視野を広げることで、以下のメリットが得られます。
- 他者の言動に寛容になる
- 課題解決への糸口が見つかる
- より自分に適した答えを見つけられる
この記事では、視野を広げるための方針についてお伝えしていきます。
方針ごとの具体的な方法も紹介するので、ぜひとも取り入れてみてください。
視野を広げる3つの方針
視野が狭まっている原因や問題の性質、その人の傾向によって有効な方針や対処法が異なります。
視野が狭いなと感じたら、できる限り多くの方針ごとの対処法を実行してみてください。
方針①:知識や経験を増やす
知識や経験が不足していると、狭い視野でしか物事を考えられません。
問題や状況の解釈、答えの推測は自分が持つ知識や経験をもとにおこなっているためです。
- 問題や状況の解釈:今はどういう状況か、何が問題か、問題の立ち位置は
- 答えの推測:選択肢は何があるか、どう答えを選べばいいのか
そもそも持っている情報が少ないと、局所的なものの見方だけで判断してしまいます。
「パフォーマンスを100%発揮したときにどれほど広い視野で見られるか」はもともと備わっている知識や経験などの情報に依存するのです。
例.ダイエット
・知識不足:食べなければ痩せられるだろう
・知識あり:健康的に痩せる手段を取り入れるべきだ
方針②:思考の癖を取り除く
思考の癖とは、非合理的な意思決定を促す心理傾向のことです。
認知バイアスともいわれており、どの思考の癖が強いかは人によって異なります。
★認知バイアスの例
・確証バイアス:自分の考えや信念を肯定する情報を優先する
・後知恵バイアス:結果を予測可能だったと判断する
・正常性バイアス:「自分だけは大丈夫」と楽天的になる
・現状維持バイアス:現状のリスクやコストを軽視して変化を恐れる
・利用可能性ヒューリスティック:思い出しやすい記憶や情報に基づいて判断を下す
思考の癖は、1つの思考方法や答えに固執させ、視野を狭めてしまいます。
1つひとつの情報を平等に扱わず、少ない情報だけを用いて検討するためです。
パフォーマンスを低下させている思考の癖を手放すことで、視野をもとの状態まで広げられます。
まずは自分の思考の癖を理解して、それを踏まえた検討を心掛けることが大切です。
例.会社を辞めるべきか
・思考の癖による検討:今まで頑張ってきたのにもったいない
・平等な思考による検討:家族を養うためには転職したほうがよいだろう
方針③:視野が広い状態に回復する
情報があり思考の癖を取り除いても、心身に疲労やストレスが蓄積されていると視野が狭まり短絡的になります。
疲れやストレスは、感情や衝動を抑制している前頭前野の支配力を弱めてしまうためです。
★前頭前野の支配力低下による問題
・長期よりも短期の損失や報酬を偏重する
・根拠のない不安を感じたり、不安を過剰に感じたりする
出典:https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html
広い視野を持つためには、そもそも広い視野でいられる状態でなければなりません。
視野を広げるときは、何よりも先にこの方針を重視してみることをおすすめします。
知識や経験を増やす3つの方法
ここでは、知識や経験を増やして視野を広げる方法についてお伝えしていきます。
知識/経験①:読書やSNS
もっとも実行が容易な方法は、読書やSNSなどのモノからのインプットです。
論理やノウハウなどが紹介されており、持っておきたい視点や基準を把握できます。
- 書籍:網羅的、体系だった知識の理解におすすめ
- SNS:個別的で具体的な知識の理解におすすめ
インプットする目的によって、情報への効果的な関わり方が変わります。
読書やSNSから情報を集めるときは、答えを出したい問いをあらかじめ明確にしておくとよいでしょう。
★インプット目的の大きなくくり
・知見を広げる:仕事と関係ない領域に関する情報
・専門性を深める:仕事を関係ある領域に関する情報
知識/経験②:他者と交流する
他者から教わる、もしくは見て学ぶことで新たな情報を得られます。
書籍やSNSに比べて具体的で新鮮な情報を得やすく、また体験が伴うため記憶に残りやすい傾向があります。
