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【内省の方法】内省するための手順と7つのコツ

内省とは、自らの思考・行動・感情を探求することです。

私たちは案外、自身の望んでいることや避けていること、それらの理由などはざっくりとしか把握していません。

普段はそれでもよいのですが、自分の「気持ち」と「行動」を一致させなければならないときは深い内省により理解・整理・意思決定をすることを求められます。

この記事では、内省をする手順と工夫についてお伝えしていきます。

自分の核心を理解するためにも、今回紹介する方法を取り入れてみてください。

内省が役に立ちやすい4つのテーマ

内省せずに方法を変えたほうがよいテーマと、方法ではなく内省したほうがよいテーマがあります。

ここでは、内省したほうが役立ちやすいテーマについてお伝えしていきます。

テーマ①:学習

実践した思考や行動を内省して振り返ることで、より学習量が増加します。

結果につながった行動や意思決定、そこに生じた感情を整理することでパターン化されるためです。

振り返りでは、期待した結果を得るための行動ばかりに注目してしまいます。

しかし、「どんな行動をすればよかったのか」が分かっても、その行動を実施できないことがあります。

その場合は、「なぜその行動を取れなかったのか」「なぜ今回の行動をおこなったのか」を解き明かしてみてください。

★振り返りによる学習で検討したい項目
・状況:どんな状況だったか、なぜ結果を出す必要があったのか
・結果:どんな結果になったのか、どんな結果を期待していたか
・行動:その結果につながった行動は何か、どんな行動をすべきだったか
・意思決定:その行動はどんな意思決定によって実施されたか
・思考:その意思決定をするまでにどんな思考があったか
・感情:その一連の過程で感情はどのように動いたか

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テーマ②:行動の改善

「実施したい行動」と「実際の行動」に不一致が起きているとき、その解決には内省が役立ちます。

実施したい行動への抵抗感を見つけ、それを取り除くことでこの不一致は解消されるためです。

できるけど実施したくない行動、または実施しづらい行動があるときは、自身の行動や思考のメカニズムを観察してみてください。

「だから私は〇〇ではなく△△をしてしまうのか」と納得することが、行動改善の最初の一歩になります。

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テーマ③:ストレスの軽減

ストレスを軽減するには、その正体を正確に認識して付き合い方を決めることが有効になります。

多くのストレスは漠然としたものであり、無意識的に注目しすぎることで増加しているためです。

注目すべきストレスを判別し、重要なストレスの取り扱い方を決められれば、折り合いをつけられるようになります。

強いストレスを感じたら、不快に感じながらもそのストレスの正体に興味を持ってみてください。

★ストレスを掘り下げるためのポイント
・対象:何に対して
・感情:何を感じるのか
・理由:なぜその感情が生じるのか
・理想:どうあってほしいのか
・距離感:それは本当に重要でリソースを割くべきか
・行動指針:それをどう解決するのか、一旦保留するのか、放置するのか

準備中:ストレス解消方法

テーマ④:意思決定への逡巡

私たちは意思決定をするとき、もっともベストな選択肢を探そうとします。

しかし、何を持ってベストなのかは人によって異なり、「一般的な正解」と「自分にとっての正解」が異なると意思決定を迷ってしまいます。

★「一般的な正解」と「自分の正解」が不一致になりやすい意思決定
・この相手と結婚するorしない
・このアイデアで起業するorしない
・漫画家になる挑戦をするorしない

意思決定に迷ったら、まずは「自分が理想とする結果」を明確にしてみてください。

その結果を得るための情報を集めることで、新たな判断基準ができあがり意思決定が容易になります。

例.この相手と結婚するか否か
・一般的な正解:相手が好きなら結婚したほうがいいいかも
・理想とする結果:キャリアアップを目指しながらも幸せな家庭を築きたい
・判断基準:家事や子育てに協力してくれるか、キャリアアップを応援してくれるか
→この相手となら私は「理想とする結果」を得られそうか?

