ビジネスにおけるコンセプトとは自分が重視したいことを言語化したものであり、不確実な道を正しく歩むための指針になります。
もしも自分の持つ情熱とコンセプトが不一致していたら、「やりたいけどやりたくない」という感覚が芽生えて、新たな方向性を探りたいという欲求が生まれるでしょう。
お客様もその不一致を敏感に感じ取り、ファンの離脱やクレームにつながる可能性があります。
この記事では、個人事業主におけるコンセプトの作り方についてお伝えしていきます。
コンセプトに違和感がある場合は、ぜひもう一度作り直してみてください。
区別したい2つのコンセプト
ここでは、個人事業主はが決めておきたい2つのコンセプトについてお伝えしていきます。
- 自分コンセプト:ビジネスをする意義、自分の本心が大切
- 商品コンセプト:自分コンセプトを叶える手段、お客様の深い願望が大切
種類①:自分コンセプト
自分コンセプトとは、「私がビジネスをする意義や目的」のことです。
自分を突き動かす原動力であり、何に取り組むべきかの指針になります。
自分の深い部分にある信念や情熱、価値観などで作られるものであり、そこに売れるか否かの打算は必要ありません。
- 価値観をもとにしたコンセプト:そのコンセプトに沿うだけで報酬感が得られやすい
- 打算をもとにしたコンセプト:やらされている感や罪悪感が強まりやすい
自分コンセプトを見つけるには、「何をしたいのか」の奥にある「なぜそれをしたいのか」を見定めることが重要です。
どんな理想的な世界になったら嬉しいのか、その喜びポイントの本質はどこにあるのかを探ってみてください。
ときには過去や現状への不満から生じる怒りや悲しみが、コンセプトの核心になることもあります。
ポジティブな感情だけではなくネガティブな感情も含めて、自分の心が突き動かされるポイントを探りましょう。
★自分コンセプトは共感者を増やす
自分コンセプトは売れるか売れないか以上に、共感されるか共感されないかに影響を与えます。
自分の意志と一致したコンセプトを作れれば、「あなたのその生き方を応援したい」という人たちが集まるようになり、「その生き方に興味はない」という人は去っていくでしょう。
自分が心地よいコンセプトを定めないと合わない人が集まってしまうため、本心からの想いをコンセプトにするようにしてください。
種類②:商品コンセプト
商品コンセプトとは、商品の必要性や意味を言語化したものです。
「なぜそれが売れるのか・必要だと思われるのか」という強みになる特徴であり、商品を作る際の設計図になります。
自分コンセプトを叶える手段であることが条件ですが、共感よりも実際に売れるかという打算が重要です。
- 気持ちばかりのコンセプト:作るときは楽しいが誰かに必要とされる可能性が低い
- 売るを重視したコンセプト:誰かに必要とされると分かったうえで作るため売れやすい
- 自分コンセプトとの不一致:売ることに抵抗感が強まる、売ったらファンが離脱する
商品コンセプトは、商品開発をする際の一番最初に取り組むステップになります。
何を意識して作ればいいのかという指針として活用するほかに、中身がまだなくともコンセプトだけである程度の需要を確かめられるためです。
ただし、このときのコンセプトはお客様の期待を測るものであり、中身の質が伴えないコンセプトでは意味がありません。
商品コンセプトを作るときは、大言壮語にならないように注意してください。
例.ダイエット商品コンセプトと中身の質の不一致
・商品コンセプト:1日3分で痩せられる方法
・実際の商品:この運動を半年続けないと目に見える効果は現れない
・お客様の反応:詐欺だと感じる、アンチになる、信用を失う
自分コンセプトの作り方
ここでは、自分コンセプトを作るための手順をお伝えしていきます。
事業主としてどうやって稼いでいくのかを考えるときは、自分コンセプトから固めていきましょう。
ただし自分コンセプトを考えきれない場合は、「自分の中にある情熱」を見つけるために商品を売ってみるとよいかもしれません。
手順①:自分が持つ直感的な願望や不満を言語化する
まずは、自分が持つ理想と現状の不一致を明確にすることから始めます。
心の奥深くにある願望とそれを叶えられない不満こそが、自分を突き動かすような指針を見つけるヒントになるためです。
- 理想:世界/他者/自分が本当はどうあるべきなのか、どうあるべきだったのか、どうあってほしいのか
- 現状:怒りや悲しみを生み出す原因、理想に及ばない要素
- 不一致感:怒り、悲しみ、憧れ、退屈などの強い感情
願望や不満は複層的であり、コンセプトとなる本質的な情熱を見つけるには自分を深く探求しなければなりません。
具体的には、自分の心が動くような「その願望や不満を作り出した原点となるストーリー(記憶)」が発掘されるまで掘り下げてみてください。
例.美容関係でビジネスしたい人
・上層の願望:痩せたい人を応援したい
・原点となるストーリー:中学生のときに痩せたことで自分に期待できるようになり人生が変わった
