化や、自己重要感が低下することによる苛立ちから、やらされている感が一層強まるためです。
- マンネリ化:いつも同じことばかりで退屈
- 自己重要感の低下:私はこんな簡単な仕事しかできない(任されない)
締切目前まで先延ばしにして刺激を味わおうとする人もいますが、そのスリリングさはネガティブな結果を招きやすいです。
仕事への難易度が問題だと気づいたら、自分や周囲がプラスになるような目標を再設定してみてください。
★仕事が簡単なときの対処法
・仕事パターンを見直す:最初の2割の時間で全体像をつくり残りの8割の時間で質を高める
・仕事の断捨離をおこなう:簡単な仕事を断り、難しい仕事を入れる余白を作る
・難しい目標に再設定する:より早くラクになることや殻を破るような大きな成果を目指す、他者に評価してもらう

原因②:作業が苦痛だから
特定の作業への抵抗感が強いと、仕事そのものへのやる気が低下してしまいます。
仕事をしたくないと感じたら、「仕事そのものが嫌」なのか「特定の作業が嫌」なのか区別するようにしましょう。
特定の作業がなくなったと仮定したとき、「それならその仕事をやってもいい」と思えるのなら「特定の作業が嫌」に分類されます。
- 仕事そのものが嫌:この仕事をする意味がない、むしろ仕事をするほど自分や他者を不幸にする
- 特定の作業が嫌:仕事をする意味はあるが苦手な作業がありストレスが溜まる
例.苦痛の原因
・複雑な人間関係:あの人のことが嫌い、あの人に嫌われたらどうしよう
・理想の自分との比較:うまくできると思っていたのにダメダメだ、無力感、絶望感
・正解が分からないタスク:不確実性が高い、改善方法が分からない、停滞感
・他者からのフィードバック:ダメだしされるのが嫌だ
・未熟なスキルを活用するタスク:また失敗して恥をかくだろう、あの人よりも劣ってる
・苦手意識が強いスキルを活用するタスク:汚い、めんどくさい、すごく疲れる
作業が苦痛である場合は、「どの作業が」「なぜ苦痛に感じ」「どうすれば和らぐのか」を明確にしてみてください。
時間経過で苦痛を和らげることもありますが、抵抗感が強い場合はストレスに耐えられずに仕事を放棄したり、精神的に病んだりします。
強い苦痛を感じる作業があるのなら、能動的にその作業にてこ入れすることをおすすめします。
★作業が苦痛なときの対処法
・スキルを高める:人間関係能力や専門的なスキル、楽しむ力などを高める
・自分への期待を下げる:「絶対に失敗しない(成功する)自分像」を手放す
・苦痛の原因を排除する:やめる、減らす、外注する、割り切る

原因③:動機がなくなったから
動機とは目的であり、仕事をすることで得られるとを期待する報酬のことです。
自分の動機を見つけるためには、フリーランスになった理由を思い返せば見つかるはずです。
例.よくあるフリーランスになった動機
・休みをコントロールするため
・収入をコントロールするため
・人間関係から解放されるため
・専門的な技術を身につけるため
・自分にしかできない大きなことを為すため
一般的な報酬といえば”お金”ですが、それだけで長期的に満足できる人はそう多くありません。
報酬感には慣れが生じやすく、動機として機能しなくなることがあるためです。
そうして「フリーランスでがんばる意味」が失われると、やる気を出す必要性がなくなってしまいます。
- 会社員時代:自由になりたい!
- フリーランス初期:会社員に戻りたくないからがんばる!好きに稼げるのが楽しい!
- フリーランス中期以降:自由に稼ぐことに飽きた、なんのためにがんばるべきかがわからない
「仕事への無意味感」や「漠然とした未来への不安」を感じたら、それは動機を見失っている可能性が高いです。
自分を突き動かす動機を探すとともに、今の仕事を続けてよいのかを検討する必要があるでしょう。
動機を探すときは、上辺の欲求ではなく、核心的な願望を見つけることが大切です。
「他人軸的な願望」と「自分軸的な願望」を区別して、自分軸的な願望を動機として据えるようにしてください。
★動機を見失ったときの対処法
・過去の動機を思い出す:なぜフリーランスになったのか?
・現状維持を目的にする:今のままであり続けるにはどうすればよいのか?
・別の新しい欲しいものを見つける:私はどんな人生にしたいのか?どこを目指したいのか?どんな報酬を魅力的に感じるか?自分の喜びポイントとは?何に興味関心があるのか?