- 他の業界や会社の常識:他業界での解決方法、他業界の課題
- 自分とは異なる思考方法や解決方法:お客様の背景や声、専門家の意見、同業者の他の解決策
ただし、他者の情報を受け入れる気持ちがないと、確証バイアスにより取捨選択してしまいます。
インプット目的で他者と関わるときは、善し悪しの評価は一旦脇に置き、まずは情報を受け入れることに専念してみてください。
★正したい欲求
他者との交流で最も厄介となる欲求が「相手を正したい」という欲求です。
「相手の主張」と「自分が持つ情報」とのズレを察知して、それを正そうとしてしまいます。
しかし、ここでの目的は「情報を知ること」です。
相手を正すことは労力の無駄であるため、「本当に相手を正す必要があるのか?」と自問して衝動に負けないようにしましょう。
・正す:相手に間違いを修正させる、自分の正しさを認めさせる
・知る:相手の解釈や思考を把握、理解する
・議論する:どちらが正しいかではなくよりよい方法を模索する
知識/経験③:実践経験を増やす
「聞いただけの情報」と「実際の体験が伴っている情報」とでは、情報量に雲泥の差があります。
すべての情報が言語化できるわけでなく、他者から伝えられる情報は限りなくそぎ落とされているためです。
- 聞いただけの情報:本、SNS、他者から教わった情報
- 実際の体験が伴った情報:実践から得た情報、一次情報
一見すると無駄に感じることにも、何かしらの意味があることがあります。
「やってみて初めてわかること」は非常に多いため、視野を広げるためにも積極的に実践経験を増やしてみてください。
★実践を通さないと「何がわからないのか」がわからない
実践を通さずに得た情報だけで「私は十分知識や能力が備わっただろう」と感じることがあります。
これは自分に不足している情報や課題がわからずに、「もう十分」と錯覚していることが原因です。
本当に今の知識で十分なのかは、フィードバックがなければ理解できません。
そのフィードバックを得るためには、実践により「できること」と「できないこと」を明確にすることが有効です。
思考の癖を取り除く3つの方法
ここでは、思考の癖を取り除いて視野を広げる方法についてお伝えしていきます。
思考の癖①:特例を見つける
「A=B」というように思考が固定化しているときは、特例を見つけることが有効です。
「A=B」だけでなく「A=C,D」という特例を見つけることで、思考の余地が生まれます。
例.親に怒られた
・思考の固定化:怒ったということは私のことが嫌いなんだ
・特例を見つける:嫌い以外にも、心配したときも怒ることがある
特例を見つけるには、「それは本当に100%正しいのか?」と自問自答してみてください。
また、OpenAIに「他の理由や解釈を教えて」と尋ねることで、簡単に特例を見つけられます。
★一般化に注意
一般化とは1つの事例だけに焦点を合わせ、他の事例をないものとして断じることです。
思考の固定化は一般化としてよく出現するため、一般化に気づいたら特例を探してみてください。
・一般化:男はみんな汚い、女はみんな嘘をつく
・特例:真摯な男もいる、誰だって噓をつくときもつかないときもある
思考の癖②:価値観や信念を見つける
視野を広く保つためには価値観や信念を一旦脇に置き、状況や情報を客観的に受け取り選択しなければなりません。
「自分が重要視する価値観や信念に沿った情報や選択肢を高く評価しよう」とする傾向が私達にはあるためです。
- 価値観:充実感や報酬感を抱きやすい報酬の核心
例.正義、独自性、自由、達成、成長 - 信念:特定の事柄や考え方に対する個人的で確固たる確信や信頼
例.子供は親の言うことを聞くべき、人生は自由であるべき
あらかじめ「私は何を優先しやすいのか」を理解しておくことで、よりフラットに物事を検討できるようになります。
自分の価値観や信念を見つけるには、直感的な思考に対して次の問いを投げかけることが有効です。
- どう解釈したのか?
- なぜそう解釈したのか?
- 何を選びたいのか?
- なぜそれを選びたいのか?
- それを選ばないとどうなるのか?
