在宅ワーカーにおいて、夫婦関係は事業に大きな影響を及ぼす要因になります。
仕事とプライベートが混濁しやすい環境であり、エネルギーが低下した状態で事業に取り組むことになるためです。
事業をより前進させたいときは、まずは夫婦仲の解消から始めてみるとよいかもしれません。
この記事では、夫婦関係の改善方法についてお伝えしていきます。
「自然体による関係性」を望みがちですが、本当に大切なことは「歩み寄ることによる関係性の構築」です。
夫婦関係を良好に保つための3つの条件
ここでは、夫婦関係を良好に保つための3つの条件についてお伝えしていきます。
夫婦仲が悪化したら、どの条件が満たされていないのかを検討してみてください。
条件①:共通の目的地がある
夫婦とはパートナーであり、敵ではなく味方です。
そして味方とは「自分を擁護してくれる存在」ではなく、「同じ目的地を目指す存在」のことを指します。
- 敵:目的地を目指すことを阻む存在
- 味方:目的地を目指すことを促す存在
「自分の目的地」と「パートナーの目的地」に大きなズレがあると、お互いに独立、または敵として認識します。
いずれにしても夫婦関係を維持する動機が失われてしまい、お互いにお互いが足を引っ張っている感覚を抱くでしょう。
- 敵:この人がいるから私は上手くいかないんだと感じる人
- 独立:ただ一緒に暮らしているだけで関与してほしくない人
幸せの形は十人十色であり、「夫婦だから目的地は同じはずだ」とは考えないでください。
どの景色を目指したいのかを、言葉を尽くして伝えあうことをおすすめします。
条件②:お互いが助け合っている
人間関係において重要なことは、バランスが取れている感覚です。
お互いが助け合っている関係性でなければ、長く維持することはできません。
例.助け合いの関係性
・商売:金額=サービス
・夫婦:妻の役割=夫の役割
よくある関係性の破綻は、自分ばかりが損をしていると感じることによるものです。
「常に与える側である」という認識は、夫婦関係を維持するベネフィットが低いと判断させ、だんだんと愛情が薄れさせます。
例.自分ばかりが損
・夫は働いているだけでいいなんてズルい
・妻は家事と子育てだけでいいなんて気楽だ
・一般的な男性より収入が低いくせに生意気だ
・結婚してあげたんだから私が家事をしなくても文句を言うべきではない
理想は”お互い様”という対等な関係ですが、実際はそのバランスだとすぐに破綻します。
「自分が少し多めにもらっている」という小さな後ろめたさによる感謝をお互いが持っていたほうが、良好な関係性をしなやかに維持できるでしょう。
条件③:目的地にたどり着ける安心感がある
パートナーに不満を感じる理由の1つは、「このパートナーで大丈夫かな」という不安です。
パートナーの行動や状態に対して「このままでは育児面や事業面で大きな問題が起こり、目的地にたどり着けないかも」と感じさせるような不安です。
例.パートナーへの不安
・この夫(妻)の行動は子供に悪影響かも
・この性格だと夫(妻)は出世できないかも
・この夫(妻)の行動に苛立つため一緒に老後は過ごせないかも
一緒にたどり着きたい未来を見据えているからこそ、相手に厳しいフィードバックをしたり、つい余計なアドバイスをしたりしてしまいます。
相手の欠点を直したいと感じたら、それを放置するとどうなるのかを客観的に検討してみてください。
もし目的地を大きく阻害するものでないと分かれば、その不安感は小さくなるでしょう。
夫婦関係を悪化させやすいNG行為
ここでは、夫婦関係を悪化させる主な行為についてお伝えしていきます。
NG行為①:相手を軽視する
相手を軽視するとは、単にバカにしたり、無視したりすることではありません。
パートナーをいて当たり前の存在だと認識して、関係性を維持するコストを惜しむような状態のことです。
例.相手を軽視した行為
・挨拶しない
・感謝しない
・名前を呼ばない
・遊ぶ時間を許可しない
・無遠慮なアドバイスをする
・相手の時間を無料だと捉える(どうせ暇でしょという態度)
一緒にいる期間が長いほど、パートナーを自分の一部のように感じて愛着が湧くものです。