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基本的な内省の方法

ここでは、内省の基本的な手順についてお伝えしていきます。

手順①:内省の準備

深く内省するには、以下のものを用意しましょう。

★「内省の目的」と「目的の重要度」が必要な理由
・内省の目的:目的が不明確だと思考の焦点があちこちにとんで掘り下げられなくなる
・目的の重要度:内省する目的が重要でないと「今はそんなことを考えている場合ではない」と早く結論を出そうと焦ってしまう

手順②:現状の明確化

内省を始めるときは、まずは現状を明確にして状況整理から始めます。

出来事ばかりに注目して、思考や感情が隠れてしまったり、一緒くたに考えたりすることを防ぐためです。

★現状を明確にするための問い
・何が問題なのか:問題視していること
・何が起きているのか:実際の出来事
・どう解釈しているのか:出来事に対する自分の見解、危惧
・どんな行動をしたのか:自分がおこなった行動
・どんな感情が生じたのか:問題によって生じた気持ちや思考

現状を明確にするときに最も大切なことは、「実際の出来事」と「自分なりの解釈」を区別することです。

これらを一緒くたにすると、前提が崩れて感情的で歪んだ答えにたどり着いてしまいます。

区別することが難しい場合は、誰かに聞いてもらい一緒に整理してもらうことをおすすめします。

手順③:理想の明確化

現状を明確にしたら、次は自分が期待する理想を言語化していきます。

問題が問題である理由は、「その出来事自体」ではなく「理想と現実のギャップを生じさせること」にあるからです。

理想を言語化するには、その出来事から生じた感情がヒントになります。

なぜその感情が生じたのか、どんな結果だったら快の感情が生じるのかを検討してみてください。

★理想を明確にするための問い
・本当はどうしたいのか、それはなぜか
・なぜ不快な感情が生じたのか
・何があったら快の感情が生じたのか、それはなぜなのか
・時間もお金も権威も十分にあったら何を望むのか
・10年後どうなっていたいのか
・10年後今回のことに後悔するとしたらその理由は何か

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手順④:原因の明確化

理想と現状が明確になったら、その隔たりを作り出す原因について検討します。

理想を言語化したことで視点が変化し、問題や原因の捉え方がよく変わるためです。

内省では、「外にある原因」ではなく「内にある原因」を探ることが重要です。

「理想を叶えるための行動」を止めている思考や感情に目を向けてみてください。

例.勉強したくない
・外にある原因:勉強する環境が整っていないから
・内にある原因:勉強しても点数が低かったら悲しくなるから

手順⑤:行動プランの策定

理想・現状・原因を明確にしたら、その気づきを行動プランに落とし込みます。

気づきを実際に検証し、新たな思考や行動を習慣づけない限り日常は変わらないためです。

ただし、現状を理想に近づけるための行動は、関連性と安全性が高い必要があります。

いきなり現状を大きく変えようとせずに、小さく刻みながら変化を試みてください。

例.「自分の商品を売ることが怖い」への行動プラン
・関連性高×安全性高:無償で誰かに商品を試す
・関連性高×安全性低:高額で誰かに商品を売る
・関連性低×安全性高:ゲームで気を紛らわす

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内省を難しくさせる8つの阻害要因

自分の中にある答えを探ることが内省ですが、実は非常に難しい技術です。

すでにある思考パターンや防衛本能などが、間違った答えに導こうとするためです。

ここでは、内省を難しくする阻害要因についてお伝えしていきます。

1人で内省をするときは、ここで紹介する阻害要因に囚われていないかを検証しながら進めてみてください。

阻害要因①:制限思考

制限思考とは、「どうせ無理」と自分の願望や行動などを抑えようとする思考の癖です。

前提条件に縛られた思考であり、現実的な考え方を促す一方で、思考の幅を狭めてしまいます。

例.「年商1千万円」が目標の個人事業主
・目標の葛藤:「年商1千万円稼ぎたい」or「たくさん遊ぶ人生にしたい」
・制限思考:大金を稼ぐには大量の時間を注ぐ必要がある
・真の願望①:自分の時間を堪能しつつ隙間時間で目標達成したい
・真の願望②:十分に楽しめるような稼ぎ方で目標達成したい

特に目標やアイデアを出すときは、前提条件を取り払って制限思考を解除することが大切です。

実現可能性や効率性を脇に置き、自由に思考するフェーズを設けてみてください。

★制限思考を取り除く問い
・成功者のAさんだったら何をすると思う?
・お金も時間も無限にあったら何をしたい?
・どんな挑戦も成功するとしたら何をしたい?
・あなたのことを誰も知らない環境だったら何をしたい?
・最後には幸せになることが約束されていたらどんな人生を歩みたい?

