「好きこそものの上手なれ」という言葉もあるように、”好き”は行動や成長の原動力になる感情です。
仕事においても同様で、嫌いなことよりも好きなことで稼いだ方がきっとうまくいきます。
しかし、一概に好きといってもその感情には強弱があり、すべての好きが仕事に耐えられるわけではありません。
また、稼ぎやすい好きと稼ぎづらい好きがあり、好きの稼ぎやすさによっても仕事にすべきかは判断が異なるでしょう。
つまり、好きなことを仕事にするかは慎重に判断すべきということです。
この記事では、好きなことを仕事にするための考え方についてお伝えしていきます。
就職や副業、転職について悩んでいるときは、ぜひここで紹介する情報をもとに自分の好きと向き合ってみてください。
好きとは何か
ここでは、好きの正体をもう少し掘り下げていきます。
好き①:好きの種類
好きという感情とは、報酬感を得られる状態のことです。
得られる報酬感には主に次の2つがあり、それによって好きという感覚も変化します。
- ドーパミン的な好き:「~が欲しい」という興奮を引き起こす感覚、夢中になりやすい
(例.勝とうとすること、恋をすること、続きが気になること) - オキシトシン的な好き:「このままでいたい」という現状に対する心地よさ、リラックスしやすい
(例.同じ行動を繰り返すこと、現状に安心感を抱くこと、仲間や家族と過ごすこと)
人によってモチベーション源になりやすい好きの種類が異なるため、これらの好きは優劣関係にありません。
好きを仕事にするかを考えるときは、自分にとっての重要な好きがどちらの種類かを検討してみてください。
好き②:好きの強度
好きの強度とは、それをどれほど好きであり続けられるかという耐久性のことです。
好きへの強度が高いほど、報酬を得るまでに生じるストレスを許容できるようになり粘り強さが生まれます。
- 弱い好き:その報酬は欲しいが苦しい思いをしたくない
- 強い好き:その報酬を欲しいしそのためになら苦しい思いも耐えられる
たとえばゲームが好きという人はよくいますが、その多くは好きの強度が弱いです。
困難な目標達成によるストレスに耐えられるほどの強度がなく、ストイックさを求められるとすぐに離脱してしまいます。
- 弱い好き:上位に食い込みたい。でもそのために頭を使いたくない
- 強い好き:上位に食い込みたい。そのためなら情報収集や仮説構築などを積極的におこなう
仕事ではお客様の要望に応えられるように、常に高みを目指さなければなりません。
それに耐えられるほどの強度がないならば、仕事ではなく趣味のままにしておいたほうがよいでしょう。
好きと類似した3つの感覚
ここでは、好きと類似している感覚についてお伝えしていきます。
好きを仕事にしたいときは、これらの感覚と区別するようにしてください。
感覚①:強み
強みとは、優れている自分の資質や能力のことです。
好きも強みの一種ですが、強みという言葉を使うときはニュアンスに以下のような違いがあります。
- 好き:報酬感が得られる状態への欲求
(例.ゲームが好き、Aさんのことが好き、ステーキが好き) - 強み:活用することで報酬感を得られる資質や能力、活用することにストレスが生じづらい資質や能力
(例.算数が得意、慎重に検討することが得意、コツコツ作業が得意)
上には上がいるものであり、他者と比較することで生じる強みへの認識には注意が必要です。
環境によって強みが強みとして機能しなくなった途端に、その行動自体も嫌いになる可能性があります。
- 他者比較による強み:周囲の人よりもうまくできるから私の強みである
- 自己比較による強み:私のなかでは〇〇が得意である
強みから仕事を選ぶ際は、自己比較による強みをもとに考えることをおすすめします。
たいていの職場では自分より高い能力の人がいるものであり、他者比較による強みは強みとして機能しないためです。
例.強みから仕事を選ぶ
・他者比較による強み:私は一般的な人より接客が得意だから、人と接する仕事をしよう
