「開業届って何を書けばいい?」
「昨年分の収支をどうにかして青色申告したい」
このような、開業と税金に関する悩みを抱えていませんか?
特に、開業間もないときは、確定申告の方法に頭を悩ませますよね。
その結果、なかなか青色申告承認申請書を提出できないことに……
昨年分の収支を青色申告したいなら、開業日を12月しましょう。
そうすることで、問題が解決するかもしれません。
この記事では、開業届と青色申告の提出にスポットを当てて解説しています。
開業届や青色申告承認申請書をまだ提出していない、あなた。
この記事でもう一度、開業届と青色申告承認申請書の提出に関する情報をおさらいしてみましょう!
Contents
開業届と青色申告承認申請書の提出期限
以下では、開業届と青色申告承認申請書の提出期限を解説していきます。
開業届と青色申告の提出期限は、密接な関係です。
特に、これから開業届を提出する場合は、重要ですので、確認しておきましょう。
開業届の提出期限
開業届の提出期限は、開業日から原則1ヶ月以内に出す必要があります。
しかし、事業を始めても、開業届を出すことの強制力はありません。
開業することに、条件が定まっていないからです。
そのため、開業ということ自体があいまいになっています。
開業届の提出の有無は、個人のさじ加減次第なのです。
たとえば、「200万円以上の収入見込み」「月5日以上の労働をする」などの条件があれば、開業の基準がわかるでしょう。
ですが、開業届には、そのような条件がありません。
「毎日のように働く」「収入が多い」などの状態であっても、開業届を出さなくてもよいのです。
このように、開業とは、境界線がはっきりしないことです。
ですので、開業届の提出に、強制力はありません。
ちなみに、開業届と開業日は異なる日で問題ありません。
理由は、開業自体にしっかりとした定義がないためです。
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告承認申請書の提出期限は、2通りあります。
- 開業してから2ヶ月以内→開業して間もない人用
- 青色申告したい年の3月15日まで→すでに開業している人用
以下でそれぞれ説明していきます。
開業してからの2ヶ月間
青色申告承認申請書を提出する期限のひとつが、「開業してからの2ヶ月間」です。
開業してから2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出すれば、提出した年の支出を青色申告できます。
これは、6月や10月など、年の途中に開業した人も青色申告できるようにするための制度です。
この制度のおかげで、開業した年の収支を青色申告することが許されています。
しかし、開業日には、気をつけなければいけません。
たとえば、平成30年10月に開業届を提出するとします。
ですが、開業届に記入する開業日は、平成29年10月でも問題ないのです。
つまり、開業日の記述は、何年遡っても許されるということです。
そのため、開業日を青色申告承認申請書を提出する2ヶ月以上前に決めてしまうと、その年の支出は青色申告ができません。
開業日を青色申告承認申告書を提出する2ヶ月以上前にした場合は、次の年から青色申告ができるようになります。
このように、開業届を提出するとき、開業日に気をつけなければいけません。
開業届を提出した年の収支を、青色申告できなくなるからです。
青色申告をしたい年の3月15日まで
青色申告のもうひとつの提出期限は、青色申告をしたい年の3月15日までです。
たとえば、平成30年の収支を青色申告をしたい場合、平成30年3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければいけません。
青色申告承認申請書を提出する期間は、平成29年3月16日~平成30年の3月15日までです。
平成30年の3月16日に青色申告承認申請書を提出すると、平成30年分の収支は青色申告できません。
その場合は、平成31年の収支から青色申告ができるようになるのです。
このように、青色申告承認申請書の提出期限は、早い期間で打ち切られてしまいます。
青色申告をしたいのなら、青色申告をする年の3月15日までに、青色申告承認申請書を提出しましょう。
ちなみに、一度でも青色申告承認申請書を提出したら、再度青色申告承認申請書を提出する必要はありません。
次の年からは、青色申告承認申請書を提出しなくても、青色申告ができます。
青色申告のメリット・デメリット
確定申告の方法には、青色申告と白色申告があります。
まずは、青色申告のメリット・デメリットを確認してみましょう。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは、以下の通りです。
- 65万円・10万円のどちらかの金額を控除される
- 家族への給料を経費にできる
- 30万円未満の償却資産を一括で経費にできる