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阻害要因②:情報過多

情報が多すぎると、注目すべきポイントを見誤ってしまいます。

自分の願望に注目すべきなのに、他人からの見られ方ばかりを考えてしまうようなケースです。

注目すべきポイントを間違えないためには、目的と問いを定めて視野を狭めることが有効です。

内省しているといろんな思考が生じるため一問一答を心掛け、「目的→問う→答える」のサイクルをまわすことをおすすめします。

★情報過多によるよくある混乱
・焦点の迷い:どこを掘り下げるべきか分からなくなる
・目的のすり替え:考えたいことを自由に考えてしまう

阻害要因③:自動思考

自動思考とは、出来事に対する無意識的に生じるイメージです。

直感的またはパターン化された思考であり、自分にとって常識的な答えなので疑うことができません。

そのため、他のパターンを思いついたり、さらにその先を掘り下げたりすることを妨げてしまいます。

例.商品が売れなくてショックを受けたとき
・自動思考:私には才能がないから誰も買わないんだ
・他のパターン:商品が買われない才能以外の理由
・掘り下げる:誰も買わないことによる影響、重要だと考えている才能、だからどうしたいのか

自動思考を手放すには、視野を広げて自分の思考を検証することが重要です。

「〇〇だと考えているけどそれは100%真実なのか?」と自問自答することで、他の可能性を見つける余地が生まれます。

★自動思考を取り除くための問い
・他者からはどのように見える?(成功者、子供、親、友人、過去や未来の自分)
・他にも原因があるとしたら何がある?
・「当たり前」とは誰にとっての当たり前?
・「最高の〇〇」と「最悪の〇〇」では何が違う?

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阻害要因④:心身の疲労

深刻に悩んでいた内容でも、よく寝たらそう悲観的になることではないと感じた経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。

これはそのときの心身の状態によって、内省の進め方や解釈の仕方が大きく左右されるためです。

★心身が疲れているときの思考の傾向
・悲観的かつ深刻になりやすい
・思い込みの影響を受けやすい
・「すぐに楽になるための答え」を探しやすい
・1つの事柄だけに焦点を合わせて視野が狭まりやすい

どれほど内省技術が高い人でも、心身が疲労しきっているときは非建設的な答えばかりを探して悩んでしまいます。

内省がかえってストレスの原因になってしまうため、元気がないときは思考を止めて息抜きや休憩をすることをおすすめします。

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阻害要因⑤:認知バイアス

認知バイアスとは、非合理的な意思決定を促す心理傾向のことです。

たくさんの種類があり、影響されやすい認知バイアスは人によって異なります。

★代表的な認知バイアス
・権威バイアス:権威のある人の意見は正しいと評価を歪める
・確証バイアス:自分の考えや信念を肯定する情報を優先する
・後知恵バイアス:結果を予測可能だったと判断する
・正常性バイアス:「自分だけは大丈夫」と楽天的になる
・現状維持バイアス:現状のリスクやコストを軽視して変化を恐れる
・利用可能性ヒューリスティック:思い出しやすい記憶や情報に基づいて判断を下す

認知バイアスの影響を抑えるには、自分の意見の根拠を明確にすることが有効です。

客観的に妥当な根拠であるのかを確かめてみてください。

他者やオープンAIに自分の意見と根拠を確認してもらうのもおすすめです。

★認知バイアスによる自分責め
・意見と根拠:なぜ相手を試すことをしてしまったのか。相手を信じきれなかった私は愚か者だ
・確証バイアス:「自分=愚か者」とする根拠ばかりを探す
・後知恵バイアス:その行動は予測可能な完全なる失敗行動だったとして断じる
・利用可能性ヒューリスティック:その選択の背景を軽視して結果と行動に焦点を合わせる

阻害要因⑥:複層的な思考

思考は複層的であり、内省では層を掘り下げていくことが求められます。

思考の最奥に本心があり、表面的な思考についていくら考えても本心とはズレた検討になるためです。

例.仕事するのがめんどくさい
・表面的な理由:疲れたくないから、仕事が嫌だから、やらされている感があるから
・本質的な理由:人生を無駄にしたくないから、がんばっても成果が出ないことが怖いから