・下層の願望:いつだって人は変われるんだという期待をみんなに持っていてほしい
「これといってやりたいことがない」というときは、人生のどん底時代を思い出し、そこから回復したきっかけを分析してみることをおすすめします。
その回復する期間に起きた「心的な変化」と「外的な変化」をそれぞれ分析することで、自分の中にある使命的な情熱が見つかりやすいです。
例.体型がコンプレックスだった自分が痩せられた過去
・心的な変化:変わっていけるという自信がつき前向きになれた(コンセプトのもとになりやすい)
・外的な変化:スリムになった、ダイエットの技術や知識が身についた(ビジネスでの強みになりやすい)
手順②:実際に困っている人や救われている人を分析する
手順①で「なんのためのビジネスか」というビジネスの目的が見つかったら、「どう叶えていくのか」という目的を叶える有効な手段を模索します。
「自分ができること」でビジネスをしてもよいのですが、自分が意義を感じるためにもビジネスの目的にとってより有効な方法を模索しましょう。
- 自分ができること:今あるスキルで商売できること、興味あること
- ビジネス目的に有効なこと:自分と同じような心的な変化をより引き起こしやすいきっかけ
たとえば、「自信を持つ人を増やしたい」という目的があるとき、自分は痩せたことで自信をつけられたからと言って、ダイエットだけが自信をつける方法ではありません。
受験や恋愛、仕事や趣味など、自信をつけるためのきっかけはいくらでもあるはずです。
自分の目的と一致する自信をつけるきっかけがどれほどあり、自分が支援したい人にとってはどれが有効になりやすいのかを検討してみてください。
- 選択肢を増やす:ビジネス目的を果たすための変化を挙げる
- 有効性を検討する:どの変化がビジネス目的を果たしやすいのかを比較する
実際に有効なアプローチを探るには、自分と類似する救われた体験を持つ人やまだ救われていない人と接触することが有効です。
SNSで自分のストーリーや想いを発信するといった行動によって、そうした人たちと繋がれます。
また、接触したい人たちが集まっている集団に所属してみるのもよいでしょう。
手順③:競合になる人のコンセプトを分析する
手順②でビジネス領域を決めたら、手順①で見つけたコンセプトの土台を精緻化するために競合を分析します。
同じ業界では、似たようなコンセプトの人で溢れておりアイデンティティーを見失いやすいためです。
自分と競合の違いを掘り下げることで、より特徴が際立ったコンセプトの方向性が明確になります。
例.コンセプトの違いを明確にするときの問い
・私と競合が目指している理想は一致しているのか?
・私も競合も同じ時期の同じ状況の人を見ているのか?
・競合も同じテーマにしているけど、私と何が違うのだろうか?
・競合のストーリーと私のストーリーはどんな違いがあるのだろうか?
・私と競合がそのテーマが大切だと考えている理由に違いはないのか?
手順④:自分が与えたい影響を一言にまとめる
自分コンセプトの方向性がより鮮明になったら、自分がしっくりくる言葉にまとめます。
もしも思い浮かばない場合は、「私はビジネスで〇〇をしたい」というフレーズを作ってみてください。
例.自分コンセプトをまとめる
・私はビジネスで笑いにあふれる世の中にしたい
・私はビジネスで誰もが自信を育める世界を目指したい
・私はビジネスでプライベートを尊重できる社会人を増やしたい
よいコンセプトを持つと、「働き方や作る商品は1つの手段に過ぎない」と捉えられるようになり稼ぎ方に固執しなくなります。
強い目的意識を持つことで粘り強さが生まれて、目標達成能力も一段と向上するでしょう。
★コンセプトを決めるために明確にしておきたいこと
・誰に:ターゲットの属性、悩み、段階、レベル感
・どんな変化を:どんな現状からどんな状態にすることを目指すのか
・どんな手段で:勝負するビジネス領域、提供したい商品
・どんなあり方で:理想とする自分の振る舞い、働き方
深い部分で決めたコンセプトは滅多に方向性が変わりませんが、実行と振り返りを繰り返すことで自分の想いによりフィットしたフレーズへと姿を変えます。
心から納得できるコンセプトが決まったとしても、年に1度くらいは現在のフレーズがしっくりくるかを点検することをおすすめします。
★人による関心ごとの違い
「他者に影響を与えることが生きがいになりやすい人」と「自分が何かを実現したり楽しんだりすることが生きがいになりやすい人」に関心の持ち方は分かれます。
自分が持つ関心ごとをもとにコンセプトを作ってもよいのですが、自分の想いをより鮮明にするためにもできる限り両方について考えてみてください。
・他者に関心:もっと幸せな人を増やしたい、何かを手伝いたい、貢献できるのなら自分は二の次
→どんな自分でありたいのか?どんな自分の物語がもとなのか?他者に貢献したのに不幸を感じるとしたらそれはなぜか?
