一日の生産性を上げるには、休憩の取り方が重要になります。
朝は元気なのに、昼過ぎにはクタクタで思考が働かなくなっているならば、それは休憩方法が間違っているのかもしれません。
この記事では、効果的な休憩方法と非効果的な休憩方法をお伝えしていきます。
集中力を取り戻すための2つの要素
集中力を取り戻すには、休憩により2つの回復が必要です。
それぞれの要素についてお伝えしていきます。
- 疲労の回復:肉体的な疲れ、酸素不足、栄養不足
- 気分の回復:ストレス、慣れ、飽き
要素①:疲労の回復
疲労の回復とは、肉体的な疲れを癒すことです。
脳や筋肉の酷使による疲れを取ることであり、疲労部位を停止させることが主な休憩方法になります。
脳が疲れているなら思考を休ませ、筋肉が疲れているなら身体を休ませることが大切です。
- 脳の疲れ:考えること、見ること、聞くことによる疲れ
- 筋肉の疲れ:動くこと、同じ態勢であることによる疲れ
要素②:気分の回復
気分の回復とは、感情や感覚などによる疲れを癒すことです。
目の前の作業へのやる気が出ない状態であり、その取り組み以外には関心を持ちやすい特徴があります。
- 肉体的な疲労:脳が疲れているから他のことも手につかない
- 気分的な疲労:疲れを感じて勉強したくないからアニメを観よう
「これは疲労である」と感覚的に認識しますが、それは錯覚であり肉体的な疲労とは異なります。
脳や身体を休ませたからといって回復せず、気分の回復には「癒し」「意欲」「緊張感」の調整が重要になります。
- 癒し:幸せホルモンによる回復効果(ストレスの抑制)
- 意欲:作業に取り組みたいという動機を取り戻す
- 緊張感:今行動しなきゃというストレスを取り入れる

集中力が回復する休憩方法6選
ここでは、集中力が効果的に回復する休憩方法についてお伝えしていきます。
方法①:雑談する
他者とコミュニケーションを取ることは、気分の回復に有効です。
幸せホルモンであるドーパミンやオキシトシンが分泌されて、ストレス量を低減できます。
- ドーパミン:やる気や意欲を生み出す働きがある神経伝達物質
- オキシトシン:信頼感やリラックス効果をもたらす働きがあるホルモン
ただし、誰とどんな雑談をしても集中力を取り戻せるわけではありません。
雑談後のパフォーマンスを記録して、自分に適した相手や話題を見つけてみてください。
準備中:環境づくり
方法②:高負荷の運動
高負荷の運動は、気分の回復に有効です。
激しい運動をすることで、ドーパミンやノルアドレナリンが分泌されるとともに、前頭前野が活性化するためです。
- 前頭前野:計画/判断/注意/集中などの実行機能をつかさどる脳部位
- ノルアドレナリン:覚醒や注意力を高める神経伝達物質
集中力が回復する高負荷運動とは、HIIT(高強度インターバルトレーニング)のような短時間で最大に近い負荷をかけるものです。
体感的にかなりきついと感じるような激しい運動を、休憩を挟みながら4分間おこなってみてください。
しかし疲れすぎるとむしろ集中力が低下するため、自分に適した運動量を模索することが大切です。
方法③:低負荷の運動
低負荷の運動は、脳疲労と気分の回復に有効です。
リズム運動によりセロトニンが分泌されるとともに、脳に酸素が供給されるためです。
- セロトニン:精神の安定やストレス軽減の働きをする神経伝達物質
- 脳の酸素量:座っていると酸素量が減っていき集中力が低下する
無意識的にできるような単調な運動が、集中力を取り戻させます。
足踏みやウォーキングのような息が上がらない運動を、5~10分程度取り入れてみてください。

方法④:ボーっとする
ボーっと何もしないことは、肉体と脳の疲労回復に有効です。
- 肉体の回復:動かない、ラクな姿勢
- 脳の回復:思考しない、何も見ない
黄昏るだけではなく、昼寝をしたりリラックスできる歌を聴いたりするのもよいでしょう。
いずれにしても自身の疲労部位を理解して、そこを休ませようとする目的意識が大切です。

方法⑤:緊張感を味わう
緊張感を味わうことは、気分の回復に有効です。
ストレスが少なすぎる環境では飽きによる疲労感が生じて、むしろ集中力が低下するためです。
ほどよい緊張感を味わう方法として、競争相手や締切を意識したり、よりよくするためのフィードバックをもらったりすることなどが挙げられます。
- よいストレス:取り組む作業から生じるストレス、動く動機になるもの