→得意だから好きなのであり、得意でなくなったら好きでなくなる。
・自己比較による強み:私は人と接することが好きだから、人と接する仕事をしよう
→好きだから得意でも不得意でも続けやすい。
感覚②:情熱
情熱とは、たどり着きたい地点への想いのことです。
前進することへの意欲であり、好きとは以下のようなニュアンスの違いがあります。
- 好き:短期的で局所的な報酬への欲求、報酬感を味わい
(例.恋人との雑談が好き、野球をするのが好き) - 情熱:長期的で広域的な報酬への追求欲求、理想を実現したい
(例.恋人と幸せな思い出をたくさん作りたい、大リーグで野球をプレーしたい)
好きと情熱は類似した感覚ですが、「好きだから情熱が生じる」わけでも「情熱があるから好きになる」わけでもありません。
情熱から仕事を選ぶ際は、「その情熱を叶える手段の1つとして好きを活用できるか」を検討してみてください。
- 好きだが情熱はない:野球は好きだが甲子園を目指したいとは思わない
- 情熱はあるが好きではない:二代目として食事処を成長させたいが飲食店が好きなわけではない
- 情熱を叶えるために好きを活用する:家族との思い出を作るために私の好きな旅行をたくさんしよう
感覚③:偽りの好き
偽りの好きとは、好きと錯覚している状態のことです。
損失から回避するための手段であり、「没入しやすくそれが心の安らぎと思える」という特徴が好きと一致しています。
- 好き:他の選択肢を差し置いてそれが欲しい
(例.肉ではなくケーキを食べたい、忙しくてもゲームをしたい、小説を書きたい) - 偽りの好き:他の選択肢を選ぶくらいならそれを選びたい
(例.肉は嫌だから魚を食べる、退屈だからゲームをする、仕事を辞めるために小説を書く)
偽りの好きは、それを実行させる要因があります。
その要因が失われると、偽りの好きへのモチベーションが低下して、やらされている感が生じるでしょう。
- 偽りの好き:ブログを書くのが好き
- 実行させる要因:会社に勤務することへのストレス
- 要因が失われた瞬間:会社に行く必要がないからブログを書きたいと思えない
何かを回避しようとして夢中になっている場合は、それを仕事にした途端に意欲が失われます。
偽りの好きは仕事にすべきではないため、自分の好きが偽物でないかを確かめるようにしてください。
例.偽りの好きを確かめる方法
・方法:負荷をかけてみる
・方法:実行させる要因(損失となるストレス)を解消してみる
好きを仕事にする4つのパターン
ここでは、好きを仕事にするときのパターンについてお伝えしていきます。
「好きなことだけで稼ぐ」以外にも方法があるので、自分に合った仕事の仕方を探してみてください。
パターン①:好きなことだけで稼ぐ
好きなことだけで稼ぐとは、自分が好きだと感じる行動を実施することでお金を得られる働き方です。
「好きなことを仕事にする」で想像したときに思い描く一般的な姿であり、難易度が最も高い働き方になります。
例.好きなことだけで稼ぐ
・歌うことが好き→好きに歌った動画でファンができる
・漫画を描くのが好き→好きに描いた漫画が人気になる
・アリの観察が好き→アリの観察日記や写真集が売れる
好きなことだけ稼ぐことの最大の特徴は、自分のやりたいことと市場の需要が一致していることです。
一切の加工や修正を加えなくともお金を支払いたいという人がいるため、好きなことをただ実行するだけで稼げます。
好きなことが局所的であるほど仕事にすることは難しく、仕事にした途端に好きではなくなってしまう危険性があります。
- 局所的な好き:ボールを投げることが好き、絵を描くことが好き
- 大域的な好き:チームで一致団結することが好き、誰かに希望を与えることが好き
パターン②:好きをもとにして稼ぐ
好きをもとにして稼ぐとは、好きなことを活用した働き方のことです。
好きなことを仕事にするときはたいていこのパターンですが、難易度が高いことには変わりありません。