・自分に関心:自分の可能性を最大化したい、自由でありたい、他者や社会はどうでもいい
→理想の自分になる過程でどんな影響を周りに及ぼしたいのか?お葬式の時にどんな人だったと噂されたいのか?理想の自分になれたのに不幸だったとしたらそれはなぜか?
商品コンセプトの作り方
個人事業主による商品コンセプトは、目指す世界になることを妨げる原因をつぶす手段でありつつも、すぐに実行できる現実的なものでなければなりません。
ここでは、商品コンセプトの手順についてお伝えしていきます。
- 目指す世界になることを妨げる原因をつぶす手段:その商品は自分コンセプトと合致しているか?
→コンセプトに合っていないと無意味感が生まれる - すぐに実行できる現実的なもの:その問題を今の私が解決できるのか?
→自分にとって非現実的なものだと開発までに時間がかかり生活が苦しくなる、大言壮語な商品になる
手順①:ターゲットの悩みを収集する
まずは、自分コンセプトに該当するターゲットを分析します。
何に悩んでいて、本当は何を解決すべきで、なぜ解決ができないのかをたくさん見つけましょう。
例.コンセプトにあった人を分析する
・自分コンセプト:幸せな人を増やす
・ターゲットの選別:「私にとって幸せな人/不幸な人」の定義化とは?
・集めたい情報:なぜ幸せになれたのか、なぜ不幸だと感じているのか、どんな非効率的な努力をなぜしているのか、なぜ既存の商品を買わないのか、なぜ既存の商品を買っても幸せになれないのか
この段階では、「売れるor売れない」を考えないようにしてください。
コンセプトと合致する売れる商品を作るためには、ターゲットを深く知り、自分が取り組むべき問題を見つけることが大切だからです。
「売れそうか?」という基準による情報収集は、今の自分が取り組めそうな上辺の問題ばかりに焦点を当て、コンセプトに合わない商品や競合の多い商品を作る原因になります。
損得勘定を一旦手放して、「どうすればその人はよりよくなるのだろうか?」と純粋な興味をもって情報収集をおこないましょう。
手順②:取り組むべき悩みを選ぶ
徹底的にターゲットの悩みを分析したら、今の自分が取り組むべき悩みを選んでいきます。
このときの判断基準は、「作りやすさ」「問題の重要さ」「需要と供給のバランス」です。
- 作りやすさ:今の私が短い期間で解決できる悩みであるか(3カ月から1年の開発期間で作れるもの)
- 問題の重要さ:その悩みを解消したらターゲットはコンセプト通りの方向性に進んでいけるか、ターゲットが解決に力を費やすべき問題はそれで正しいのか
- 需要と供給のバランス:私以外にその悩みを解決している人はどれほどいるのか、なぜ私がその悩みを解消すべきなのか
ここで大切なことは、「作りやすさ」を最後に考えることです。
作りやすいもので商品を作ろうとしてしまうと、自分には何もできないような気がしてしまったり、ありきたりな商品を作ったりする原因になります。
これでは商品を作っても売れず、大きな時間のロスになってしまうでしょう。
例.「作りやすさ」を最初の基準にした思考の流れ
①今できることはなんだろう
②ダイエットの手伝いならできそう
③とりあえずダイエット商品を作ろう
まずは「問題の重要さ」と「需要と供給のバランス」を判断基準として使ってみてください。
ターゲットがうまくいかない真の問題を見つけて、そのための商品を短期間で作れないのかと模索するのです。
例.「問題の重要さ」と「需要と供給バランス」から考える
①こんなにもダイエット商品があるのになぜ人は痩せられないのだろうか
②本当に解決すべきことは「痩せる意欲を強めること」だ
③その商品が少ないから痩せられない人が多いんだ
④「痩せる意欲を強めること」に焦点を当てたダイエット商品を作ろう
この順序の違いは、時間の使い方の質にも大きく影響を及ぼします。
自分が作る意義のある「自分の殻破った商品」を作ろうとするほど、その過程に夢中になれて多くの工夫を施しながら大量行動ができるようになるでしょう。
今できるだろうことを商品にする:ただの作業だとつまらなく感じる、労働量や生産性が減る
今作るのは難しいけど意味ある商品を作る:未来にワクワクする、労働量や生産性が高まる