しかし、自分の手足に感謝することがないように、パートナーへの感謝や思いやりの念までも薄れてしまいます。
そして、相手が失われる可能性が生じない限り、パートナーと同化して役割ばかりを期待するようになるでしょう。
- 同化している:パートナーのすべての貢献を当たり前だと感じる
- 同化していない:パートナーの貢献を認識して感謝の念や申し訳なさを感じる
パートナーを尊重するには、相手は別の人間だと再認識する機会を設けることがおすすめです。
パートナーの家族や職場の人間と交流したり、パートナーが失われた未来を検討したりしてみてください。
NG行為②:不満を聞き入れない
不満を聞き入れないとは、パートナーから要求された改善してほしい課題を拒絶することです。
何が不満なのか、どう変えてほしいのかを提示されても、「でも」と否定しようとしてしまいます。
例.夫婦関係にあるよくある不満
・トイレのドアを閉めてほしい
・靴下を洗濯物カゴに入れてほしい
・食事中はスマホをいじらないでほしい
否定したがる理由は、主に「習慣」「損失感情」「変化への恐れ」が挙げられます。
いずれにしても、感情と論理の両方から納得できないと行動を変えようとする気は起きません。
- 習慣:口癖、自動思考、反射的な行動
- 損失感情:自分ばかりが損をしている感覚、相手への怒り
- 変化への恐れ:現状の心地よさが失われることへの恐怖、後どれだけ改善すればいいのか
改善への抵抗感が強いときは、「不満を解消すること」と「不満を受け入れること」は別物だと捉えてみてください。
まずは相手の不満を受け入れて、自分の行動を変えるか否かは別に考えることをおすすめします。
★不満を聞き入れる恐怖
相手の不満に対して、どれほど自分が折り合いをつけるべきかは悩みやすい問題です。
1つでも聞き入れたら、他にもあれこれ注文をつけられると感じてしまう人もいるでしょう。
「自分の自由」を守るために牽制したがる感覚は、相手への不信感から生じているのかもしれません。
NG行為③:相手を変えようとする
私たちは自分の髪型を直すかのように、パートナーの容姿や行動を簡単に変えようとします。
鏡に映った自分のように感じて、パートナーの感情や論理、労力を考慮に入れなくなるためです。
例.相手を変えることへの抵抗感(関係性が近くなるほどこの思考が生じづらい)
・何か考えがあってこの行動をしているのかもしれない
・この行動を続けるということは何か教訓じみた体験があるのかも
・わざわざ行動を変えさせるほどの大きな問題ではないかもしれない
しかし、こちらが相手を変えようとするほど、その要求を聞き入れることへの抵抗感は強まるものです。
また、そもそも「相手がどう変わったほうがいいか」の正解が存在しないことも少なくありません。
それでも執拗に相手を変えたくなる理由は、主に「反射」「自己愛」「視野狭窄」です。
- 反射:ただ目につく不満を口に出したい
- 自己愛:私の見る目は間違っていなかったと思いたい、理想と現状のギャップ
- 視野狭窄:私の考えだけが正しいという思い込み
相手を変えようと感じたら、「問題」「影響」「原因」について検討してみてください。
重大な問題の場合、優先すべきは問題解決であり、相手を変えることではないことを押さえておきましょう。
- 問題:何が起きているのか
- 影響:その問題によってどんな損失が生じているのか、それはどれほど重大なのか
- 原因:なぜその問題が起きているのか、どうしてその問題がその影響を生じさせているのか
NG行為④:相手に責任を押し付ける
責任の押し付けは、夫婦間でやりがちなトラブル原因です。
関係性を崩しやすい責任の押し付けは、「トラブルへの責任転嫁」と「意思決定への責任転嫁」の2つが挙げられます。
- トラブルへの責任転嫁:パートナーのせいでこの問題が生じたのだと断定すること
(例.こんなにお金で悩むのはあなたが稼げていないから!) - 意思決定への責任転嫁:パートナーに判断を託し自分の責任を回避すること
(例.今日の夕飯は何食べたい?私はどっちでもいいけど子供作る?)