★価値観や信念を見つけよう
価値観や信念を見つけるには、思考に対する深い探索が求められます。
善し悪しを決めようとせずに、自分の思考に興味を持ち、深く深く内省をしてみてください。
「だから私は〇〇と考えるのか」と心からの納得が得られることが、核心的な価値観や信念を見つけたときのサインです。
「そんなの知ってた」という場合は、もう少し深く内省してみることをおすすめします。
思考の癖③:意に反する行為を実施してみる
私たちはパターン化を好み、意識しないと思考や行動が凝り固まっていきます。
特定の考え方や選択しかしなくなり、視野がだんだん狭まってしまうのです。
★パターンから外れることを抑制する思考や感情
・諦め:他の方法を試してもどうせ失敗する
・妥協:今のままでも得しているし他を試さなくてもいいや
・不安:新しいことを試したら何か問題が起きるかもしれない
・恐怖:新しいことを試したら大きな損失を被ることになるだろう
・めんどくささ:新しいことを試すのは労力がもったいない
凝り固まった視野を広げるためには、いつもとは異なる、できれば抵抗感が強い行動を実施してみることが有効です。
パターンから外れることを抑制する思考や感情の検証になり、成功体験を得られれば制限思考を取り除くことにつながるためです。
例.学校でのテスト
・パターン化された思考:どうせ私はがんばっても成績を上げられないから勉強しない
・意に反する行動:1度だけ誰にも負けないほどの勉強量でテストを受けてみる
視野が広い状態に回復する3つの方法
ここでは、心身をリフレッシュして視野を広げる方法についてお伝えしていきます。
回復①:よく寝る
もっとも重要なリフレッシュ法はよく寝ることです。
寝不足であるほど前頭前野の働きが弱まり、感情的に思考や行動をおこなってしまうためです。
人によって適切な睡眠時間は異なるため、まずは6時間半睡眠から徐々に増やすか減らすかをして検証してみてください。
ただし、短時間睡眠が続いていると自分が睡眠不足であることに気づけません。
睡眠負債を解消してから、適切な睡眠時間を探すことをおすすめします。
出典:
・https://www.nikkei.com/article/DGXMZO09596820W6A111C1000000/
・https://banno-clinic.biz/sleep-debt/
回復②:距離を置く
視野が広い状態へと回復するには、一旦距離を置くことが有効になります。
人間の傾向として距離が近いほど注意が向きやすく、意志の力だけではどうしようもないときがあるためです。
- 距離が近い:主観的、感情的になりやすい、その場の損得
- 距離が遠い:客観的、論理的になりやすい、全体的な損得
選択した後に後悔するという現象は、距離が近すぎて重要なポイントを見失っていたことが主な原因です。
行き詰まりを感じたり、重要な決断を迫られたりしたときほど、一度距離をとってフラットで柔軟な思考を取り戻してみてください。
感情的になりすぎる場合は、ゲーム配信をしているような「他人から見られている感覚」を持つことで、冷静になり視野が元に戻ります。
★距離を置く
・情報的な距離:単純化する、抽象化する、具体化する
・物理的な距離:旅行する、デジタルデトックス、休職する
・心理的な距離:配信気分になる、サングラスをする
・時間軸的な距離:未来から捉えなおす、原点に立ち返る
回復③:ネガティブ状態を切り替える
感情的な状態では視野が狭まり、いくら論理的に検討しようとしてもうまくいきません。
感情的なときは無理に論理的に検討しようとせずに、まず感情を落ち着かせることを優先することが大切です。
- ポジティブ状態:テンションが上がって調子づくなど
- ネガティブ状態:カッとなって意に反する行為をする、緊張して思考が働かなくなるなど
感情と思考を切り離した状態になって、ようやく視野が元の状態に戻ります。
感情を落ち着かせるには、以下の方法を試してみてください。
- 論理的に納得してみる:なぜその感情になっているのかを内省する
- 自分の状態を認識する:自分の感情を把握する、他者からフィードバックを受ける
- 別の感情状態に移行する:注意を他に移す、他者と交流する
出典:
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/25/2/25_2_116/_article/-char/ja/
・https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html#:~:text=%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E8%84%86%E5%BC%B1%E6%80%A7,%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
視野が狭まったときの3つのサイン