★大きな変化である必要はない
「問題の重要さ」と「変化の大きさ」は別の話です。
特に初めて商品をつくるときは、小さい変化だけど解決すべき重要な問題で商品化を目指してみてください。
・大きな変化:3カ月で10kg痩せられる
・小さい変化&重要な問題:「5分ウォーキングの習慣」を身につける
手順③:解決する悩みを一言にまとめる
商品化したい悩みを一言にまとめて商品コンセプトにしましょう。
「多くの競合商品があるなかで、なぜ私の商品が必要なのか」を言語化することでよい商品コンセプトが生まれます。
- 個人では売れづらい商品コンセプト:誰でも痩せられる運動方法→大衆向けのダイエット商品
- 個人でも売れやすい商品コンセプト:家事や通勤の隙間時間でくびれが作れる運動方法→忙しい兼業主婦向けのダイエット商品
誰向けの商品なのかが分かりやすいコンセプトであるほど、お客様は自分にこそその商品が必要だと感じやすいです。
大衆向けの商品にならないためにも、商品コンセプトを作るときはストーカーのごとく、お客様を徹底的に深く理解するようにしてください。
手順④:需要を確かめる
商品コンセプトを決めたからといって、すぐに開発を始めることはおすすめしません。
需要の少ない商品の開発に時間を割かないためにも、まずはその商品コンセプトが周囲から求められやすいのかを確かめてみてください。
セミナーやSNS、無料相談などを活用して、そのコンセプトやロジックに興味を持つ人がどれほどいるのかを調べましょう。
- SNS:コンセプトやロジックに関する投稿への反応はどうか
- セミナー:どれほど人が集まるのか、集まった人の反応はどうか
- 無料相談:悩みを抱えている人はそのコンセプトやロジックを魅力的に感じるか
このときに注意したいことに、「商品の正しさと需要の多さは必ずしも一致しない」というものがあります。
どれほど正しい意見による商品コンセプトであっても、需要がなければ誰にも影響を与えられず、ただの自己満足になり下がります。
情熱的な商品を作ろうとするほど周囲の反応を無視しやすいため、「よいものを作れば必ず売れる」と過信せずに需要の確認をおこなうようにしてください。
★複数のコンセプトを用意しよう
商品コンセプトが1つしかないと、それに固執して需要がないことを認めづらくなります。
また、「商品コンセプトを作る→需要の確認」という工程を何度もおこなう羽目になり、時間のロスにつながるでしょう。
短時間で売れる商品を見つけるためにも、悩みを分析するときは5~10個の商品コンセプトを作ってみてください。
そのなかで最も他者が求める商品を作ることで、執着せずに売れやすい商品コンセプトを決めやすくなります。
商品コンセプトに関するよくある悩み
ここでは、商品コンセプトを作ろうとするときに生じやすい悩みについてお伝えしていきます。
悩み①:売れればなんでもいい
作りたい商品アイデアがないとき、「売れればなんでもいい」とよく考えてしまいます。
特にビジネス初期はお金に困りやすく、「何でもいいから収益化したい、でもアイデアがない」と行き詰まりこのような考えが生まれます。
例.「売れればなんでもいい」と同類の悩み
・感謝されればなんでもいい
・自分のできることで今すぐ収益化したい
・価値を見出されることならなんでもいい
しかし、ターゲットの悩みに深く寄り添わなければ、そもそも売れる商品は作れません。
「売れるor売れない」の基準に執着していると、大衆的な需要や分かりやすいけど解決が難しい課題などの売れないアイデアしか生まれないでしょう。
- 大衆的な需要:抽象的で人気のある悩み(痩せる、稼げる、モテるなど)
- 解決が難しい課題:多くの人が躓く悩み(人生の意味を見つけたい、やる気を出したいなど)
また、「売れればなんでもいい」と口では言っていても、実際はそう思っていないこともよくあります。
「恋愛系は嫌だ」「稼ぐ系は嫌だ」など、「〇〇をしたい」という自分の想いが言語化されていないために「なんでもいい」と感じているケースです。
そうした場合は、仮に売れそうなアイデアが見つかったとしても、「でもな」と腰が重くなり悩み続けてしまいます。
例.何でもいいと感じるよくある理由
・言語化されていない