特に意思決定への責任転嫁には注意してください。
無自覚で日常的におこないやすく、押し付ける側と押し付けられる側における認識が大きく剥離しやすいためです。
- 押し付ける側:大きな責任ではない、労力も必要ないだろう、大した意思決定ではない
- 押し付けられる側:すべて自分の責任になる、だから労力をかけなきゃ、面倒な意思決定だ
判断を任せることは相手の負担になりやすいだけではなく、不平等感も抱かせます。
少なくともパートナーがあなたの意見を拒絶していない間は、たとえ自分の苦手な領分であっても一緒に考え責任を分かち合う態度であり続けましょう。
例.オープンクエスチョンに注意
「この箱どうする?」というようなオープンクエスチョンは、意思決定への責任転嫁として疑われやすいです。
そこにあなたの意見が介在しておらず、相手からしたら「自分の意見を出さず責任と負担を押し付けてきた」と捉えられやすいためです。
オープンクエスチョンで尋ねる前に、「自分1人だったらどうするだろうか?」と検討するようにしてみてください。
また、一度オープンクエスチョンで聞いたのであれば、後だしで自分の意見を伝えるのは控えましょう。
それは卑怯だと感じられるとともに、「評価する者」と「評価される者」の関係性が構築されて警戒されるようになります。
NG行為⑤:感情よりも論理を優先する
夫婦関係を悪化させるトラブルの多くは、「正しさ」の論争です。
私と相手のどちらが正しいのかを言い合い、自分の正しさを誇張すること、相手の正しさを退けることで関係性が悪化していきます。
しかし、正しさは多種多様であり、時代や文化、共同体によって変わるものです。
「効率」という正しさをよく基準にしようとしますが、効率だけでは零れ落ちる何かがあり、結局水掛け論に発展します。
例.よく使われる正しさの基準
・勝率:どちらが勝ちやすいか
・正義:どちらがより善か
・効率:どちらが早く終わらせられるか、どちらが安く済むか
結局どのように論理展開しても、折り合いをつけることは困難です。
協調しようという歩み寄りが前提になければ、感情的な問題をクリアできずに、言い争いは永遠に続くでしょう。
★前提のすり合わせ
前提のすり合わせとは、コミュニケーションの目的を共有することです。
何のための会話、旅行、育児、仕事なのかという目的をすり合わせることで、コミュニケーションのズレを回避できます。
「私の前提」と「相手の前提」から共通の「私たちの前提」を作りましょう。
ただし、相手がコミュニケーションの主体であるときは、こちら側が「相手の前提」に寄り添うことが大切です。
NG行為⑥:減点を補うための加点を狙う
夫婦関係を改善するためのコツでは、よく加点を狙った行為ばかりが注目を浴びます。
しかし、実際は加点よりも減点のほうが関係性への影響が強く、焼け石に水どころか火に油のような自体に発展する可能性があります。
- 加点行為:プレゼントを渡す、マッサージをする(相手に尽くす、接待)
- 減点行為:感謝を伝えない、陰口を言う(日常的なストレス行為)
「危機的状況を救ってくれた」というようなインパクトの強い加点でないかぎり減点は補えません。
加点行為は大切ですが、結局はいかに減点されないかが関係性の土台になるのです。
とはいえ、一切減点がない関係というものは存在しません。
「これだけは許せない」というパートナーが持つ致命的な減点基準を、まずは回避するようにしてください。
- 目指す地点:パートナーのこのくらいの欠点は個性として許容範囲だ
- 不可能な地点:このパートナーには1つも欠点がない
NG行為⑦:離婚という切り札を身近に置く
離婚届を肌身離さず持つということはおすすめしません。
離婚という安心感以上に、常に「離婚するor離婚しない」の葛藤に苦しむことになるためです。
また、相手を評価するようになり、歩み寄り併走しようとする態度が失われてしまいます。