ここでは、視野の狭まりを認識するためのサインについてお伝えしていきます。
サイン①:答えの断定
視野が狭まっていると、「これが答えのはず」と答えを断定することがあります。
他の可能性をないものとすることで、確信的な自信を持てるようになるのです。
★視野を狭めた断定の例
・犯罪者はみんな悪人だ
・結婚すれば幸せになれる
・起業してもどうせ失敗する
・漫画家になりたいから高校を中退して練習時間を増やすべきだ
答えを断定することで、他の選択肢を考えなくともよい安心感から、前に進む力が強まります。
しかし、重要なことを無視して前進すると、大きな問題が生じかねません。
自分の意見に固執して感情的になっているような没入状態のときは、視野が狭まっている現状をよしとするかを検討してみてください。
★断定時に見落としがちな要素
・相手の背景:相手がそうある事情や理由
・未来への影響:それを選択すると自他にどんな長期的影響を及ぼすのか
・自分の気持ち:「~であるべき」と「~でありたい」の葛藤に気づく(義務と本心の葛藤)
サイン②:現状への満足
充実した満足感の正体は、視野の狭まりによることがあります。
忙しすぎる日常により不満や願望を見失い、今が満足だと錯覚している状態です。
★視野の狭まりによる現状満足の例
・毎日残業しているけど給料はそれなりだしこんなものか
・稼げてないけど日々ノルマは達しているしこのままでいいや
・試合に負けたのは仲間の責任だ。私自身はこれ以上改善できない
・夫とはよく喧嘩するけどそんなの世間では普通だしこれ以上は高望みだよね
「現状に満足すること」と「よりよい未来を追求しないこと」は異なります。
もしも現状維持でいいやと考えているのであれば、それは偽りの満足感かもしれません。
定期的に自分の本心を洗い出し、その本心を叶えるための方針を立てることをおすすめします。
準備中:本心の見つけ方
サイン③:問題解決に煮詰まる
考えれば考えるほど、思考は深まり視野が狭まっていきます。
問題解決に煮詰まりいくら考えてもよい仮説を見つけられないときは、一度引いて視野をリセットすることが大切です。
どこに注目して掘り下げるべきかを再検討することで、新しいアイデアが生まれる可能性が高まります。
★視野をリセットする問
・この問題の核心はなんだろうか
・そもそもこの問題は解決すべきなのだろうか
・この問題を解決してどんな結果を得たいのだろうか
一瞬で視野を広げるための3つの思考法
ここでは、視野を広げるための思考法についてお伝えしていきます。
アイデア出しの際に視野が狭まっているなと感じたら、ここにある思考法を用いてみてください。
思考法①:対極を考える
対極を考えるとは、認識しているものを極端に捉えなおし、さらにその真逆にあるものにまで視野を広げる思考方法です。
対極を捉えることで、制限している思考を取り除けて、柔軟な発想が生まれます。
例.仕事がつらい
・意見:仕事をしたくない
・極端化:毎日仕事だけに人生を費やしている
・対極化:仕事をすることが許されずに好きなことだけに人生を費やしている
・調整:幸福な人生とはなんだろうか?仕事をする人生だからつらいのだろうか?
ただし、何を対極にするかは人によって意味づけが異なります。
「好き」の反対が必ずしも「嫌い」ではないように、自分の中でのニュアンスに気を配ってみてください。
★よくある対極の要素
・暇⇔忙しい
・善い⇔悪い
・成功⇔失敗
・最高⇔最悪
・強い⇔弱い
・理想⇔現実
・楽しい⇔つらい
・メリット⇔デメリット
準備中:内省の方法
思考法②:誰かを演じて考える
自分とは異なる視点からものごとを見ることで、視野を広げられます。
「〇〇さんだったら何に注目するだろうか」と思考実験してみてください。
★よく使える演じる対象
・鳥:上空から全体を眺める
・相手:相手から見た私や問題
・お客様:お客様から見た私や商品
・成功者:成功者から見た失敗や努力
・書き手:私の物語を作っている書き手から見た私や課題
・第二の私:否定している私と肯定している私をそれぞれ演じる
誰かを演じるときは、「私」とは切り離して考えることが重要です。
うまく切り離せない場合は「私を演じる用の椅子」と「他者を演じる用の椅子」を用意して、それぞれの椅子に座って思考してみることをおすすめします。
思考法③:具体⇔抽象で考える
具体的であるほど視野が狭まり、抽象的であるほど現実と剥離するものです。
そのため、具体化と抽象化を何度も往復することで、視野が広がるとともに現実的な思考ができるようになります。
- 具体:落ちているゴミをすべて拾うべきだ、どうやったら売上が伸びるだろうか
- 抽象:環境問題を解決すべきだ、なぜ売上を伸ばしたいのだろうか
現状の思考を中間だと捉え、そこから平等に具体化と抽象化をおこなってみてください。
具体化だけだと効果が低い行動を取りやすくなり、抽象化だけだと机上の空論になり行動が止まりやすくなります。
★具体化するための問い
・根拠は?