原因④:葛藤が生じているから
葛藤とは、複数の選択肢のうちどれを選べばよいのかで迷っている状態のことです。
フリーランスは自分の行動を自由に決められるため、「選ぶべきもの」と「選びたいもの」との葛藤が生じてやる気が低下します。
- 選ぶべきもの:仕事、家事、育児などの役割的な義務
- 選びたいもの:遊び、休み、黄昏、自己実現などの回避的または接近的な欲求
フリーランスになりたての頃は、フリーランス活動が「選びたいもの」と分類されているため、遊びよりも優先度が高い状態です。
また、「朝は仕事の時間で夜は自由な時間」という会社員時代の習慣が継続しているので、葛藤が起きずに仕事に集中できます。
しかし、一度でも朝から仕事をサボったり、やらされている感が強まったりすると、仕事をするときに葛藤が生じるようになります。
「仕事をするかorしないか」で毎日悩むようになり、仕事をすることに対して消極的になるのです。
- 接近的な欲求:それが欲しいから選びたい(映画を見たいから休みたい)
- 回避的な欲求:それを避けたいから選びたい(仕事から逃れるためにゲームをしたい)
葛藤が生じるようになったら、「どんな選択肢があり」「その選択肢に隠れた欲求は何か」を明確にしてみてください。
それを踏まえて改めて選択肢を検討し、選びなおすことで葛藤が収まりやすくなります。
★葛藤が生じているときの対処法3選
・1日のルーティンを決める:朝の流れを決めて習慣にする、特例を作らない
・葛藤が生じづらい状態づくり:よく寝る、整理整頓する、誘惑物を視界に入れない
・週ごとにルールやノルマを設定する:いつまでになにをすべきかを決めて具体的な行動をスケジュールに落とし込む、仕事をしてもいい時間帯を決める

原因⑤:仕事モードに切り替わらないから
私たちには「お休みモード」と「仕事モード」が存在します。
家ではどれだけ自堕落であっても、会社に出るとシャキッとするのはその切り替えがおこなわれているためです。
- お休みモード:副交感神経が優位な状態
- 仕事モード:交感神経が優位な状態
在宅ワーカーのフリーランスは、このスイッチを切り替えるきっかけを失ってしまいます。
仕事が休日の延長線上になり、リラックス状態から抜け出せなくなってちょっとした負担でも重く感じてしまうのです。
- 仕事モード:人と話したり買い出しに行ったりすることを負担に感じづらい
- お休みモード:連絡を返すことや化粧をすることすらも負担に感じる
「そもそも仕事モードになっていないのか」「仕事モードになってもやる気が出ないのか」を区別するようにしてください。
仕事モードになっていないのであれば、メリハリをつけるためのきっかけづくりが必要になります。
仕事モードになってもやる気が出ないのであれば、仕事をする意味と向き合ったりストレス源を排除したりすることが有効になるでしょう。
例.仕事モードに切り替えるための工夫3
・仕事着に着替える:仕事部屋や仕事用の服で作業する
・仕事始めに他者と話す:少し緊張するような人と話す、勢いづける
・他者の視線を意識する:コワーキングスペースを利用する、他者の写真を置く、仕事内容を報告する相手を見つける

フリーランスがやる気を維持するためのマインド5選
マインドとは、思い込みや信念などと呼ばれる自分の持つ固定観念のことです。
ここでは、フリーランスがやる気を持ち続けるためのマインドについてお伝えしていきます。
マインド①:仕事は手段
仕事とは何かを得るため、または回避するための手段です。
手段である以上執着する必要はなく、大切なのはその目的だと言えます。
そのため、「何のための手段としてその仕事を選んでいるのか」に焦点を当ててみてください。
- 仕事が目的:その仕事が生きがい
- 仕事は手段:欲しいものを得るための手段としてのフリーランス活動
仕事を手段だと割り切れれば、仕事に対して大きなやる気を求めなくなります。
遊園地に遊びに行くとき、電車に乗ることにはやる気が必要ないように、目的に焦点を当てればその過程を気にしなくなるためです。
「どんな仕事をするのか」ではなく「何を得るためにその仕事を選ぶのか」を検討してみましょう。
もし他にもっと効果的・効率的な手段があるのなら、今の仕事を手放すことも考えたほうがよいかもしれません。
★手段とやる気
手段に対してやる気を求めるのはあまりおすすめできません。
しかし、手段自体がストレスの原因である場合は解決が必要です。
「楽しさを求めている」のか「その作業がストレス」なのか区別してみてください。
・楽しさを求めている:どうなりたいのか、何を試したいのかを検討しよう
・その作業がストレス:何がストレスなのか、代替手段はないのか、解消方法を検討しよう

マインド②:私は初心者
自分は完璧ではなく、至らない点がある未熟者だと認識しましょう。
初心者は失敗をするのが普通であり、「自分は不完全だ」と理解することで失敗耐性が高まるためです。
つまらないプライドを捨てられ、成長を第一に考えられるようになります。
- 私は熟達者である:無様な姿を見せられない、人に質問できない
- 私は初心者である:失敗するのは当たり前、なんでも尋ねられる(謙虚さ)
ただし、いつまでも自分を初心者だと考えていると仕事への責任意識が弱まる危険性があります。
その場合は、「真の熟達者とは何か」を考え、その方向に成長するように心がけてみてください。
学ぶこと、成長すること、挑戦することに意欲的になれるマインドを手に入れられたら、人生がより早く前進するようになるはずです。