例.好きをもとにして稼ぐ
・野球が好き→プロ野球選手になり高みを目指し続ける
・ケーキが好き→その地域に求められるケーキ屋を開業する
・歌うことが好き→ファンがつきやすい歌をリリースする
好きをもとにして稼ぐことの最大の特徴は、好きな行動を市場の需要と合うように修正することです。
周りが求めることを実施して、また好き以外の行動も加えることで収益につなげます。
ただし需要と好きなことがかけ離れていた場合、好きなことが薄まりすぎて「何のために頑張っているのか」と迷走する原因になるでしょう。
- 需要に合わせる:視聴数が増えるようにトレンドを取り入れる
- 好き以外の行動を実施する:視聴数が増えるように認知活動やファンサービスもおこなう
パターン③:仕事に好きを取り入れる
仕事に好きを取り入れるとは、好きな作業の比率を増やすことです。
どのような仕事にも好きを活かせる場面があり、その場面を増やすことで「好き=仕事」の状態に近づけます。
例.仕事に好きを取り入れる
・ゲームが好き→ゲーム感覚で仕事を楽しむ
・絵を描くことが好き→資料に絵を挿入する
・手紙を書くのが好き→訪問だけではなく手紙による営業をおこなう
好きを仕事に取り入れるには、目的を明確にして、好きを手段としてどう活用すべきかを検討しなければなりません。
目的に対して非効果的な手段である場合は、単なる好きの押し付けであり、仕事がうまく回らなくなる原因になります。
- 好きが効果的な手段:分かりやすいマニュアルを作るために絵を挿入する
- 好きが非効果的な手段:要点だけを伝えたい資料なのに絵を挿入する
パターン④:やっていることを好きになる
やっていることを好きになるとは、現在の仕事を好きになるということです。
楽しさや意義を見出すことで、その仕事が以前よりも好きになり主体的な態度で取り組めるようになります。
例.やっていることを好きになる
・営業→提案することでお客様の人生を変えられるためやりがいがある
・建築→みんなで1つの建物を作り上げている一致団結感と達成感がたまらない
・インタビューライター→お客様の想いを言語化することは謎解きのようで楽しい
仕事を好きになるには、「行動自体を好きになる」と「行動目的を好きになる」の2つが重要です。
いずれかが欠けると虚無感が生じやすくなり、仕事への熱量が失われてしまいます。
- 行動自体を好きになる:野菜をカットする作業が好き。料理の仕上がりが大きく変わる重要な作業だから
- 行動目的を好きになる:お客様の思い出を作ることが好き。そのための手段として料理を提供する
好きなことを仕事にするかを決める3つの基準
ここでは、好きなことを仕事にするかを決めるための判断基準をお伝えしていきます。
「パターン①:好きなことだけで稼ぐ」「パターン②:好きをもとにして稼ぐ」のいずれかの働き方をしたい場合は、この判断基準を活用してみてください。
判断基準①:好きの目的と強度
好きの目的とは、その好きの核心となる報酬感のことです。
「その報酬感を得るためにどれほどの粘り強さがあるか」によって仕事にすべきかを判断できます。
例.目的と強度
・Aさん:絵を描くことが好き。でも上達するために何時間もがんばりたくない
・Bさん:ゲームをすることが好き。上達意欲はあるがフィードバックされるのが怖い
・Cさん:人を喜ばせることが好き。そのためならどんな努力も厭わない
好きを仕事にしようとするときは、自分の好きの定義を明確にして、その強度を確かめてみてください。
稼ぎにつながりづらい目的であったり、そもそも強度が弱すぎたりする場合は、その好きを仕事にしない方がよいでしょう。
- 稼ぎにつながりづらい目的:ボールを投げること自体が好き
- 好きの強度が弱すぎる:ボールを投げたいが別に向上心はない
判断基準②:稼ぐと好きの一致度
稼ぐと好きの一致度とは、稼ぐために必要な工程のうち好きが占める割合のことです。