・その具体例は?
・どんな手順や方法?
・なぜそうだと断じられるの?
・何が「必要/問題/メリット/損失/成果」?
★抽象化するための問い
・本質は?
・目的は?
・共通点は?
・だから何?
・どんなカテゴリーに分類できる?
・どんな原理や法則が働いている?
個人事業主によくある視野の狭まり
ここでは、視野が狭まることで生じやすい個人事業主の問題ケースについてお伝えしていきます。
ケース①:自転車操業
「忙しいけれど生活できるだけのお金を得られている状態」では、現状に満足して視野が狭まりやすいです。
「このままだとどうなるのか」が思考から抜け落ち、「今が充実している=未来も充実している」という漠然とした希望を持ってしまいます。
会社員ならばそれでも問題ありませんが、個人事業主は自分で舵を取らなければ衰退の一途をたどることになるでしょう。
目先のお金を稼ぐことは大切ですが、短期的な戦略と中長期的な戦略を併せて実行していくことをおすすめします。
- 短期的な戦略:生きていくだけのお金を稼ぐための実務(7~8割程度のリソース)
- 中長期的な戦略:理想に近づくための種まき(2~3割程度のリソース)
ケース②:先延ばし癖
強制される環境でない個人事業主は、先延ばし癖が顕著になりやすい傾向があります。
「長期的なめんどくさい」よりも「短期的なめんどくさい」を優先させ、重要な仕事よりも簡単な仕事や遊びを重視しやすいのです。
先延ばし癖を対策するには、先延ばしの原因を突き止め、それを論理的に検討することが有効になります。
「延長線上の未来」や「理想の自分像」などまで視野を広げて検討することで、先延ばしへの耐性が強まるでしょう。
- なぜ先延ばしにするのか:めんどくさいから
- それは本当なのか:先延ばしにしたほうがめんどくさいことになりそう
- 捉え方を変えられないのか:自慢の親になるためにやるべきことはその場で終わらせよう
★よくある先延ばし原因
・行動への抵抗感が強い:疲れるから運動したくない
・報酬が魅力的ではない:痩せたって私はモテない
・実行すること自体を忘れている:あ、運動するの忘れてた
ケース③:仕事以外への無意味感
個人事業主になると、多くの人が仕事人間になって「人生=仕事」のような態度で働きます。
家族や友達との交流や趣味への没入などの会社員時代は楽しめたことを、「稼ぎにつながらないしな」とモチベーションが下がってしまうのです。
★個人事業主が仕事にのめり込むよくある理由
・成果を出さないとと収入がなくなるから
・自由に仕事をすることが楽しくて仕方がないから
・貢献したいこと、成し遂げたいことに専念したいから
リソースの配分に優先順位をつけることはよいことですが、視野が狭まって本来の価値を見誤ることには注意が必要です。
仕事だけに専念すると、力尽きて燃え尽きたり、望んでいない未来に進んだりすることにつながるかもしれません。
仕事以外のことをする気になれないときは、無意味に感じていることが「本当に価値がないのか」を確かめてみてください。
自分の本心を無視せずに「願望」と「願望への抵抗感」を分けて考えることで、視野が広がり意味づけを変えられるようになるでしょう。
例.声の活動をしたい
・願望:自分の強みを生かしたい、声を使った作品を作ってみたい
・願望への抵抗感:それお金になるの?いま遊んでいる場合?意味ないんじゃない?
・リソースの配分:月5千円以内、週6時間なら仕事に支障をきたさずに活動できそう!