マインド③:いつでも辞められる
「選択権は自分にある」というマインドがあると、やらされている感が和らぎます。
自己決定感が強まり、苦しい作業に対しても前向きな気持ちで向き合えるようになるためです。
ただし、「選択権は自分にある」と真に思い込むには、他の選択肢を選べる余裕があることが欠かせません。
「その選択しかできない」のであれば、それは選択権がないのも当然だからです。
- 強い自己決定感:人生はどうせ暇つぶしだ。フリーランスになっても無職になってもいいんだ
- 弱い自己決定感:無職なんてあり得ないからフリーランスを続けるしかない
選択権を失う主な理由は、不幸になることへの強い恐れです。
不幸になる選択が選択肢に入らないから、私にはそれを選ぶしかないんだと考えてしまいます。
自己決定感が低下したら、何を選んでもなんとかなるというマインドを持ちましょう。
そして、そのなかで再選択をして、「いつでも辞められる」と余裕を持ちながら作業に取り組んでみてください。
★選択権と葛藤
「いつでも辞められる」という感覚は大切ですが、葛藤を作り出しやる気を低下させる原因にもなります。
作業に取り組む前、毎回「辞めようかな…」と悩み続けることになるためです。
このデメリットを解消するには、「3カ月は続けてみよう!」というように一定期間ごとに選択することをおすすめします。
悩むフェーズと行動するフェーズに分けることで、葛藤によりやる気が低下しづらくなるでしょう。

マインド④:他者評価は簡単に覆る
失敗を予期するとやる気が低下する傾向があります。
この失敗を恐れる主な理由は、「失敗=周りに馬鹿にされる」という固定観念があるためです。
そして低評価されることは致命傷になると思い込み、失敗の可能性が高まるとその挑戦を回避しようとします。
- 「失敗=馬鹿にされる」:低評価される、からかわれる、恥ずかしい
- 「バカにされる=致命傷」:一度バカにされたらもう終わり、二度と評価は覆らない
しかし、実績さえあれば他者は簡単に手のひら返しをするものです。
誰もが始めは初心者ですが、熟達者になったその人を下手くそだと評価する人はそう多くありません。
「昔は〇〇だったのに立派になった」とたいていは評価を変えるでしょう。
今の評価ではなく、未来の評価に焦点を当ててみてください。
重要なのは誰にどんな評価されるかではなく、求める未来を自分の手で作り出せるか否かです。
- 今の評価:失敗したらなんて言われるだろうか
- 未来の評価:周りからどんな評価をされる私でありたいだろうか
★評価者の目的に焦点を当てよう
自分が否定されたとしても、それが相手の本心であるかを見定めてみてください。
バカにしたり低評価したりするからといって、悪意によるものとは限らないためです。
「愛情」や「未来への期待」から、咤激励や場を和ますための行動であることもあります。
もし自分のためを思ってネガティブフィードバックしているなら、それは今後も関わり続けるべき人かもしれません。

マインド⑤:未来はもっとラクになる
どの仕事でも、少し無理した努力が必要なフェーズが存在するものです。
このフェーズを乗り越えるためには、「ここを乗り越えれば未来はラクになる」というマインドが有効になります。
- マインドあり:ラクになった未来に焦点が当たることで粘り強くなる
→予測:今は苦痛だが継続することで軽減されるだろう。 - マインドなし:今の苦痛に焦点を当てることで諦めやすくなる
→予測:今の苦痛が未来永劫続くだろう。
とはいえ、ラクになることが確約されているわけではありません。
そのため、撤退を決める損切りポイントをどこに設定するかが重要になるでしょう。
- 浅い損切りポイント:合わないと感じた瞬間に辞めよう
- 深い損切りポイント:今から1年は何があっても続けよう
初めから自分にフィットした仕事を見つけることは困難であり、過度な期待をしないことをおすすめします。
損切りポイントを適切に置き、自分がその仕事に適応できるかを検証する機会を設けてみてください。
例.期待による悲観と楽観
・悲観を生む大きな期待:この仕事はラクに稼げるだろう、私ならすぐにトップ層になれるだろう
→行動力が高まりやすいが挫折しやすい。損切りポイントが浅くなりがち。
・楽観を生む小さな期待:1年頑張れば月商30万円は稼げるようになるだろう、10年生き残ればトップ層になれるだろう
→挫折しづらいが行動力が低下しやすい。損切りポイントが深くなりがち。

まとめ
私たちはいくつかのタイミングと原因で、やる気を低下させています。
フリーランスとしてのやる気を維持するためにも、その主なタイミングと原因を明らかにして、折り合いをつけられるようになりましょう。
やる気が出ない原因の言語化が難しいときは、コーチングやカウンセリングを受講してみてください。
内省の専門家に相談することで、短時間で自分の本当の気持ちや考え、期待や恐れなどを見つけられるはずです。