深く内省をするには、自分の意見に対して「なぜなのか」「本当なのか」と関心を持つことが大切です。

感情や抵抗感をヒントにしながら、思考の中に隠れている本心を見つけ出してみてください。

★複層的な思考
・上層:直感的な意見、外側の情報、言い訳や屁理屈
・中層:思い込み、推測、決めつけ
・下層:価値観、本心

阻害要因⑦:自己防衛本能

深い内省をおこなおうとするほど、不安や恐怖、羞恥心などの自己防衛本能が働きます。

「そんなこと考えたくない」「そんな自分は嫌だ」と抵抗感が生じて、本心から目を背けさせるのです。

例.親に対して不機嫌になってしまう
・上層的な理由:親が私を苛立たせるから、もっとしっかりしてほしいから
・下層的な理由:親に好かれたいから、嫌われる部分を見せないために感情を見せないようにしている

自分を守ろうとするほど、本心を無視や軽視して都合の良い答えを探そうとしてしまいます。

感情が動かない答えや他責的な答えになったら、それは自己防衛本能によるものかもしれません。

自己防衛本能によって下層にある思考にたどり着けない場合は、次の方法を試してみてください。

阻害要因⑧:過去のトラウマや心の傷

内省では、過去の再体験とその分析をおこないます。

もし過去にトラウマがある場合は、心の傷を刺激することになり症状が悪化するかもしれません。

内省によって次のような症状が生じたら、思考を止めて心療内科に相談するようにしてください。

効果的な内省をするための工夫6選

ここでは、効果的な内省をするための工夫についてお伝えしていきます。

内省が必要だと感じたら、ここで紹介する工夫を取り入れてみてください。

工夫①:先に問いを作る

偏った内省にならないためには、あらかじめ質問リストを作っておくとよいでしょう。

まずはその質問リストに一通り答えてから、どこを掘り下げるのかを検討してみてください。

例.コロンビア大学で教えている魔法の質問
①課題は何ですか?
②それがいま課題だと思う理由を教えていただけますか?
③その課題や問題について誰が責任を負うことになりますか?
④課題を10段階で評価したら、その重要度はどれほどですか?
⑤影響:何もしない(または現状維持)ことでどんな影響があるのでしょうか?
⑥これまでに何か実践してみましたか?
⑦課題が解決されたとしたら、何が見え、何が聞こえ、何を感じると思いますか?
⑧その理想的な結果を妨げる要因はなんですか?
⑨これまで起こっていることに対して、あなたが負う責任とはどんなことでしょうか?
⑩あなたが最も臨機応変に対応している状態を想像してみてください。この問題について自分に何と言いますか?
⑪ここで取れる行動の選択肢は何ですか?
⑫選択肢の検討にはどんな基準がありますか?
⑬これらの基準に照らして最適な選択肢はどれですか?
⑭では、最初のステップは何でしょうか?
⑮いつ行動を開始しますか?

工夫②:自分を受け入れる

内省をするときは、自分を評価せずにありのままの答えを言葉にすることが大切です。

目を背けたい自分を受け入れる態度を持てないと、自己防衛本能に負けて都合のよい答えを探そうとしてしまうためです。

「自分の本心を見つける段階」と「見つけた本心を評価する段階」の2つを区別してください。

大切な人に接するときと同じような振る舞いをすることで、ありのままの自分を受け入れやすくなります。

自己受容を進めるステップとは?3つの方針と15の方法ありのままの自分を受け入れられなければ、次のような行動を選びやすくなります。 自分の能力不足を受け入れられずに、重要な課題と向...

工夫③:紙に書きながら内省する

内省するときは、思考の跡の記録を残すようにしましょう。

頭の中だけで考えていると、次のような問題が生じやすいためです。

思考が深層に進むほど、「内省すること」と「検討すること」を同時に行うことは難しくなります。

シンプルで局所的な問いへの答えを短時間で見つけるときだけに限り、頭の中だけで考えることをおすすめします。

工夫④:専門家に支援してもらう

内省する技術が目標達成の手段であるという場合は、内省の専門家に相談することを検討してみてください。

内省技術の習得には時間がかかり、そのためにリソースを割くことはあまり効率的ではないためです。

また、誤った内省は非合理的な思考を強化して、本心とはかけ離れた意思決定をする原因になります。

重要な判断が必要なときほど、専門家の支援を受けたほうがよいでしょう。

★内省の専門家と主な支援テーマ
・コーチ:理想の発掘、精神的課題が原因の問題解決や目標達成、成長の支援
・心理療法士:心の問題を抱えた人への支援、回復の支援

【コーチングとは?】向いている課題と効果的である3つの理由コーチングとは相談者の可能性を最大化して、刺激的な人生を歩むことを支援をする技術です。 自己理解や困難な目標達成などに効果的であり...