- 悪いストレス:取り組む作業以外から生じるストレス、動く動機にはならないもの
ただしあくまでも集中力を取り戻すための手段であり、緊張感によりやる気や集中力が低下するならば本末転倒です。
作業に集中できるような緊張感は人によって異なるため、自分に合うものを探すようにしてください。
方法⑥:マインドフルネス
マインドフルネスは、肉体疲労と脳疲労に有効です。
自分の内側にある感覚に注目することで、肉体を休ませるだけでなく、疲労の原因になる自動思考を停止させられるためです。
特に休憩しても思考が休まらない場合は、マインドフルネスを試してみてください。
例.疲労の原因になる自動思考
・妄想:不快な想像をすること
・思考:次の取り組みについて考えること
・葛藤:これから生じるであろう不快な経験に注目すること
・グルグル思考:過去の不快な記憶の再起
・デフォルトモードネットワーク:ボーっとしているときに無意識的に起動する創造的な思考
集中力が低下するNG行動
ここでは、集中力の回復を妨げる休憩方法についてお伝えしていきます。
NG①:座りっぱなし
デスクワーカーであるならば、座りっぱなしによる休憩はあまりおすすめできません。
座る時間が長いほど血流が悪くなり、脳への酸素供給が低下してしまうためです。
座り仕事である場合は、休憩時は立つようにしてみてください。
NG②:スマホいじり
スマホの操作は、次の3つの理由によりかえって疲労を蓄積させます。
- 姿勢:下を見ることに加えてスマホに集中することで呼吸量が減る
- 脳疲労:情報を得ることや思考することにより脳を酷使してしまう
- 比較疲労:他者と自分を比較して「なんで私ばかり大変な目に合っているんだ」と気分が滅入る
肉体労働者ならまだしも、デスクワーカーにとってはさらに脳を疲れさせる原因になります。
もしスマホをいじるなら、癒しを得られる動画や画像を立ちながら観るようにしてみてください。
NG③:長時間の仮眠
集中力を取り戻すためには、仮眠の時間をコントロールしてください。
20分以内が理想であり、30分を超えた仮眠は次の2つのデメリットが生じるためです。
- 睡眠慣性:起きてからしばらく意識がボーっとする
- 生活サイクルの乱れ:夜に眠れなくなり睡眠時間が減少する
効果的な仮眠の方法は、完全に横にならず、椅子に座った状態でおこなうものです。
部屋を暗くして、音を遮断し、寝る前にはカフェインを摂取するとさらによいでしょう。
NG④:予定外の休憩
キリの良いところで休憩することはおすすめできません。
作業におけるキリの良いところはたくさんあり、数分おきに休むことが習慣になって集中できる時間が減ってしまうためです。
作業時間よりも休憩時間のほうが多くなるリスクもあり、休憩が原因でむしろ生産性が落ちるでしょう。
予定外の休憩を取らないためには、周りに誘惑するものを置かないことや休憩を時間で区切ることなどが有効です。
スマホを目の届かない所に配置して、youtubeやSNSにアクセスしづらいようにパソコンの画面を工夫し、タイマーで作業時間を管理することをおすすめします。
NG⑤:疲れ切ってからの休憩
休憩は疲れを感じる前におこなうことが基本です。
疲労が蓄積されると回復効率が悪くなり、長く休憩を取らなければならなくなります。
特に元気な状態のときや自分の好きな作業には没入しがちなため、意識せずとも休憩を取るような工夫をしましょう。
例.休憩を取るための工夫
・他者と一緒に作業をする
・アラームを設定しておく
・どこまでやるかをあらかじめ決めておく
よい休憩をするための5つのコツ
ここでは、効果的な休憩をするためのコツについてお伝えしていきます。
コツ①:休憩を信用する
休憩を信用するとは、「仕事を中断して休むことが生産性を向上させる」と信じることです。
休憩を信用していないと、身体や脳を休めることに罪悪感を抱きます。
休み時間中も働いたり、肉体がかえって疲れたりする行動をおこなってしまうでしょう。
休憩を効果的にするためにも、「自分の休み方で生産性が上がるはずだ」と信じてみてください。
たとえばデフォルトモードネットワークの働きを知っているだけでも、デスクワーカーは休憩が価値あるものだと納得しやすくなります。
コツ②:休憩方法の習慣化
休憩の取り方や休憩内容を習慣にして、いちいち悩むことをやめましょう。
いつ、どうやって休憩するかは事前に決めておき、それを実行することだけに専念してみてください。