ケース④:他者比較による焦り
特に個人事業の初動では、他者比較による焦りが多発します。
自分だけ前に進めていないような感覚になり、早く結果を出さなきゃと効率思考や完璧主義になるのです。
★焦りが生じる比較対象
・すでに十分稼いでいる先人
・自分と同じ時期にスタートしたはずなのに稼げている人
しかしこれは、テストの点数が高い人を見て「私は才能がないからダメなんだ」と捉えるケースに類似しています。
「背景」ではなく「結果」だけに焦点を当てることで、「自分はだめかもしれない」と自己不信感を強めています。
- 結果:私よりテストの点数が50点も高い
- 背景:相手はこの点数を取るために2週間前から毎日5時間の自習をしていた
他者比較により自信を失ったら、相手の努力量にまで視野を広げてみてください。
「コントロール可能な自分と相手の違い」を見つけることで、焦りがネガティブなものからポジティブなものに変わります。
- コントロール可能な違い:努力の量や方法、工夫など
- コントロール不可能な違い:才能、性別、経歴など
ケース⑤:ライフバランスの崩れ
私たちは1つの目標ばかりに専念しようとして、それ以外のことを蔑ろにしやすい傾向があります。
その結果仕事にかまけてそれ以外がズタボロな人が、あなたの周りにも多くいるのではないでしょうか。
しかし、大量のリソースが必要な複数の目標を同時に達成しようとすると、むしろ目標達成が難しくなります。
そのため、「1つだけに絞る」でも「同時」でもなく、「優先順位」をつけて目標に取り組むようにしてみてください。
- 1つだけに絞る:私はお金を稼ぐことだけに全力を尽くそう
- 同時:恋愛も仕事も家族仲もすべて成功させよう
- 優先順位:まずは恋人を見つけることに力を注ごう!
定期的に人生全体という視点から目標を更新することで、今取り組むべき課題や目標が明確になります。
視野が狭まって不幸にならないためにも、「自分にとっての幸せってどんな状態だろうか?」と視野を広げてから目標設定をする習慣を取り入れてみてください。
★重要な目標や課題から目を背けさせる要因
・疲労やストレス:今は何もしたくない、休みたい、いつも通りがいい
・ドーパミンによる影響:早く次に進みたい
・目標や課題への抵抗感:家族との関係修復なんて怖くてできない、自分の責任ではない
ケース⑥:思考停止的な自己投資
指導してくれる上司がいない個人事業主は、自己投資による学びが事業の成長に役立ちます。
しかし、自己投資は高額であることが多く、その支払いが必要だと感じた状態はたいてい危機感が強まり視野が狭まっています。
その結果、「最も稼ぎやすそうな商品」や「最初に出会ったよさそうな商品」に手を出して失敗するのがよくあるパターンです。
★自己投資したい衝動に駆られるタイミング
・まったく稼げていないことを実感したとき
・これから稼がなければならないのに失敗が怖くて動けないとき
自分に効果的な自己投資をするには、自分の課題やリソース、販売者の素性や実績など、広い視野で分析しなければなりません。
この分析がおこなえないとマーケターやセールスマンに言いくるめられ、まんまと自分には不必要な商品を買って資金だけが尽きることになります。
★自分に不必要な商品
・信頼できない人の商品:指導者の方法を疑い他の方法を模索してしまう
・課題と関係ない商品:ステップメールを書きたいのにセミナー方法の商品を買う
・パッケージ商品:商品設計の方法だけを知りたいのにターゲティング~セールスまでを網羅した商品を買う
自己投資をするときは、「お金さえ出せばすべて解決する」という考え方を手放しましょう。
不安や恐怖、危機感から商品を買うのをやめて、自分の課題に特化した商品だけを購入することをおすすめします。
まとめ
視野を広げるには、次の方針を実施してみてください。
- 方針①:知識や経験を増やす
- 方針②:思考の癖を取り除く
- 方針③:視野が広い状態に回復する
焦点を絞るほど力強く前進できるため、かならずしも視野が狭いことが悪というわけではありません。
しかし、定期的に視野を広げて全体を捉えないと、誤った判断を下したり、意にそぐわない道を進んだりしてしまうものです。
「集中して計画を進めるフェーズ」と「俯瞰して目標や計画を見直すフェーズ」を交互に配置してバランスよく前に進むことをおすすめします。