- 葛藤:嫌なことがあったから離婚しようかな、でもな……
- 評価:私は採点者である、この相手は不合格だ、離婚届けで脅迫しよう
簡単に関係性を白紙に戻せる状況下では、自分が折れて損失が生じるくらいなら、相手との縁を切ろうとするものです。
自分を変えたくない、けど離婚もできないという状況では、パートナーだけではなくその離婚を阻む要素を恨むようになり、息苦しい人生になるでしょう。
例.離婚を阻む要素
・お金:離婚すると生活できなくなる
・子供:子供には両親が必要だろう
・家族:離婚すると親や兄弟にレッテルを貼られる
・友人:離婚すると友人に馬鹿にされるかもしれない
離婚という選択肢を持っておくことは大切ですが、よりよい夫婦関係になろうとする態度が失われるのならば一度手放してみてください。
「もう離婚しようかな」と毎日悩むのではなく、「今年いっぱいは離婚せずに抗ってみよう」と決断してパートナーと正面から向き合ってみることをおすすめします。
好意的に接するための3つの対処法
ここでは、パートナーに好意的に接するためのコツについてお伝えしていきます。
対処法①:結果を焦らない
パートナーに対して、短期的な結果を求めないようにしてください。
たとえ相手に変わる意思があったとしても、すぐに改善できないことがほとんどだからです。
昨日の今日で変わるものではなく、習慣化されるまで何度も同じことを繰り返します。
もし相手が変わる意思を持っているならば、その意志をどう支え続けるかを考えましょう。
どういう仕組みや環境ならばその意志を持ち続け、新たな習慣を手に入れられるかを相談するのです。
ただし、温度感に違いがあると苛立ちは強まり、パートナーは消極的になります。
基本的にはパートナーの歩調に合わせて、自分は支援者として仕組みの一部になる程度の腹積もりでいることをおすすめします。
★嫌な役目は専門家に任せよう
人を変えることの支援は、親しい人ほど難しくなります。
アドバイスやフィードバックなどの変化に効果的な支援は、適切な距離感からでないと防衛的にさせるためです。
親しい人ができることといえば、行動を継続することを見守り、ときに不安や不満を共有するぐらいでしょう。
自分では関係性が崩れてしまうような支援が必要なら、専門家に外注してみてください。
専門家と関係性を崩そう問題なく、またそのような人からの意見は受け入れやすいものです。
夫婦関係はノーダメージで、自力よりも早く成果を得られることが期待できます。
対処法②:推しに置き換えて接する
関係性が近づくほど遠慮や配慮が失われて、パートナーへの態度はひどいものになりやすいです。
雑に扱い手入れもしなくなり、パートナーとの関係性を深めも維持もしなくなるでしょう。
もしパートナーと何かをすることを億劫に感じたら、「私はパートナーを愛しているが慣れによって認識が難しくなっている」と考えてみてください
そして、その認識を正すための補助として「パートナーを推しと見立てる」ことをおすすめします。
例.パートナーを推しとして見る
・もし推しとデートするならどこに行くだろうか
・もし推しと一緒に暮らすなら何をするだろうか
・目の前にいるのが推しだったら私はどのように振舞うだろうか
このとき大切なことは「パートナーを愛していて失いたくない」という自分の本心を認めることです。
その土台なくして推しに置き換える行為は、ただの現実逃避でありパートナーへの裏切りになります。
あくまで「愛している人への接し方」を模索することを目的に取り入れることが重要です。

対処法③:行動への抵抗感に折り合いをつける
関係性改善を目的に普段とは異なる態度を振る舞おうとしても、その行動には抵抗感が生じるものです。
これは恒常性によるものであり、無自覚な不安や恐怖によって新たな振る舞いを難しくさせます。
例.無自覚な不安や恐怖
・なんだか気恥ずかしい