- いつ休もうか?:ちょっとした疲れや区切りで休みたくなる
- 休憩で何しようか?:スマホをいじるか否かで毎度葛藤してしまう
→検索履歴やアプリの使用状況で普段の休憩内容を確認してみよう
よくありがちなのは、非効率と分かっていながら休憩中にスマホを触ってしまうことです。
そのような都合の悪い習慣が身についている場合は、「すること」「しないこと」を言語化して紙に書き出すことをおすすめします。
また、「しないこと」を誘発するものは目の届かない場所に置き、それをおこなうまでの手順を3つほど増やすことが有効です。
例.スマホいじりの習慣断絶
・普段:スマホを視認して無意識的にロックを解除する
・工夫①:スマホを視認できないようにする
・工夫②:席を離れる→扉を開ける→箱から取り出す→スマホを触るという手順を設ける
コツ③:ポモドーロの活用
ポモドーロテクニックとは、25分の作業と5分の休憩を交互に繰り返し、それを4セットおこなったら30分の休憩を取るという時間管理術です。
慣れないうちは手間に感じますが、ポモドーロには次のようなメリットがあります。
- 締切効果:25分という締切を作ることでダラダラ作業がなくなる
- 見積力の向上:25分に何を終えられるのかを予測できるようになる
- 取り組みの容易化:タスクを細分化して実行ハードルが下がる
- やめるタイミングの仕組化:夢中になって体力が枯渇することを抑制する、スクリーン無呼吸症候群対策
ただし、ポモドーロテクニックが有効なタスクとは集中力が特に重要になる作業です。
アイデアを思い浮かぶような創造力が必要な作業では、かえって生産性を落とす可能性があります。
ポモドーロテクニックを使ったほうがよいかは、タスクの種類ごとに検討してみてください。
コツ④:セルフトークを使いこなす
セルフトークとは、葛藤を引き起こす自分への言葉掛けのことです。
休憩から作業に戻るとき、「仕事に戻りたくない」というような抵抗感が生じます。
その訴えをしている自分に対して、次のような言葉掛けをすることで作業に取り組みやすくなるのです。
- 5分だけやってみよう
- 作業に取り組んでいる私の方が私は好きだな
- 私の尊敬する人や好きな人も今がんばっているよ
ただし、そのセルフトークによる集中力やモチベーションへの影響を確かめながら、自分に合った言葉掛けを見つけてみてください。
たとえば「私ならできるはず!」という勇気づけのようなセルフトークは、集中力の低下を招く恐れがあります。
コツ⑤:次の仕事に手を付けてから休憩する
休憩してから再び作業に戻りやすくなるには、中途半端に作業を終わらすことが効果的です。
ゼロから始めようとするときに抵抗感はもっとも強まるものであり、少しでも手を付けておくと容易に着手できる傾向があります。
また、休憩中にデフォルトモードネットワークが働き、無意識的にその作業への思考が促され、休みながら働くということが可能になります。
★次の仕事に手を付けてから休憩することのメリット
・抵抗感の減少:何をしようかと考えずに済み迷いが減るため取り掛かりやすい
・生産性の向上:休憩時に脳が自動で思考してくれる
・作業興奮の活用:休憩前にやっていた内容を思い出すことでドーパミンが分泌されて集中力が増す
「休憩後は具体的に何をするのか」「どういう手順で進めていくのか」「最初に何をするのか」を決める程度で十分です。
すぐに取り組めるように準備を終わらせておくだけで、作業に集中しやすくなります。
例.仕事に着手してから休憩するパターン
・キリの悪いところでやめる:1つのタスクを中途半端にやめる
・準備を済ませてからやめる:新たなタスクの準備段階だけ終わらせておく(次のタスクを少しだけ実行しておくとなおよし)
まとめ
集中力を取り戻すためには、休憩で次の2つの回復に努める必要があります。
- 疲労の回復:肉体の疲れ、脳の疲れ
- 気分の回復:癒し、意欲、緊張感
人によって集中力低下の原因はさまざまであり、自分の状況に合わせた休憩方法に変えてください。
ただ休憩を取ればいいのではなく、脳を休ませたいのか、気分を整えたいのかを明確にしましょう。
集中力を回復する方法としてもっともおすすめのものは、雑談することです。
他者との対話は気分転換に効果的であり、スマホをいじる習慣を断つことにも役立ちます。
ただし、誰と何を話すのかによって集中力の回復量が変わるため、仮説検証を繰り返して自分に合った雑談方法を模索することをおすすめします。