・責任を持ちたくない
・こだわることが格好悪いと考えている
いずれにしても、「売れればなんでもいい」と感じるときは、結果を出すことに焦っている状態です。
考えているようで考えられておらず、ただ未来への不安に悩んでいるだけです。
そのため、焦りを一旦脇に置き、純粋にどんなターゲットのどんな悩みを解決してみたいかを考えることが必要になります。
お金や結果などの焦りを手放し視野を広げなければ、ターゲットが欲しいと感じるような商品アイデアを見つけることも、不確実な成功を求めて挑み続けることも困難です。
遠回りに感じるかもしれませんが、商品アイデアがないときこそとことんターゲットと接触することをおすすめします。
悩み②:商品価値があると思えない
商品アイデアがあっても、自信を持てないことがあります。
「どうせ作っても誰にも求められないだろう」と悲観してしまうようなケースです。
例.商品価値があると思えないときの感覚
・作っても誰も買わないだろう
・誰かが買ってもがっかりされるだろう
しかし、商品価値とは変動的であり、買い手によって価値づけが大きく変化します。
ある人にとっては大金を払う価値があったとしても、別の人にとってはゴミ当然という具合です。
万人にとって価値を感じられるものなんて、特にビジネスでは存在しません。
例.商品価値を感じづらいターゲット
・ゲーム:ゲームが苦手な人、ゲームに強い悪印象を持つ人
・ホスト:すでに満たされている人、キラキラしたものが苦手な人
・ダイエット商品:見た目を気にしない人、どうせ痩せられないと諦めている人
もしも商品アイデアに価値がないと感じたら、「誰にとって価値があるのか」「誰にとって価値がないのか」を明確にしてみてください。
その商品を必要とする人を具体化することで、商品を作る意味を実感でき開発する意欲と自信が生まれます。
自分が支援したい人だけを見て、本当にその人にとって必要な商品を考えましょう。
万人に求められるような画期的なアイデアを見つけようとするほど、今ある商品アイデアを軽視するようになります。
悩み③:私には何も作れる気がしない
初めて商品を作るとき、「私では人に喜ばれる商品が作れない」という自信のなさを感じるものです。
企業やすごい実績を持つ人だけができることであり、平凡な自分は誰かに喜ばれる商品を作れるわけがないと考えてしまいます。
例.私には何も作れる気がしない感覚
・どうせ喜ばれない
・すごい人でなければ商品を作っても意味がない
この自信のなさを解消するには、目の前の人の悩みを一緒に解決してみることをおすすめします。
「商品を作ろうとする」のではなく「ただ純粋に支援すること」を目的にしてみてください。
そうした関わりから得られるリアルな体験から、「私にも手伝えそうなこと」が見つかるでしょう。
- 商品を作ることを目的に支援する:売れそうな悩みだけに関心が向く
- ただ純粋に支援することを目的にする:相手そのものに関心が向き悩みを深く理解したくなる
そのため、まずは自分が関わりやすい身近な人の悩みが最初の商品の土台になりやすいです。
もし作りたい商品があっても身近にその悩みを持っている人がいないならば、その悩みを持つ人と関係を持つことが最初の目標になるかもしれません。
悩み④:重要なのに必要だと思われない
重要な課題を解消するアイデアだとしても、かならずしもお客様がよい反応を示すとは限りません。
直感的にわかりづらい商品の場合は、ピンとこずに「自分にはいらない」と判断を下しやすいためです。
商品の需要を確認しようとしても、深い説明ができない場ではまったく見向きもされないということがよく起きます。
例.ダイエット商品
・直感的にわかりやすい商品:痩せるための簡単な筋トレ伝授
→なぜその筋トレを知る必要があるのかが説明されなくても想定しやすい
・直感的にわかりづらい商品:痩せるためのマインドフルネス
→なぜマインドフルネスが必要なのかが説明されないと想像できない
商品アイデアに対する反応がつかみづらいときは、自分の商品が有効な人の数を検討することをおすすめします。
「商品を欲しいと思う人」ではなく「悩みが解消されていない人」の多さを分析することで、自分の商品の需要を確かめられるでしょう。