稼ぐと好きの一致度が高いほど、稼ぎやすい好きだと言えます。
- 一致度が低い:小説を執筆することは好きだが添削は嫌いだ
- 一致度が高い:編集者と打ち合わせすることもニーズに合った小説を書き添削することも好きだ
一般的に、稼ぐためには幅広いスキルが求められます。
好きなこと以外の比率のほうが高くなりがちで、かえって嫌な作業ばかりやらなければならないこともざらにあります。
好きなことを仕事にしようとするときは、その仕事における好きではない作業を許容できるのかを確かめるようにしてください。
- 許容できる:好きな比率は低いがその他の作業も嫌いではない。この仕事は結構楽しい
- 許容できない:好きな比率は低くその他の作業も苦しいだけだ。この仕事はつまらない
判断基準③:好きにおける稼ぎやすさ
好きにおける稼ぎやすさとは、その好きを活用したビジネスが利益を生みやすいのか否かということです。
この判断をするためには、以下の指標が活用できます。
- 利益の上限:すべてがうまくいったときの利益の大きさ
- 利益の上限に至る可能性:一般人がその業界でトップ層になれる可能性
- 一般的な水準:ほとんどの人が得ている利益の大きさ
- 一般的な水準に至る可能性:一般人がその業界で平凡な成功を収められる可能性
好きなことがかならずしも、生活を安定させるほどの需要があるとは限りません。
トップ層のみの需要であったり、お小遣い程度しか稼げないライト層ばかりの需要であったりすることもよくあります。
好きなことを仕事にしようとするときは、自分の好きを活かせる仕事をリストアップして、それらがどれほど稼ぎやすいのかという期待値を客観的に検討してみてください。
好きなことを仕事にする手順
ここでは、好きなことを仕事にするときの流れについてお伝えしていきます。
この手順の途中で止まってしまう場合は、コーチングのような目標達成を支援する専門家に相談してみてください。
手順①:好きを言語化する
まずは、好きを言語化して核心を見つけましょう。
どんな瞬間に期待して、それを得たら報酬感が生じるのかを明確にしてみてください。
- 核心から遠い:漫画を描くことが好き
- 核心から近い:キャラクターを憑依させるのが好き、物語を作るのが好き、読者に喜ばれるのが好き
核心的な好きかを判断するには、具体的に報酬感が生じる瞬間をイメージすることが有効です。
そのイメージにおいて報酬感が生じないパターンを模索することで、核心に近づけます。
例.漫画を描くことが好き
1.漫画を描くことが好きだ
2.漫画を描いていても楽しいときとそうでないときがある
3.漫画を描いて楽しいときとはキャラに憑依できている瞬間だ
4.キャラに憑依できているときは常に楽しい
5.「私は漫画を描くこと」ではなく「キャラに憑依すること」が好きなのだ
手順②:情熱を言語化する
好きの核心に気づけたなら、次は情熱を言語化して目指したい地点を探します。
情熱を見つけることで、好き以外のタスクを許容できるようになり粘り強さが生まれるためです。
- 好きなだけ:それだけをやっていたい
- 好き+情熱:目的を実現するためにどんな困難にも立ち向かえる
情熱を言語化するには、好きを通して実現したい世界を想像してみてください。
延長線上の未来ではなく、解放された自由な未来を想像することがポイントです。
「そこにとことん熱を注ぎたい!」という感覚を持てるなら、それは情熱だと言えるでしょう。
準備中:情熱の見つけ方
手順③:目的を叶えられる手段を探す
情熱的な目的を見つけられたら、次はその目的を実現するための有効な手段を探します。
情熱のために好きを活用できるのが理想的ですが、かならずしも一致しているとは限りません。
目的への情熱度によっては、実現可能性を優先するために好きを手放す必要もあるでしょう。
- 好き:漫画を描くことが好き
- 目的:子供たちが成長することにワクワクする世界にしたい
- 手段①:漫画家として活動する