・優しくするとつけあがるかも
・自分が変わるのは負けた気がする
・私は悪くないのだから変わる必要がない
行動への抵抗感に折り合いをつけるには、行動と内省を繰り返すことが重要になります。
実際に行動して、不安や恐怖を明らかにし、それが真実で妥当なものかを検討するのです。
その一連のサイクルの繰り返しにより、抵抗感が弱まり行動が習慣化されていきます。
★行動への抵抗感と折り合いをつける2つの方法
・葛藤の明確化→行動による実験:行動に伴う不安や恐れを見つけ、それが現実的なものかを確かめる
・行動による実験→葛藤の明確化:まず行動してみて、本当に恐れるべきかを内省してみる
夫婦関係を改善するための3つの習慣
ここでは、夫婦関係が改善しやすくなる習慣をお伝えしていきます。
習慣①:自分のご機嫌を自分でとる
ご機嫌であれば相手を許容しやすくなり、伝え方や振る舞いも柔らかいものになります。
他人に依存せず自分でご機嫌状態を作り維持できれば、パートナーに与える印象も、自分が持つパートナーへの印象もよいものに変わっていくでしょう。
例.自分の機嫌を取る方法
・睡眠を十分に確保する
・ストレスを解消する習慣を身につける
・更年期のようなホルモンバランスの崩れを理解する
夫婦関係を改善するためにもっとも重要なことは、ご機嫌状態を自分で維持する能力です。
ただし、常時ご機嫌状態であることは非現実的であるため、不機嫌状態のときの振る舞い方も考えておくことをおすすめします。

習慣②:抱えている不安を共有する
不安とは「このままではダメかもしれない」という未来への懸念です。
不満の多くは不安から生じるものであり、これらを混同しないようにしてください。
- 不満:表層的なストレス源、現状が焦点
(例.いつもトイレ掃除をしてくれないことが不満である) - 不安:深層的なストレス源、未来が焦点
(例.ルールを守らない行動を見て子供が真似しそうなことに不安である)
不安を共有することで、目的地とその途中にある障害への認識をすり合わせることができます。
定期的に不安を共有すれば、お互いに目指す地点がズレてもすぐに察知できて軌道修正を図れるでしょう。
ただし、「すべての不安は晴らせるはずだ」という信念を持っていると、すべてを自分の理想通りにしようとして、過度な完璧主義になりストレスがより大きくなってしまいます。
不安を共有して、解消できるなら対応して、解消できないなら受け入れることが大切です。
習慣③:「ありがとう」を口癖にする
感謝は自分にも相手にもお得であり、非常にコスパのよい関係性向上に役立つ習慣です。
例.感謝することのメリット
・パートナーの自己肯定感や自己重要感を高められる
・お互いに幸せホルモンが分泌されてストレスが緩和される
・私はパートナーに支えられているという認識を維持できる
ただし、慣れていないと「ありがとう」と口にするのは思った以上に難しいかもしれません。
感謝は借りを作った気分になり損した感覚が生じるためです。
また、「すごい支援を受けたときだけの行動」と感謝する基準が高くなっている人も多いでしょう。
これらの感謝への抵抗感を下げるには、「相手がどう捉えるか」ではなく「自分がどうありたいか」を優先して考えてみてください。
「相手を信頼して反応を期待する」のではなく「どういう自分が好きか」を考えることで下手な邪推をやめられます。
- 相手がどう捉えるか:感謝することで生じる相手の変化への期待
(例.ここで感謝すれば大きな借りにならずに済む、ここで感謝しないと後で文句を言われそう) - 自分がどうありたいか:その状況でどのように振舞う自分でありたいか
(例.素直に感謝を伝えられる私でありたい、人のがんばりを認められる私でありたい)
個人事業主が夫婦関係を悪化させるよくあるケース
ここでは、個人事業主が夫婦関係を悪化させるケースについてお伝えしていきます。
ケース①:本業にかまける