- 赤字を3年間のみ繰り越せる
青色申告の大きな強みは、税金が控除されることです。
複式簿記・単式簿記によって控除される金額には、50万円の差があります。
そのため、青色申告をするなら、複式簿記をおこなって65万円の税金控除を狙う人が多いです。
他のメリットも大きな恩恵を受けられるので、あなたが受けられるメリットは何か考えてみましょう。
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは、以下の通りです。
- 帳簿付けが手間
- 青色申告承認申請書の提出日によって、青色申告ができる年がかわる
青色申告のデメリットとして、もっともあなたへの影響があるのは、帳簿付けでしょう。
特に、65万円の控除を狙うには、複式簿記で帳簿を付けなければなりません。
複式簿記は、難易度の高い帳簿の付け方で、多くの人がこれに頭を悩ませています。
その結果、この複式簿記が面倒で、単式簿記や白色簿記にするケースが多いのです。
しかし、青色申告対応の会計ソフトを利用すれば、帳簿付けの手間と難易度を大きく抑えられます。
クレジットカードと連動している会計ソフトなら、いちいち帳簿に転記する必要がありません。
事務的な処理の多くのことを、自動的に会計ソフトがおこないます。
そのため、複式簿記の知識に長けていなくても、複式簿記を付けられるのです。
会計ソフトでもっともメジャーなのは、「やよいの青色申告オンライン」です。
やよいの青色申告オンラインなら、クレジットカードと連動できます。
そのため、少ない手間で複式簿記をつけられるでしょう。
1年間なら無料で、やよいの青色申告オンラインを利用できるので、お試しください。
白色申告のメリット・デメリット
白色申告のメリットが少なくなったのを知っていますか?
以下で、白色申告のメリット・デメリットを解説しています。
あなたはどの申告方法が得をできるのかを、考えてみましょう。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは、以下の通りです。
- 少ない手間で白色申告ができる
- 帳簿付けの難易度が低い
白色申告の帳簿付けは、青色申告より難易度が低いとされていました。
なぜなら、所得が300万円未満の場合は、記帳と帳簿等書類の保管義務がなかったからです。
そのため、細かい帳簿付けを必要としない、とても簡易的な申告方法とされていたのです。
しかし、平成26年度から、所得が300万円未満でも、記帳と帳簿等書類の保管が義務化されます。
つまり、現在の白色申告は青色申告の単式簿記と、手間や難易度がほとんど変わりません。
このように、記帳と帳簿等書類の保管が義務化により、白色申告の長所が減ってきています。
白色申告のほうが審査が厳しくないといわれていますが、定かではないでしょう。
白色申告のデメリット
白色申告のデメリットは、以下の通りです。
- 青色申告の単式簿記と同じ手間を要する
- 青色申告の特典を受けられない
平成26年度から、白色申告の手間や難易度が上がりました。
記帳と帳簿等書類の保管が義務化したからです。
そのため、白色申告より青色申告をするほうが無難でしょう。
単式簿記なら手間や何度が変わりませんし、青色申告の特典を受け取れます。
青色申告の特典は、事業者にとって大きなメリットばかりですので、損することはありません。
しかし、噂では、青色申告のほうが、白色申告より調査が入りやすいといわれています。
真相は定かではありませんが、経費の審査もゆるいといわれているのです。
そのため、現在でも白色申告で確定申告をしている人は多数います。
もし、「調査が入られては困る」「あいまいな経費が多い」などの場合なら、白色申告がよいかもしれません。
もし、白色申告をするのなら、会計ソフトの利用をおすすめします。
現在の白色申告は、難易度が上がっているため、多少の会計の知識が必要だからです。
会計ソフトを利用すれば、税金の知識に長けていなくても、簡単に少ない手間で帳簿を付けられます。
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開業届と青色申告承認申請書を書くのに必要なコト・モノ
開業届と青色申告承認申請書は、税務署に提出します。
では、開業届と青色申告承認申請書は、どのような情報があれば書類を書ききれるのでしょうか。
書類を提出するときに必要な持ち物も紹介しているので、参考にしてください。
開業届を書くのに必要なコト
開業届を書くのに必要なコトは、以下の通りです。
- 提出日
→実際に税務署へ提出する日 - 氏名
→例.田中 太郎 - 電話番号
→携帯番号でも可 - 生年月日
→例.平成4年8月22日 - 納税地
→例.住民地(住民票のある地域) - 住所、郵便番号
→例.〒111-111,東京都○○市○○町5-5-5 - 個人番号(11桁)
→例.01234567891 - 職業