- 手段②:小説家として活動する
- 手段③:起業家として活動する
- 手段④:インフルエンサーとして活動する
一致していない場合は自分の心に従って、好きと情熱のどちらを優先させるかを検討してみてください。
ただし、そもそもその情熱的な目的はまだ誰も成し遂げたことのないものです。
目的に対して非効果的な手段だと感じても、実際の効果性は誰かが正確に推測できるものではありません。
★目的はノルマではない
目的は目指す地点ですが、達成すべきノルマではありません。
前進への情熱が生じることこそに価値があります。
世界平和を実現したいからと言って、有効そうな政治家にならなくてもよいのです。
お笑い芸人でもゲーム実況者でも、自分が納得できる方法でその目的を目指しましょう。
自分の好きや得意な手段でその目的を実現できる自信がないならば、同志を集めてそれぞれの方法で同じ目的に向かってみてください。
・Aさん:政治家で世界平和の実現を目指す
・Bさん:お笑い芸人で世界平和の実現を目指す
・Cさん:ゲーム実況者で世界平和の実現を目指す
・有効なマインド:誰かが実現できればOK、少しでも貢献できればOK、自分の仮説が後世に役立てばOK
→全力を出すことを妨げる妥協を生み出していないかを定期的に確認しよう
手順④:手段を小さく試す
手段を選んだら、その選択肢でよいのかを検証してみてください。
いきなり選んだ手段に全賭けすると、次のようなリスクが大きくなるためです。
- 決断の鈍り:もっと慎重に選べばよかったと後悔する、他の選択肢に心惹かれやすくなる
- 損失の増大:引き戻したときにお金や地位などを取り戻しづらいものを多く失う
- サンクコスト効果の増大:なんか違うと感じても引き返せない
小さく試す方法として、副業、バイト、ボランティア、実践者との接触などが挙げられます。
後悔の少ない選択をするためにも、検証では次のことを確かめてみましょう。
- 仕事への納得感:その仕事は目的とどう結びつきそうか
- 仕事の稼ぎやすさ:その仕事で生活はできるのか、稼げるまでの期間や確率
- 好きと仕事の一致度:好きな活動の比率は大きいのか
- その他の仕事への抵抗感:好き以外の活動を許容できるか
手順⑤:ストレスと向き合う
手段の検証をしているとき、そこで生じるストレスと向き合いましょう。
我慢や逃避をするのは最後の手段としてとっておき、まずは折り合いをつけようと試みてください。
- 我慢する:苦しいと感じながらも継続すること
- 逃避する:苦しさを理由に継続をやめること
- 折り合いをつける:苦しさを軽減すること、楽しさに転換すること
折り合いをつけるには、自分の外側と内側の両方からアプローチする必要があります。
好みの方法に偏りがちなので、普段のストレスとの向き合い方を明確にしておくことをおすすめします。
- 外側のアプローチ:スキル的、ノウハウ的な対処
(例.ストレスを軽減させるには何が必要か?嫌な作業を他者に任せられないか?) - 内側のアプローチ:認知的、感情的な対処
(例.なぜそれをストレスと感じるのか?本当はどうなって欲しいのか?)
手順⑥:仕事を決める
ここまできたら、ようやく仕事を決めます。
ストレスを許容でき、目的の実現を目指せる納得できる手段であるかをもう一度確かめましょう。
- ストレスを許容できる:折り合いのつけられないストレスは放置していても問題ない状態
- 納得できる手段である:自分の情熱にそった道であると感じられる選択
ただし、こうして決めた仕事であっても、ストレスや短期的な報酬によって本来の目的を見失ってしまいます。
情熱をもって仕事を続けるためにも、次のことを定期的に振り返るようにしてください。
- 過去の振り返り:どこを目指していたのか?最近はどこを目指そうとしていたのか?
- 目的地の振り返り:まだ当初の目的地への情熱はあるのか?修正する必要性は?
- 手段の振り返り:この仕事はその目的地につながっているのか?他の選択肢は?