「稼ぐのは自分で、他のことはパートナーに任せる」という役割の明確な区分を個人事業主はよくおこないます。
しかし、この区分はたいていが自分で勝手に決めているものであり、パートナーからの承諾を得ていないものです。
その結果、「働いてばかりで家のことは何もしてくれない」という心象を持たれ、ろくでなしのパートナーであり親であるというレッテルを貼られてしまうのです。
個人事業主が本業にかまける理由は、仕事が好きだったり、家族を養いたいという使命感だったり、働くこと以外に対する無力感だったりとさまざまです。
いずれにしてもパートナーに承諾されない限り、家族からの逃避行動でしかありません。
「仕事と育児を五分五分にする」というわけではなく、お互いの状況や目的地にあった戦略と戦術を一緒に模索することが大切です。
ケース②:自分本位に未来を選択する
夫婦である以上、将来に関することは夫婦の問題になります。
にも関わらず、「事業だから」「自分で稼いだお金だから」と自分本位に未来を選択することがよくあります。
例.自分本位な選択
・相談もせずに借金をする
・相談もせずに投資をする
・相談もせずに事業を大きく方向転換する
すべてを共有する必要はありませんが、将来に影響を及ぼすことは相談して一緒に選択してください。
そうでないとパートナーは不安のあまり、不信感を強めたり大きな怒りを抱えたりすることになり、関係性が悪化してしまいます。
将来の不安を解消するためにも、定期的にお互いに「どこを目指しているか」「今何をやっているか」「何を変えたいのか」を報告しあいましょう。
「自己決定」と「夫婦間の決定」を一致させることは難しいですが、その手間を省くと夫婦関係が破綻するきっかけになります。
ケース③:相手を仕事の仕組みに組み込む
自分で事業を行っていると、パートナーを便利な労力として使いたくなる欲求が生まれます。
しかし、その欲求に従うとパートナーの負担感が強まり、夫婦のバランスが取れなくなります。
例.労力として使いたくなるよくある理由
・頼みやすいから
・自分の仕事を知ってほしいから
・めんどうな作業を押し付けたいから
・誰かを使うという優越感に浸りたいから
パートナーを仕事の仕組みに組み入れるときは、「手伝い」ではなく「外注」として認識しましょう。
手伝いだと見くびり報酬をケチる行為は甘えであり、相手を軽視した振る舞いです。
対等な報酬を与え、仕事をしてもらっていることに感謝してください。
ただし、雇用主としての器ができていないと、パートナーを労働者として見下すことにつながります。
その振る舞いは自分では認識しづらいため、パートナーや他者からフィードバックをもらったら真摯に受け入れることをおすすめします。
例.パートナーを労働者として見下す行為
・言葉が雑になる
・暴言やいじりをするようになる
・「そんなこともできないのか」と能力を貶したりため息を吐いたりする
・労働時間を検討せずに「簡単な仕事だから」と言って面倒な仕事を押し付ける
まとめ
夫婦関係を良好に保つには、次の3つの条件を満たすことが重要です。
- 共通の目的地がある:パートナーを味方と捉える、共通の理想的な未来を描いている
- お互いが助け合っている:少し多めに貰っているが助け合えているとパートナーを捉える
- 目的地にたどり着ける安心感がある:このまま一緒に理想の未来にたどり着けるという効力感がある
共通の目的地を持つことで、不満から不安を見つけ出し、建設的な話し合いが可能になります。
夫婦関係が悪化していると感じたら、まずは自分がどこを目指しているのかを言語化することから始めてみてください。
人によって幸せの形は異なり、「私にとっての幸せ」と「パートナーにとっての幸せ」の形を統合したものが夫婦の目指す地点です。
同じ熱量で同じ地点を目指そうとするならば、夫婦関係を改善できる余地はまだ残っていると考えられます。