→例.ライティング業・記事製作業 - 屋号
→例.ライティングクラブ・記事製作所 - 開業日
→例.平成30年12月28日 - 「青色申告承認申請書」提出の有無
→青色申告承認申請書を提出するのなら「有」にチェック - 「消費税課税事業者選択届」提出の有無
→課税所得が1千万以下なら、「無」にチェック - 事業内容
→例.記事製作・コンサルティング・ホームページ製作 - 従業員を雇う意思の有無
→従業員を雇うのなら、人数を記述 - 「源泉所得税の申告書」提出の有無
→誰かにお金を支払うとき、あなたが源泉徴収をする場合は「有」にチェック
以上の15点の情報があれば、開業届を書けます。
開業届を提出する年に青色申告をするのなら、開業日に気をつけてください。
開業日が2ヶ月以上前だと、青色申告は翌年からになります。
青色申告承認申請書を書くのに必要なコト
青色申告承認申請書を書くのに必要なコトは、以下の通りです。
- 提出日
→実際に税務署へ提出する日 - 氏名
→例.田中 太郎 - 電話番号
→携帯番号でも可 - 生年月日
→例.平成4年8月22日 - 納税地
→例.住民地(住民票のある地域) - 住所、郵便番号
→例.〒111-111,東京都○○市○○町5-5-5 - 職業
→例.ライティング業・記事製作業 - 屋号
→例.ライティングクラブ・記事製作所 - 2店舗目以降の住所と店舗名
→例.動画製作所,東京都○○市○○町1-1-1
複数店舗が無いなら空白で問題ない - 所得の種類
→事業で稼ぐのなら、事業所得 - 青色申告をおこなった過去の有無
→はじめて青色申告承認申請書を提出するなら「無」にチェック - 開業日
→例.平成30年8月22日 - 事業承認の有無
→親や事業者などから事業を継がないなら、「無」にチェック - 提出する簿記の種類
→65万円の控除を狙うなら、「複式簿記」にチェック - 備付帳簿名
→「単式簿記」の場合は、現金出納帳にチェック
以上の14点の情報があれば、青色申告承認申請書を書けます。
青色申告承認申請書への記述は、とても簡単です。
専門用語がわからない場合は、税務署の職員に聞きましょう。
開業届と青色申告承認申請書の提出に必要なモノ
開業届と青色申告承認申請書の提出に必要なモノは、以下の通りです。
- 印鑑(シャチハタ禁止)
- マイナンバーカード(身分証+通知カード)
上記の2点を持っていけば、開業届と青色申告承認申請書を提出できます。
印鑑は、シャチハタでは受け付けてもらえないので注意してください。
マイナンバーカードを所持していない場合は、他のもので代用できます。
代用する場合は、マイナンバー通知カードと顔写真つきの身分証明証を用意しましょう。
顔写真つきの身分証明証は、運転免許証やパスポートなどです。
これらを持っていけば、どちらも提出できます。
料金も一切かかりませんし、筆記用具も必要ありません。
マイナンバー通知カードを紛失した人は、役所で再発行してもらいましょう。
開業届に関する素朴な疑問3選
ぼくが開業届を提出するとき感じた、3つの疑問を解説していきます。
同じ疑問を感じた人の助けとなれば幸いです。
屋号は空欄でも可
個人事業主の場合は、屋号は空欄でも問題ありません。
屋号とは、会社名と同じものです。
法人なら、「株式会社○○」が当てはまります。
法人の場合は、屋号をつけなければいけません。
しかし、個人事業主の屋号には、大きな力はないため、屋号を決める必要はないのです。
ですが、企業によっては、個人事業主名の口座を嫌がる場合があります。
その場合は、個人事業の屋号を口座名にすると、解決できます。
実際に税務署の職員の話では、口座名にするために屋号を作る人もいるそうです。
もし、あなたも屋号の口座名を作るのなら、屋号を記述しましょう。
事業内容はなんでもよい
事業内容は、なんでも問題ありません。
記事制作でも、動画編集でもかまわないのです。
しかし、おこないそうな事業は片っ端から書いていきましょう。
そうしないと、経費として落とせなくなる可能性があるからです。
たとえば、事業内容を「ライティング」とだけ書くとします。
その場合、動画編集や転売などにかかった経費を落とせなくなる可能性があるのです。
なぜなら、事業内容と異なることの費用だから。
事業内容に記述していない事業で収入がある場合は、経費にできる可能性が高いでしょう。
しかし、収入が伴わない事業での出費は、経費にすることが困難です。
このように、事業内容は、何にお金をかけて回収するのかを前もって通知しておくものです。
ですので、おこなう可能性のある事業に関しては、記入することをおすすめします。
「開業日」は「開業届を提出する日」の1ヶ月以上前でも問題ない
開業日と開業届を提出する日は、1ヶ月以上の開きがあっても問題になりません。
たとえば、開業日を平成30年10月4日とします。
この場合、平成30年11月4日までに原則としては、開業届を提出する必要があります。