今の仕事を好きになるための5つの要素
ここでは、仕事の好き嫌いに影響する要素についてお伝えしていきます。
今取り組んでいる仕事と折り合いをつけたいときは、ここにある要素の改善余地を探ってみてください。
要素①:余力
余力がない状態では、仕事へのやらされている感が強まります。
現在の仕事において、次の3つの余力が確保されているかを確かめてみてください。
- 肉体的な余力:朝からの体の快適さ、身体の痛みのなさ
- 精神的な余力:ストレス度合いの低さ
- 時間的な余力:「仕事に向き合う時間」に対する「実務時間」の比率の小ささ
要素②:職場関係
私たちは環境に影響を受けやすい傾向を持ちます。
環境の中でもっとも影響度が高い要因は、周囲にいる人間です。
好きな人に囲まれていれば居心地よく感じますし、やる気に満ち溢れている人に囲まれていれば自分の視座も高まりやすいでしょう。
職場関係を改善することは一長一短にできるものではありません。
しかし、最初から諦めるのではなく、自分から以下のことに取り組んでみることをおすすめします。
- 距離を取る術を身につける:断る、流す、上辺の愛想よくする、線引きする
- 関係性を深める身につける:自分から心を開く、相手に興味を持つ、相談する、関係性を維持する、共通目的を持つ
要素③:顧客への影響
自分が及ぼす影響によって、仕事への納得感が変わります。
お金のやり取りだけではなく、顧客の悩みや実際の影響について関心を持ってみてください。
- 悩み:どれほど深刻な課題なのか、その悩みによってどんな状態で苦しんでいるのか
- 影響:仕事によってどんな変化を与えられているのか、相手はどれほど喜んでいるのか、相手にとってどんな意味があるのか
たとえばホテルマンならば、「接客をしているだけ」という見方もできます。
一方で「お客様の記憶に栞を挟む作業である」という見方もでき、こちらのほうが熱量が高まりやすい人は多いでしょう。
「自分の行動」ではなく「お客様視点による意味づけ」を模索することが大切です。
自分が及ぼす影響を知るためにも、お客様を深く観察することをおすすめします。
要素④:未来への納得感
未来への納得感とは、この仕事を続けることへの意味感のことです。
納得感がない場合、自分の人生がつまらないもののように感じて退屈感や虚無感に襲われます。
- 退屈感:時間を浪費している感覚
- 虚無感:費やした時間が意味をなしていないことへの自覚
未来への納得感を持つためには、まずは理想の地点を明確にすることが大切です。
仕事だけでなくプライベートも含んだ理想を描いてみてください。
その理想への軌道に乗れていると感じられるほど、未来に納得感が生じます。
要素⑤:苦手な作業の克服
どのような仕事にも楽しめる要素はあるものです。
しかし、苦手だったり嫌いだったりする作業がそれ以上にあり、その仕事自体に悪印象を抱くことがあります。
例.郵便配達
・好き:コツコツとした作業が楽しい、住民の役に立っている感がある
・苦手:バイクの事故をいつか起こしそうで怖い、荷物を紛失したらどうしようと不安になる
仕事を好きになるためにも、現在の仕事におけるネガティブな要素をすべて洗い出してみてください。
それらの要素を解消していくことで、仕事への抵抗感が軽減されて「今の仕事も悪くない」と感じられるようになります。
苦手を克服するには時間も手間もかかりますが、うやむやにしたままだと一生苦しむことになるかもしれません。
一時的に集中して、苦手を克服するための挑戦をすることをおすすめします。
準備中:今から本気を出すためのステップ
まとめ
好きなことを仕事にする場合、以下の4つのパターンに分類できます。
- 好きなことだけで稼ぐ
- 好きをもとにして稼ぐ
- 仕事に好きを取り入れる
- やっていることを好きになる
好きだけで稼ぐことは非現実的であり、好きで稼ぐためにはかならず嫌いなタスクにも取り組まなければなりません。
たとえ好きをもとに稼げるようになっても、たいていは虚無感や退屈感が生じて長続きしないでしょう。
好きなことを仕事にしたいなら、嫌いなタスクも許容できるだけの情熱を見つけてみてください。
その情熱が見つからないうちは、趣味や副業程度にとどめることをおすすめします。