工夫⑤:内省する習慣を身につける

内省はできる限り、単発で終わらせるのではなく継続してみてください。

内省を習慣にすることで、次のようなメリットが生じるためです。

単発の内省では「気づきを得るだけ」になりやすく、日常を変えるまでの影響を及ぼしづらいです。

「内省→気づきを得る→検証行動する→検証内容を内省する」という一連のサイクルを回すことで、より重要な気づきが得られて日常が変化していきます。

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工夫⑥:常識が覆るような体験をする

自分にとっての常識が覆ったり、浮き彫りになったりするような体験は、効果的な内省をするための糸口になります。

自分の常識を疑うことで、決めつけが緩んでフラットな視点で内省できるようになるためです。

いくら考えても答えを見つけられないときは、思い切った挑戦をしてみてください。

「この経験をしたら自分はどんな反応を示すだろうか」と自分に興味を持つことで、どのような体験も前向きに挑戦しやすくなります。

★常識が覆るような体験の例
・願望を叶える:3日間寝てみる、高級料理を好きなだけ食べてみる
・新しい体験する:抵抗感のある挑戦をしてみる、異文化を経験してみる
・成功者と一緒に働いてみる:成功者の行動量やマインドを体感してみる

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自己変容と内省の関係性

内省が特に役立つ課題とは、「やりたいけどやれない」という類のものです。

実施すべき行動がわかっていながらも、強い抵抗感によって他の行動を選択してしまうようなケースです。

例.ダイエットにおける課題の向き不向き
・内省が役に立ちやすい課題:運動したいのになんか抵抗感がある、カロリー制限が怖い、痩せる方法を調べるべきなのに調べられない
・内省が役に立ちづらい課題:何をすべきかわからない、足を痛めない歩き方のコツを知りたい

自身または他者の行動を変えるには、その人にとっての合理を解き明かすことが重要になります。

人はそれぞれの合理を持ち、一見すると非合理だと思われる行動でも、本人からするととても合理的だと認識しているためです。

本人の合理ベースでの改善をおこなわない限り、アドバイスも提案も抵抗感を生む原因になり、余計なお世話になってしまうでしょう。

例.ダイエット中にお菓子を食べる人の合理
・私目線:痩せたいのにカロリーが高いものを食べるのは不合理だ
・本人目線:ストレスはかえって暴食の原因になるから疲れたら甘いものを食べるべきだ
・真の恐れ:甘いものを食べない→ストレス過多→周囲からの悪印象→孤独になる

内省とは自分の合理を解明し、その合理を修正するために検証すべきポイントを見つける行為です。

自分を変えるための方法論はたくさんありますが、内省をすることでどの方法論が自分に適しているのかを推測できます。

「試すことすらも難しい」「試したのに自分の行動を変えられない」という場合は、自分の合理を解き明かし、合理を検証する方法を試してみることをおすすめします。

例.汚いものが許せない
・行動での修正:母親になって忙しく家事をしていたら”汚い”の範囲が狭まった
・内省による検討:汚いのが嫌なのは”正義感”からきている。”汚い”のはちゃんとしていない証拠であり悪である

ただし、闇雲に行動した結果として合理が修正されることもあります。

手軽に方法を試せるのであれば、検証の量をとにかく増やしてみることも有効です。

★自己探求のヒントになる5つの視点
・現実:実際に起きた出来事
・解釈:出来事に対する解釈
・行動:実際におこなった動作、実施したくともできなかった動作
・感情:解釈によって生じた感情、行動後によって生じた感情
・思考(考え/信念/価値観/期待/恐れ):解釈を引き起こした思考、行動を促した思考

内省に役立つ思考のコツ7選

ここでは、内省に役立つテクニックについてお伝えしていきます。

コツ①:区別する

区別するとは、1つの思考を明確に分類するテクニックです。

主に次の2つの用途で活用します。

人の思考は絡まりやすく、何について考えていたのかを見失いやすいです。

そんなときは思考を区別することで整理して、思考やテーマごとに内省を進めてみてください。

コツ②:核心に迫る

核心に迫るとは、下層にまで掘り下げるテクニックです。

問題を引き起こすボトルネックを判別することで、掘り下げるべきテーマが見つかります。

★核心に迫るための問い
・結局何が問題なのか?
・実行したことで生じる最悪のケースとは何なのか?
・1つだけ変えられるとして何を変えたら実行できそうなのか?