しかし、平成30年の12月に出しても問題ないのです。
平成31年の4月に出しても、特にペナルティーはありません。
このように、「開業日」と「開業届を提出する日」に開きがあっても大丈夫です。
ですので、「開業届を提出する日」から1ヶ月以内に開業したことにしなくても問題になりません。
青色申告承認申請書に関する素朴な疑問3選
青色申告承認申請書を提出するときに感じた疑問を解説していきます。
同じ疑問を感じた人の助けとなれば、幸いです。
記述した簿記方式と異なる方法でもよい
記述した簿記方式と異なる方法で確定申告をしても、問題ありません。
簿記形式は、「複式簿記」「単式簿記」「その他」の3つから選ぶ必要があります。
65万円の控除が欲しい人は、比較的に難しい複式簿記を、
10万円の控除でもよい人は、比較的に簡単な単式簿記を選ぶでしょう。
しかし、簿記形式で単式簿記を選んでも、複式簿記で確定申告をおこなえます。
異なる簿記形式で提出しても、特にペナルティーはないのです。
このように、簿記形式は実際に提出する帳簿と関係がありません。
あくまで参考程度のものです。
ですので、簿記形式がわからない場合は、「復式簿記」「単式簿記」のどちらかを記述しておきましょう。
記述した備付帳簿名と異なる物を提出してもよい
記述した備付帳簿名と異なる物を提出しても、問題ありません。
備付帳簿名とは、付ける帳簿の種類です。
たとえば、備付帳簿名には以下の単語が並んでいます。
- 現金出納帳
→お金の出入りとその理由を記すもの - 預金出納帳
→預金口座の出入りを記すもの - 経費帳
→経費全般のことを記すもの
このような項目が約14項目があるのです。
複式簿記をおこなう場合は、以下の帳簿を作成しなければいけません。
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 経費帳
- 固定資産台帳
- 預金出納帳
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
複式簿記の帳簿は、上記の約8項目の帳簿を作成します。
そのため、通常なら複式簿記をするひとは、備付帳簿名に記述しなければなりません。
しかし、たとえ上記の項目に過不足があっても問題が無いのです。
現金出納帳しか記述していなくても、その他の7項目の帳簿を提出できるのです。
この場合も、特にペナルティー無く受け取ってもらえます。
このように、備付帳簿名は、厳密に書く必要がありません。
僕自身、無記入でしたが受理されたので、大丈夫です。
青色申告から白色申告に切り替えられる
青色申告から、白色申告に切り替えられます。
青色申告をしたくない場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出しましょう。
青色申告を白色申告に切り替えても、ペナルティーはありません。
もし、青色申告から白色申告に切り替えたいのなら、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を税務署に提出してください。
開業日以前の収支は青色申告できる
開業日以前の収支は、青色申告で確定申告しても問題ありません。
たとえば、平成30年12月25日に開業届を提出します。
青色申告承認申請書は、平成31年1月30日に提出です。
青色申告承認申請書の提出期限のひとつに、「開業日から2ヶ月以内」があります。
そのため、年を跨いだ場合でも、平成30年の収支を青色申告で確定申告できるのです。
開業日が12月でも、青色申告で記述する収支は、平成30年の1月1日~12月31日です。
開業日以前の収支も、青色申告で申告できます。
このように、開業日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する場合、
青色申告を開始する年は、開業日に依存します。
2月28日までに開業届と青色申告承認申請書を提出していなくても、
開業届に記述する「開業日」をずらせば、まだ間に合うので諦めないでください。
開業届と青色申告承認申請書は同時に出すことがおすすめ
開業届と青色申告にスポットを当てて解説をしましたが、いかがでしたか?
開業届と青色申告承認申請書は、深い関わりがあります。
開業年の収支を青色申告をしたい場合は、
「開業日の2ヶ月以内」に、青色申告承認申請書を提出することが必要だからです。
開業届も青色申告も、まだ提出していないあなた。
開業届を提出するのは、確定申告の方法を選んでからでも遅くありません。
青色申告か白色申告か。
あなたはどちらの方が得をするのか、今一度考えてみましょう。
以上で、「まだ間にあう!?開業届と青色申告承認申請書の期限と持ち物」をおわります。
ちなみに、青色申告でも白色申告でも、
単式簿記並みの帳簿作成が最低ラインです。
やよいのオンラインなら、労力も時間も削減できます。
1年間は無料で利用できるので、ぜひともお試しください。