- 商品を欲しいと思う人:商品を説明して欲しいと感じる人を数える
- 悩みが解消されていない人:他の商品よりも自分の商品が有効な人のボリュームを分析する
ただし、実際に売る段階では、悩みが解消されていない人が「私にはその商品が必要なんだ」と感じるような教育がより重要になります。
重要なのに必要だと思われづらい商品は、売ること自体の難易度が高い傾向にあることに注意が必要です。
準備中:導線の作り方
悩み⑤:提供したい商品を作るスキルがない
解決したい悩みがあっても、その商品を開発するだけのスキルが欠けていることがあります。
成し遂げたいことがあって起業した人は特に、最初から大きな変化を起こせる商品を作ろうとして、商品開発に何年も費やして事業から撤退をしてしまいます。
例.スキルが未熟で作りたいけど作れない商品案
・誰もが幸せになる方法
・人生の意味を見つける方法
・やりたいことを見つける方法
このような悩みの場合、主に次の3つの対処法がおすすめです。
- 条件を絞る:有効になるターゲットの範囲を狭める
→例.「稼ぎたい人」ではなく「稼ぎたい&マインドだけが問題の人」向けの商品を作る - 橋を短くする:変化の幅を小さくする
→例.「偏差値を30上げる方法」ではなく「勉強への抵抗感を小さくする方法」にする - 先延ばしにする:準備が整ってから商品開発に着手する
→例.「目標設定」「実行支援」などの商品を売ることでノウハウを集めてから「やりたいことを見つける方法」の商品開発に着手する
すべての悩みは複雑であり、その解決にはさまざまな要素が必要です。
開発期間が限られているならば、今の自分が役に立てる要素はどれかと考え、その要素だけが欠けている人向けの商品を作ってみてください。
すべての要素を満たせる商品を作ろうとよくしがちですが、これでは開発期間ばかりが膨れ上がってしまいます。
準備中:価格の設定方法
悩み⑥:その商品は本当に他者の役に立つのか
商品案を選ぼうとするとき、よくその商品の正しさについて悩むものです。
需要を満たすように供給すればお金は支払われますが、それがかならずしも正しいとは限りません。
その需要を満たすことで、かえって相手や社会に悪影響を及ぼすことがあるためです。
例.悪影響になりうる商品
・大麻:気持ちよくなれるが犯罪
・バイク:趣味としては楽しいかもしれないが、騒音や危険性というデメリットがある
・稼ぎ方講座:稼げるようになるがより忙しくなって不幸を感じる可能性がある
とはいえ、どの商品もメリット・デメリットが存在しており、万人の幸せに貢献できる商品なんて存在しません。
そのため、「自分が作ろうとしている商品がその人のために役立つ」という納得感こそが大切です。
その納得感を作るには、「誰の未来なら真に役立てるのか」というターゲット設定が有効になります。
例.副業講座
・役に立てるターゲット:なんとしても3万円必要だけど在宅で稼がなければならない人
・役に立てないターゲット:スキルアップを目指したい人、大きな会社を作りたい人
「需要に満たすこと」だけではなく「誰を幸福にするための商品であるか」にも焦点を合わせましょう。
自分の商品を肯定でき「私の商品が世に広まってほしい」と感じられないと、開発や販売への意欲が低下してしまいます。
★自分の商品に納得するための2つの要素
ターゲットへの興味:この商品は誰の役に立ち、その人を私は支援したいと思えるか?
ターゲットの未来への興味:その人が私の商品を買ったら、その人の未来はよりよくなるのか?
まとめ
個人事業主が事業の方向性を決めるときは、自分コンセプトと商品コンセプトを分けて考えましょう。
- 自分コンセプト:私が事業をおこなう目的、自分/他者/世界に対して実現したい理想
- 商品コンセプト:自分コンセプトを叶える具体的な手段と目的、他者に必要とされる商品の特徴
自分コンセプトは「私の想い」を、商品コンセプトは「ターゲットの悩みや願望」を中心として作っていきます。
もし自分コンセプトで悩んでいるならば、コーチングなどを利用して内省を深めてみてください。
商品コンセプトで悩んでいる場合は、ターゲットと接触して悩みを深く理解することをおすすめします。