直感的な思考は上層部分に焦点を合わせやすく、内省が捗らないことがよくあります。

やらない理由や屁理屈、言い訳がたくさん出てくるときは核心に迫ってみてください。

コツ③:目的論で考える

目的論で考えるとは、実施すべきではない行動を選択した理由を検討するテクニックです。

自分が持つ合理を解明するための重要なヒントが見つかります。

例.親に叱られて泣いている人
・原因論:叱られたことが辛くて泣いている
・目的論:泣くことで嵐が去ることを期待している

目的は大きく分けて「何かを得る」「損失を回避する」の2つの期待に分類できます。

「なぜその行動を実施してしまうのか」について考えるときは、これら2つの期待を確かめてみてください。

コツ④:定義を明確にする

定義を明確にするとは、言葉の意味を明確にするテクニックです。

どういう意味でその言葉を使っているのかは人や状況によって異なり、それを解明するときに活用します。

例.言葉の定義化
・憂鬱だ:憂鬱とはどういう意味で使っていますか?
・楽になりたい:どうなったら楽になったと言えるのですか?
・働きたくない:あなたにとって働くとはどういう意味ですか?

内省で行き詰まったら、重要そうな言葉を徹底的に定義化してみましょう。

そうすることで自分の本心が見つかりやすくなり、自分の悩みをより明確にできます。

コツ⑤:比喩を掘り下げる

比喩を掘り下げるとは、使われた喩えについて探ってみるテクニックです。

状況説明をするときにときたま比喩を使いますが、その比喩は言語化できていない背景をよく表しています。

「なぜその比喩を使ったのか」「その比喩から観察できることは何か」を検討することで、その状況の捉え方をより深く理解できるでしょう。

例.職場は地獄のようだ
・地獄とはどういう意味ですか?
・その地獄を地獄たらしめているものはなんですか?
・地獄には誰がいて何がありますか?それは職場の誰や何に該当しますか?

コツ⑥:極端に考えてみる

極端に考えるとは、特徴を強化して思考実験してみるテクニックです。

極端化することで、大切なポイントが明確になりやすくなります。

例.今すぐではないけどいつか結婚したい
・80歳まで結婚しなくても問題ない?
・明日すばらしい人と出会って結婚することになったら何を後悔しそう?

極端に考えるのは、あくまで合わせるべき焦点を見つけるためです。

大切なポイントが見つかったら、そこから現実的なものへと徐々に調整するようにしてください。

コツ⑦:抽象⇔具体を往復する

抽象⇔具体を往復するとは、散らばった思考を整理するテクニックです。

抽象的すぎて非現実的になったり、具体的すぎて局所的になったりするなど、私たちは偏った思考をする傾向があります。

内省しているときはこの傾向が顕著になり、歪んだ答えを強化したり、思考の沼にはまったりする原因になります。

★偏った思考による答え
・具体化が弱い:男はみんな頭が悪い
→それって誰のこと?本当に男全員に言えるの?
・抽象化が弱い:私は過酷なトレーニングに耐えて全国優勝できた
→だから何?そこで次に生かせるような得られたものや気づいたことは?

内省するときは、抽象と具体のバランスを確認してみてください。

マインドマップのようなツールを使うことで、情報を整理しながらバランスよく思考することができます。

まとめ

基本的な内省の手順は以下の通りです。

内省の役割は「自分の中にある答えを見つけること」ですが、ゴールは「問題の解決や学習、意思決定をおこなうこと」です。

内省によって気づきを得るだけで終わらせるのではなく、かならず行動プランを立ててその実行までおこないましょう。

自己探求や行動プランの実行が1人では難しい場合は、コーチングやカウンセリングのような専門技術による支援を受けることをおすすめします。

内省は心理的な症状を悪化させる原因にもなるため、違和感を感じたらかならず専門家に相談してください。

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